2021年08月18日
自分はある時期、とあるブランドのピアノ輸入販売に関わっていたことがある。
そのブランドは歴史あるメーカーではあるものの長く共産圏にあった間に進化が止まり、ピアノそのものは極めて上質な材料を使ったよいものでありながら、調整が不十分なまま出荷されていた。
賃金が安く材料価格も安い国故に価格競争力が日本ブランド並みという強みはあったが、ドイツブランド並みの定価を提示し、半額未満の激安販売をするという、ブランドを踏みつけにするような戦略で売られていた。
十分な出荷調整が行われないまま激安販売をされていたがために、国内の評価もかなり残念なもので、一部、本質を見極められている人たちには評価されているだけの、調律師からの評判が悪いマイナーピアノブランドになっていた。
あるときから総代理店の社長と関わることになり、ブランド力向上のために色々と協力したのであるが、販売方法については、信頼を裏切るようなやり方はしないことを求めた。と言うのも、卸元が直接販売価格を提示して販売者の顧客を奪ってしまうようなことすらも起きており、ブランドの信用性、販売側の信頼すらも損ねていたのだ。
同じメーカーのOEMでドイツブランドのものがあったが、こちらは別のディーラーから欧州での価格を基準に比較的常識的な定価をつけられており、本来の低価格で優れたピアノというポジションになっていた。ドイツブランドのサブブランドだから高い値付けをするなどあり得ず、これが適正価格と言えるだろう。
それより遙かに高い定価での大幅割引激安販売は続けられ、価格については顧客から見てどう捉えたらいいのかわかりにくい商品になっていた。
その後ブランドイメージは向上したことで販売は上向いたものの、日本の経済は冷え込み、今度はピアノ自体が全く売れなくなった。やがて社長は高齢のためリタイヤし、輸入販売体制が変わったところで自分は関わりをなくしている。
その新体制ではブランド力の向上のために、欧州での評価以上のブランドイメージを植え付けようと腐心し、常設の専門ショールームのような販売店もできた。
ただ、価格については定価が改定されたものの、あいかわらず本来の価格からかけ離れた定価がつけられ、しかもブランド力の向上のために定価販売を原則にすることにしていたようだ。1台の利益を大きく取る戦略は、年に数台売れれば充分黒字という小さな特化型販売店のための戦略と言っていい。多くのブランドを扱い数を売りたい大きな販売店には説明が難しく扱いにくい商品になっただろう。
実際、新体制の説明を受けた従来取り扱いをしていた販売店の中には、このやり方に反発して取り扱いをやめたところもある。
モデルチェンジでより現代的になり、実力のあるピアノではあるが、欧州でのポジションは相変わらず日本製ピアノと同価格帯で買える手軽な価格のピアノである。その価格故に売れているピアノであるから、日本でだけ三大ピアノに次ぐポジションで売るというのは私は感心しない。ブランドの向上を希求するメーカーにとっても、数が出ないこの戦略は微妙なところだろう。日本市場が冷え込んでいる事で納得してもらっているのだろうが。
昔の高級舶来オーディオみたいに、顧客が知らないのをいいことにふっかけた価格で販売するみたいなものは、顧客を裏切る行為だと私は思っている。
世界ナンバーワンのブランドであるスタインウエイは、楽器としての実力が高く、ブランド力は絶大でそのブランド力を保つために極めて努力され、コントロールされている。そのために中古価格も高く安定しており、下取り価格も高い。
ところがそれ以外のブランドは、下取り価格は厳しく、ヤマハカワイのアップライトならすぐ売れるので(特にアジア市場で)引き取ってもらえるが、グランドになると売りにくく、一般知名度の低いブランドではほとんど値が付かない。
さほど古くないカワイのフルコンサートグランド(当時の定価1000万円)が、下取り価格50万円だったりした実例もあり、結局需要がないものは値がつかないのだ。ヤマハ フルコンサートグランドのもやはり極めて低価格にしかならず、地元音楽ホールでピアノ購入運動を展開していた頃、同ピアノを所有するピアノ講師から引き取りを打診されたこともある。
高価格なピアノは、あまりに低い中古買い取り価格に愕然とすることになるのである。
問題のブランドは、中古でいくらで引き取られるだろうか。これも需要次第だろう。へたな業者だと処分費用を請求される可能性もある。
今はかつてよりブランドイメージは向上している。中古で低価格の同ブランドを求める顧客もいるので、よい業者ならすこしは値が付くだろう。
基本的にピアノのリセールバリューは低い。メジャーブランドのピアノを中古で買い中古で売るのが比較的マシなパターンだ。ピアノは新品では十分な実力が出せていないので、引き込まれた中古の方がよい状態であることがままある。それも考えれば中古で探すとよいが、日本のピアノ中古市場はうすいので、欧米のようなわけにはいかない。あちらでは実力の高い技術者が調整した中古ピアノが、日本での感覚からすると信じがたいような低価格で豊富に流通している。
日本の経済がよい頃なら楽器商も羽振りがよかったが、今ではほとんどがカスカスだ。経済的な理由と住宅事情、少子化から一部富裕層しかピアノを買わないので、ハイブランドは売れるが数が出ない。なので、ガラパゴスをいいことにハイブランドに見せかけて高く売るという戦略も出てくるわけだ。
楽器は個性あってのものなので、顧客が満足するなら構わないのかもしれない。ただ、リセールはきついので、無理して高価格の新品ピアノを買うのは勧めない。欧州で中古を見繕うのが一番いい。
リセールを考えると、現在はスタインウエイかファッツィオリぐらいしか考えられない。ベーゼンドルファーやベヒシュタインは三大ピアノであっても人気がないのでスタインウエイのようなわけにはいかない。個体が少なく人気のある新進気鋭のファッツィオリなら市場に出しても求める人は多いだろう。
いずれにしろ、欧州での価格帯を参考にして適正な価格を考えるといいだろう。
件のブランドも、建前とは別に、激安価格を提示されるようなこともあるようだ。そういうやり方は結局ブランドイメージを傷つける。
適正価格が一番だ。
追記:
年に数台売れれば充分黒字という戦略でスーパーカーを扱う小さな販売店が地元にあった。
だが、売れればいいがこの半分死にかけている日本の経済下で市場が縮小しており、このような小さな販売店がうまく顧客を得られるとは限らない。富裕層はわかり易い大手の販売店を選びやすいかも知れず、簡単にはお鉢は回ってこない。
やがて小さなお店の半分が別のお店になり、いつの間にか販売店もなくなってしまった。
ハイブランドを扱っても今の日本では生き残りは難しい。
もっと地に足がついたやり方の方がよいのかも知れない。
追記:
システムキッチンと言えば高価だが、実際の販売価格は定価の半額未満であったりする。この業界は定価と卸価格の乖離が著しく、卸業者の実績によって卸価格が変化するため、少しでも安く卸してもらうためにそのメーカーの販売に力を入れる。メーカーはそうして販売数を増やすのである。しかし顧客にとっては自分が提示されている価格が適正なのかどうか分からない。いくつも見積もりを取ってみるしかなく、定価とかけ離れたバラバラな価格が提示されるのである。駆け引きで安値を勝ち取らないと、高く買わされかねない。
それに対して、タカラスタンダードは「適正価格」である。定価と卸価格の差があまりない。このため、卸業者にも末端業者にも利益のうま味は極めてうすい。
しかし顧客にとってはどこで買おうがほぼ同じ値段なのでわかりやすい。
タカラスタンダードは高い定価を義務づけるのではなく、顧客のために原価から積み上げた適正価格で販売することを求めているわけだ。
高い定価を義務づけ、安い卸値で提供することでの販売店の利益を最大化するやり方は、販売が低調なら結局は裏切りによって「ナイショで」市場状況に合わせた販売価格で販売される。その結果、誰が買ったか、どこで買ったかによって販売価格が大きく違ってしまう。このやり方は顧客に不誠実だし不信感を持たれる。
卸価格と定価の差が少ないタカラスタンダードのやり方は、顧客に誠実である。業界からは嫌われるが独自性のある製品が支持される限り問題ない。
Posted at 2021/08/18 06:02:26 | |
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楽器 | 日記
2021年08月17日
千葉市では一般向けはごく少ない枠の争奪戦になっているのだが、8/2の予約開始で開始直後に全ての枠が埋まって大量のワクチン難民が発生していた。
ちょっと前に、本日8/17に増枠4800の予約ができるとアナウンスされていた。
で、私は開始時間の前に予約サイトにログインし、予約に備えた。
8:30に枠が出現し、いくつかトライしたが、予約ボタンを押しても予約済みと返ってくる。
いくつかやって自宅から一番近い会場の10/9の枠をおさえることできた。
開始2分で4800の枠が全て埋まった。
まだまだ多くのワクチン難民が存在している。
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2回目の予約はまだ入れられない。
Posted at 2021/08/17 08:56:23 | |
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ひとりごと | 日記
2021年08月16日
家を賃貸に出すかどうかと言うところで、自分のうちのリフォームの必要性を確認している。
一番気になるのが浴室で、ブレーキキャリーパーの清掃や研磨!、各種塗装!!をしたりした関係で、鉄のもらいさびや汚れがあちこちにある。塗料ミストは問題ないが、シンナーがこぼれて排水系の塗装が剥がれたり塩ビの一部が変形したところもある。
もらい錆は、排水溝については染みこんでいなかったのでこすれば落ちた。浴槽は一部は染みこんでいてだめっぽい。
還元型漂白剤でサビも落とせるのだが、成果は場所による。浴槽の底はほぼなくなったが、浴槽の上部は残っている。
ホイールクリーナーでも使えば鉄さびを溶かせると思うのだが。
浴槽の中には、水面がくる付近が少し色づいている。これはあるあるらしい。
全体に少し研磨して磨いてやればけっこうきれいになりそうだ。
問題は床面。汚れや錆がしみついていて、サビは概ね落とせたもののシミ汚れは落とせない。
床面塗装をするとか、床材を貼ると貸した方が見栄えはずっとよくなる。
お湯がかかり、掃除圧力も強い床面だけに、下手な塗装では剥げてしまうだろう。実際リフォームでそのクレームは多いらしい。
なお、浴槽や床面にはアクリルウレタン塗料が使われるそうだ。
他を確認すると、壁の塩ビ鋼板とプラスチック素材の間のコーキングが剥がれつつあるので打ち直さないと駄目だ。まあこんな作業は簡単だ。
鏡のウロコや石灰は既に概ね清掃済み。
なお、脱衣所の洗面台もほとんどはきれいだが、蛇口のあたりに樹脂割れがあり、一度全部外して補修し、塗装してやるといいのだ。白の上にクリアをかけてやるといい。ここはお湯がかりではないし、一般的な樹脂と密着する塗料を使えば問題ないだろう。
しかしそれにしても、上の動画などに出てくる浴室・浴槽の汚いこと!
それと比較すれば、うちの浴室は驚くほど綺麗だ。
まだ20年ほどで自分しか使わなかったのだから、あまり汚れていない方なのだろう。
Posted at 2021/08/16 18:01:09 | |
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ひとりごと | 日記
2021年08月16日
https://www.automesseweb.jp/2021/08/14/738406?fbclid=IwAR0T5MW4sHDwbCUGhKdaB5vt2WTIySbGDxDEPBm44Ul63zrKwMwlJlPlIf8
スバルの黒歴史扱いされていて、アルシオーネに続く不人気車だったSVXが、最近では随分変わってきたようだ。
ピアッツァも同じだが、レアで優れたデザインである80〜90年代の車に注目が当たっている。随分値上がりもしている。
かつて70年代の車が人気を保っていたが如くだ。
記事で取りあげられている車両はS4のフルノーマルな様子。S4はSVXの本来の姿ではないのでやや微妙。
純正ダンパーの減衰力を調整してある個体だそうだけれど、
そういうサービスもあるのか。
お金があれば、部品取りの足回りをバラしてやってみたら面白そうだ。
Posted at 2021/08/16 07:41:53 | |
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SVX | 日記
2021年08月16日
持っているものにお金を生んでもらおう。そう考えることにした。
私は若い頃に頑張って人気の地にマンションを買った。その地での活動はとても自分にとって有意義ではあり、まさに人生の絶頂にあったと言ってもいい。
たが、明確にある時点から全ての歯車が狂い、あらゆることがうまく行かなくなった。山高ければ谷深だ。そのまま状況はあまり好転せずにいる。
収入は職場を変わったことで以前から見てかなり少なくなり、多少の改善があるとは言え依然厳しく、特に昨年からの新型コロナに伴う支出増が非常に重い足かせになっている。
将来を考えると、正直なところ自動車趣味につぎ込める状況ではなくなっている。
両親も高齢化し、特に父親は生命の危機を何度か迎えている。実家から離れて暮らすのも無理がある状況になっている。
そんな中で、お金を生むものには生んでもらおうと考えた。
せっかく資産価値の高いマンションを持っているのだから、賃料収入を得よう。
家財道具は何処かに置いておかねばならないが、差額が残る
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自動車もお金を産まないだろうか。
もちろん売ればいいのかもしれないが、売らずにお金を産ませる方法はないだろうか。
自動車をレンタルするのはリスクが大変高い。しかもレア車は壊れたら替えがない。非常に難しそうだ。
しかし、個人の車のカーシェアリングのしくみはあるらしい。
たとえばピアッツァを貸した場合、いくら整備をしているといっても古いので故障リスクは高い。その場合、こちらの負担になるのに加えて違約金みたいなものが発生するのではないだろうか。
ピアッツァやSVXに働いてもらうのは、ちょっと厳しそうだ。
撮影のモデルとかならいいのかもしれないが。
Posted at 2021/08/16 01:28:57 | |
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ひとりごと | 日記