ソニーをはじめ各社はカメラの動画機能に重点を置き始め、最近はYouTubeなどに投稿することを前提としたVlog対応の動画撮影機能を充実させたカメラが増えている。
 少し前まで、フルHDで30p撮影できればすごいと言われたが、いまや4K 30pが当たり前で、6K以上で撮影できるカメラもある。
 最近のネット動画を見ていると4K撮影されているものが結構多い。
 4Kを選択しなければフルHDで再生されていて気付きもしないし、ノートパソコンで再生しても大差ない感じではあるのだが。
 BS 4K放送も民放はほとんどBSフルHDと同じ通販番組しかしておらず、NHKを除き爆死状態であるし。個人的には4Kはオーバースペックに思う。
 でもまあ機材のトレンドは4Kになっている。
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 最近のカメラはオートフォーカス(AF)が付いているが当然で、これが高速化し、ひとみ検知や動体検知でかなり執拗にオートフォーカスし続けるようになっている。
 カメラマンが被写体にピンを当てるのに懸命になっていたのが嘘みたいで、動きのあるものをとる場合でも多くの場面でカメラに一人カメラマンが必要なくなっている。
 今どきは一人で動画製作するのがあたり前になっていて、複数台のカメラで一つの対象を撮る場合でも、アップを狙うカメラだけ自分が操作すればいいぐらいになっているし、技術が拙くてもカメラがピンを合わせ続けてくれるので驚くほど手軽に質の高い動画が作れる。
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 そして、Vlogでは動きながらの撮影も多く、手ブレ補正能力に注力されるようになってきている。
 元が写真機であるから、光学手ブレ補正や電子手ブレ補正が既にあったわけだけれど、これらのものは歩きながら撮影という非常に大きな手ブレを吸収し続けられるほどの能力はない。どうしてもということであれば編集で手ブレ補正をし、クロップして動きを吸収することになる。今はそんなことも簡単だ。
 動きながらの撮影などジンバル撮影が当然であるし、カメラの扱いが分かってない素人が撮っても圧倒的に滑らかになる。
 それ故に、小型のジンバル付きカメラ(スポーツカム系なのか?)が存在し、比較的安価に揺れのない、動きのある動画が撮れる。
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 ここまでの機能は、今どきはスマホでもかなり実現されていて、ほとんどの場合、スマホだけ、スマホ+ジンバルでも高度な動画が撮影できる。スマホの手軽さがよりアクション性のある効果をとり入れた動画撮影を容易にしていたりもする。
 ではVlog動画をカメラで撮る理由は何なのか。
 やはり光学系の良さが大きい。
 いくらスマホが高精細化・高感度化し、いくつものレンズを備えるようになっても、やはり大口径光学系やフルサイズセンサーには勝てない。
 ただ、Vlogでその質を求めることにどれだけ意味があるのかがよく分からない。
 プロのカメラマンが静止画と共に高度な動画を撮影する場面は増えていて、当然双方に高画質と高機能を求めることが出てくる。
 だが、そこらのYoutuberがハイアマチュア機を使って中身の薄い動画を撮る意味はあまりなさそうだ。
 多くの人がトライしたがるショート動画はアイディアやインパクトの世界で画質はほぼ関係ないと言ってもいいし。
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 自分はその昔、EOS KissX5でフルHD動画撮影を試みたとき、限界が12分で、長時間撮れないことに悩まされてそれ以来カメラで動画を正面から撮ろうと考えたことがなかった。
 今は全く環境が違っている。その変化に驚くばかりだ。NEXのような小型軽量でAPS-Cを載せてきたあたりから、ミラーレス一眼の動画撮影の進化が著しい。自分の機材と、今どきの機材を並べてみると、
NEX-C3 MP4:1280 x 720 (29.97fps、約9Mbps/約6Mbps)
NEX-7 AVCHD:1920 x 1080(60p, 28M, PS) 
α7Ⅱ XAVC S HD:1920 x 1080(60p, 50M) ボディ手ブレ補正
α6700 XAVC HS 4K:3840 x 2160 119.88p (280 Mbps)  ボディ手ブレ補正
と、進化が見える。
 詳細は割くが、最新鋭の小型ミラーレスAPS-C機α6700は、バッテリーも大型化され、一つ前のα6600と比較しても多くの改善がある。動画撮影ならAPS-Cセンサーで十分であるし、動画撮影を考えるとこのぐらいのものが欲しい! とか思ってしまうようなないようになっているのだ。
ところが、中古でも並品で17〜18万円もするのだ。どれほど使うか分からないカメラにこんなお金は出せない。
 そして、動きのある動画を撮るならジンバルは必須で、Vlogにはα6700と言えどもそれなりに重くて大きい感は否めない。
 何もかもをミラーレス一眼に求めるのは無理があるのだ。
 そこで脚光が当たるのが、ジンバル内蔵アクションカム系カメラOsmo Pocket3のような小型軽量機だ。価格も様々な付属品がついたクリエーターコンボで10万弱(中国通販ではそれより安いものも高いものも見かける)。
 4K (16:9): 3840×2160@24/25/30/48/50/60fps
 スローモーションやタイムラプスなど撮影モードも多彩。
 驚愕するほどよくできている。
 動画を撮影するのに欲しいものは大概詰まっている。
 画質や光学系の問題は、Vlogではさほど重要ではない。
 
 弱いのは望遠機能がない事であるが、Osmo Pocket3の圧倒的な小型軽量の機動性が重要であれば、別の望遠可能なカメラを併用するべきだろう。
 こういうものを見てしまうと、極めて高価なα6700は無理には必要ないな、とか思ってしまう。それ以上のカメラもあるが、一つのものに求めすぎだ。
 いくらAIAFが優れていても、ジンバルで対象を追いかけるPocket3をみてしまうと、そちらの方が価値があると思える。価格差も圧倒的であるし。
 もし自分が4K撮影用にスマホではなくミラーレスが必要なら、手ブレ補正はないが中古でα6400とかのこなれた価格の品を買うかも知れない。
 でもまあ、ファイルサイズや編集時間も考えると4Kで撮る必要性はあまり感じないのだが。
 少し話題を外れるが、うちでスマホとしては先日一線を退いたばかりのZenfone6は、フリップカメラで動く被写体を追うことができる。カメラ性能がそれなりに高く、電動フリップカメラというギミックは工夫すれば面白いことができるらしい。機能をしっかり理解して、こういうもので遊んでみるのもいいのかもしれない。