今週、今までと異なる別の物忘れ外来に連れて行ったが、なかなかよい先生だった。
これまでの経緯
母について、2021年から明らかに軽度認知症(MCI)が見えていたので、実家近辺では唯一の物忘れ外来に行くように勧めた。また、亡くなった父は亡くなる前に母に物忘れの傾向が強いことを懸念していて、よろしく頼まれてもいたのだ。
ところが母は認知症の傾向である物忘れが度重なっていたにもかかわらず、父が亡くなったことでのさまざまな負担増加とストレスのせいで一時的なものだ、私は認知症ではないと受診拒否。
早めに見つけていれば進行を遅らせることができるからと何度も勧めたが、否認するばかりでどうにもならなかった。
結局予約を入れたのは半年以上後で、実際の受診は更にその半年後だった。
当時私は付き添っていないので詳細はわからないが、近隣の脳神経外科の設備でMRIを取り、認知症テスト(おそらく長谷川スケール)を実施し、あとは6ヶ月毎の受診を求められただけだった。その受診時もお話しをするだけで特に何もしていなかったとのこと。その間に物忘れ症状がどんどん進行し、あらゆることへの興味関心が薄くなっていった。身なりへの関心も衰え、同じものを着たきりになったり、フロにも自分で沸かして入ろうとはしなくなった。この頃はまだ私が風呂を沸かすと入っていた。
昨年6〜7月の入院時にやや認知症症状は進んだが、平常生活に戻ることでその前程度には回復した。また昨年2月から今年1月までの入院時にも認知症症状はやや進んだが、それほど深刻ではない様に見えた。
ところが入院で上げ膳据え膳の生活を続けた結果、自宅に戻ってきてからは自分では食事を作らない、一切フロに入らない、掃除も洗濯もしない、一切家から出ず歩いたりからだを動かすことを拒否する状態に。希に買い物にすれ出すことはできたが、暑いだのお尻が痛いだのを言い訳に買い物に連れ出すこともかなり困難になってきた。このことで認知症が進み、本格的にやる気が失われ、無気力にただぼーっとテレビを眺めるだけの日々になってしまった。短期記憶の障害も深刻度を増していった。
これはまずいと地域の担当ケアマネージャーさんを決めてもらい、少しでも体を動かし刺激を与えるために、デイサービスを利用しはじめた(私の希望はリハビリだったのだが)。これで週2回は確実に体を動かしたり他の人との交流機会を持ち、最小限ではあるが体動かす機会を得て、食事と服薬が確実になった。
認知症の予防には3つの要素があることが知られている。
・頭を使うこと
・体を動かすこと
・他者コミュニケーションの機会があること
デイサービスではこれらが最低限確保できる。
しかし、かなり足腰が弱くなってきたことをきっかけに、本来希望していたリハビリを行えるデイケアも利用する様にした。
2つめの物忘れ外来
ケアマネージャーさんが、別の病院でも物忘れ外来を始めたら行ってみてはどうかとの提案があり、私も時間があるときだったので連れて行ってみた。
とってつけたような狭い部屋での診察だったが、長谷川スケールで10点台の前半であったようだ。
医師はもはや薬で症状を遅らせられる段階ではないといい、デイケアを勧めてきた(既に通い始めていた。現状は週ににサービス1日デイケア2日)。
また、気分の落ち込みが強い事から個人輸入して飲ませていたSSRI抗うつ薬プロザックについて、やはりやる気を出す薬は必要だからということでなんらかの処方の方針を示してもらった。最初の漫然と受診させるだけで何もやらない物忘れ外来の医師とは大違いだ(ケアマネさんもあそこは何もやらないと)。
ところが通い続けるためには医師がいる金曜日に連れて行かねばならないが、私がつれていけない。そこで、何処かに引き継ぐことになったが、近隣で適当なところがない。かかり付け内科クリニックに依頼をすると手紙を渡すことになった。
3つめの物忘れ外来 ※今回
内科クリニックに行って見たが介護度を上げるための意見の依頼だけしか受けてないとのこと。抗うつ薬の処方やその他の指示を受けてないとのことなので、別の物忘れ外来を探すことにした。
車で10分強のところに内科・心療内科クリニックがあり、物忘れ外来もやっていた。
ここは物忘れ外来が予約制で、1時間スタッフを専用に確保して一人だけを丁寧に診るという。
連れて行って検査を受け、診察を受けた。
もう圧倒的に認知症への対応に手慣れている。
わかりやすい例示をしながらの認知症解説、わかりやすい現状の提示、今後の見通しとどうしたらいいかのわかりやすい説明。
(長谷川スケールで15点だったので、前回より若干改善していた。)
2つめの物忘れ外来ではもう認知症薬の適用の段階ではないとことだったが、こちらではまだ間にあうとして認知症薬として承認されているコリンエステラーゼ阻害剤と、脳梗塞後のやる気の低下に使われる脳の血流改善薬が処方された。
抗うつ剤プロザックについては、なくなるまではこれまでのペースで使い続けて、その後は日本で使えるSSRIの処方を検討するとのことだった(処方が確実とは言えないが。なお、プロザックは世界的に使われている副作用の少ない抗うつ薬であるが、ジェネリックも多い安価な薬品のためか日本では承認申請されていないので処方ができない。抗うつ薬は新型が次々開発されて投入されている)。
言っていることは実は私が母に言い続けていることと本質的には同じだが、経験豊富(認知症を2500人ほど診てきたそうだ)で語りかけ方が非常にうまく、内容にもおかしなところがほとんどない。
この医師を信頼して受診を続けたいが、木曜日のみの診察なので、常に木曜受診は難しい。次回は可能だが、以降は他の医師にも御世話になることになる。
なお、すばらしい患者への語りかけであったが、残念ながら話した内容を母は全く覚えていない。
とにかく大切なことは2点。
・何も変わらない生活ではなく、認知機能を使う新しいことをやっていく事。
・体をしっかり動かすこと。
この2つを続けることで認知症検査の点数が向上しているというのだ。
そのためにデイサービスではなくリハビリを行うデイケアを当初から希望していたし、今後介護度が上がれば利用回数が増やせるので、回数を増やしていく方針だ。
Posted at 2025/09/26 08:35:44 | |
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母の介護 | 日記