例のかずさんの動画を見ていると、レーザー距離計が登場することがある。
大工の世界では、レーザーは活用されている。
水平垂直を出すためのレーザー墨出し器は極めてポピュラーで便利なツールだ。
そしてレーザー距離計は、レーザーを使って距離を測るツールだ。
少し前にボッシュが火を付け、普及したらしい。今でもボッシュは市場占有率が高く、新製品の投入を続けているようだ。少し前までは高機能化を続け、最近は見やすいグリーンレーザーへの移行を進めている。それまでのレーザー機器は多くが赤いレーザーだったが、レーザーポインターやレーザー墨出し器で視認性の高いグリーンレーザーが使われるようになってきたことを受けてか近距離用からグリーンレーザー化を進めている。
***
長さを測るのに、差し金を使えるときには差し金で測った方が確実ではある。
だから、レーザー距離計は差し金レベルではなく、メジャーを当てる距離かそれ以上である場面でとても役に立ちそうに思う。
誤差は、1.0〜1.5mmぐらいから。
近くはボッシュの製品で5cmが限界。
遠い方は製品により、数十mから数百mまで幅がある。
もちろん、レーザーを強くし、受光側の光学系を強化すれば距離を伸ばせるが(アポロ計画の際月面に置かれた反射鏡によって、以降地球と月の間の距離はレーザー測定されてきた)、大きさ的にも内容的にも大工が使うツールの範囲ではなくなる。
100mを超える測定ではさすがに三脚などを使う必要が出てくるし、サイズも大きくなる。
大工やDIYでは数十m測ることができれば十分であろう。
距離を測るツールではあるが、機能は拡張され、三角関数を使って高さを求めたり、面積、体積を求めたりもできる。
三角関数を使うということは内部で角度も測定しているということであり、直接角度を計測できるもの(水平器としても使えるもの)もある。
計測データの記録、アプリとの連動もできるものがある。
さらには、遠距離用のもので目で視認できないレーザースポットを捉えるカメラが内蔵されているものがあり、このカメラの画像を計測時にデータと共に記録できるものもある。
***
原理は、光を放ってから戻ってくるまでの時間を計測するものと、光を変調して位相差を使って測定するタイプがある。
長距離の測定では前者がよく使われているものと思うが、ポケットタイプのレーザー距離計では位相差方式を使っているのではないかと思う。
このあたりはメーカーも説明していないのでよくわからないのだが。
測定の原理を図で見てみよう。
■光パルス式
最も単純な方式で、パルスを発生させてから反射光を受光するまでの時間から距離を算出する。
■位相差方式


光をサイン波で変調し、発生側と反射側の位相のずれを検出して距離を算出する。
実際には変調周波数を変化させて複数回測定し、計測距離の幅を出している。
光速度は真空中で約30万km/秒である。
15mなら反射すると往復で30m、時間にして0.000001秒=0.0001ミリ秒=0.1マイクロ秒である。
もの凄く短い時間を計測するわけだが、今どきはスマホがクロック数GHzで動いている世の中なので、マイクロ秒弱程度なら充分扱えるわけだ。
***
ちなみに、最初の光速度の測定は次の図アのように行われた。
図アのように、歯車を回転させて光を往復させ歯車を回転させる速度を上げていくと、反射光が歯車に当たって見えなくなる。
この見えなくなるときの歯車の回転速度から光速度が測定された。
図イはハーフミラーを使ったパルス式の測定だ。
Posted at 2023/12/17 11:17:35 | |
トラックバック(0) |
Tool | 日記