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2026年07月27日 イイね!

今どきの解離の理解2

 解離という現象は、実際に目にするとかなりの衝撃を受けるケースがある。我々の常識からはかなり突飛に感じる現象であるからだ。


 構造的解離理論で解釈すると、ある人は第三者によって与えられた強い心理的負担を引き金に、元々あったと考えられる解離傾向によって解離症状を起こし、以降、いくつかの異なる傾向のEPが前景化するのを見てきた。人格そのものが別人になるわけではないが、自己状態が切り替わることで、ある週はとても丁寧な女の子、ある週はいたずらな男の子、またある週はとてもしっかりした大人、といった具合に印象や行動が変化し続けた。これは私が関係上の当事者であったために観察できたが、第三者に気付けたかどうかは分からない。

 こうした自己状態の変化は、構造的解離や複雑性トラウマを扱う臨床家にはよく知られている。しかし、文献で読むことと、実際に一人の人間の中でその変化を目の当たりにすることは全く別である。変化の大きさに驚きを隠せない人も少なくない。私自身も実際に目にすると、信じ難いものがあった。


理論的な説明

 ここからは、こうした現象を構造的解離理論(ANP/EPモデル)の立場から説明してみたい。
ANP(日常生活を担う自己状態)
EP (感情やトラウマを担う自己状態)

 大きなストレス(トラウマ)の発生によってEPがその感情や記憶を引き受けてきりはなされ、その関連の記憶にアクセスができなくなることがある。これはPTSDや解離性健忘として知られている症状をANP/EPとして理解した場合である。

 解離性健忘は記憶へのアクセスができなくなる場合で、特定の人物とのエピソード記憶が抑制される場合もあれば、ある期間の記憶が抑圧される場合もある。
 情動に関する記憶は比較的保たれることがあるため、理由を説明できないまま「気になる」「目で追ってしまう」「恐怖だけが残る」といった体験として現れる場合がある。
 ある期間のエピソードが丸ごとアクセス不能になっている場合、それが再浮上すると、当時の感情や身体感覚とともに再体験されることがあり、これがフラッシュバックとして経験される。その際トラウマを生じた際の苦しみが再体験されることがある。


愛着との関係

 愛着対象に愛着と回避が伴う、いわゆるおそれ回避型愛着の人の場合、新たな愛着対象との関係においても、幼少期に形成された養育時の一貫しない態度によって形成された愛着パターンが再活性化されるため、近付きたいのに近付こうと逃げたくなると言う行動パターンが生じてしまう。本人も苦しいが、相手も一貫しない態度に振り回されて疲弊してしまう場合が少なくない。負担を生じる点ではBPDとも似る。

 解離によって愛着対象に関するエピソード記憶にアクセスできなくなっている場合、情動は残りやすいため、気になる、目で追ってしまう(相手の視線に気付きやすい)、存在に早く気付く(注意バイアス/愛着対象への自動的注意)などが残る事がある一方、回避の感覚も残るために、恐いなども残存しうる。

 なお、おそれ回避型という分類は精神医療における診断名ではないが、複雑性PTSD、BPDと重なることが多い愛着スタイルとして理解されている。DIDについてはエビデンスが充分ではないが、PTSDやBPDと同一のスペクトラムとして捉えた場合、関連性は指摘されることがある。
 

 
 

 
Posted at 2026/07/27 12:50:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | 心理 | 日記
2026年07月27日 イイね!

今どきの解離の理解1

 以前、BPD(境界性パーソナリティ障害)傾向の人に見込まれてずいぶん苦しい思いをしたが、その時代の精神医学では、BPDの人の、瞬間的に起こる記憶が共有された人格交代的な変化を記述する明確な診断名がなかった。

 当時はdissociative disorder not otherwise specified (DDNOS)として取り扱われていた。要するに独立した診断名が存在せず、その他の解離性障害として扱われていた。
 しかし、私が見ていたような、全面的人格交代が起こらないケースが臨床で非常に多いことから、WHOのICD-11において、部分的解離性同一性障害として定義されたのだった。

 このあたりについては過去記事も参照のこと(みん友限定にしていたが、現在は一般公開に変更)。

ICD-11 で新設された部分的解離性同一性障害
https://minkara.carview.co.jp/userid/441462/blog/49166556/


***

 最近の精神医学では、解離の考え方がずいぶん変わってきているようだ。

 解離というのは、何らかの原因で意識、記憶、感情がひとまとまりに保っておくことができず、切り離された状態のこと。MSDの解離症のページでは次のように記述されている。

 多くの人が、ときに記憶、知覚、自己同一性、意識に隔たりができる小さな問題を経験することがあります。例えば、どこかをドライブしたとき、後になって運転していたときの状況を思い出せないのに気づくことがあります。それは、個人的な心配事にとらわれていたか、ラジオ番組や同乗者との会話に夢中になっていたか、ちょっと空想にふけっていたために思い出せないだけかもしれません。このような問題は正常解離と呼ばれ、通常は日常生活に混乱を招くことはありません。
 これとは対照的に、解離症の人は数分間、数時間、ときにもっと長期間にわたって、自分が行った活動を完全に忘れることがあります。一定期間の記憶が欠落していることに本人が気づいている場合もあります。さらに、自分が自己(すなわち、記憶、知覚、自己同一性、思考、感情、身体、行動など)から切り離されている(解離している)ように感じることもあります。あるいは、周囲の世界から切り離されている(遊離している)ように感じることがあります。そのため、自己同一性(アイデンティティ)の感覚、記憶、意識などが断片化しています。


 解離症には以下のものが含まれます。
  • 自己または外界から切り離されたような感覚(離人感・現実感消失症

  • 重要な個人的情報(通常は心的外傷[トラウマ]やストレスと関連している情報)を思い出すことができない状態(解離性健忘

  • 自己同一性と記憶が断片化している感覚(解離性同一症


 以前のBPD傾向の人は、食事を一緒にしている最中でも急に、
「いま時間がとんだ」
「たまに時間が飛ぶときと、真っ白になる時がある」
と言っていた。精神科医なのに、解離という言葉を使わないのが不思議だった。

 彼女の場合は、突然怒りの感情にとらわれることがあり、私の目の前でも一度経験したが、心の働きがつながらない、突然の憤怒の発生に戸惑った。人格が交替したのではないかと思われるほどの唐突で、前後がつながらない変化だった。

 当時の解離性同一性障害(DID)の理解では、人格交代では記憶が共有されないことが多く、交代にも時間がかかるとされていたため、当てはまらないと考えられた。記憶が共有されて瞬間的に起こる変化は想定されていなかったのである。
 その後、人格交代は瞬間から数秒、数十分と多様であること、全般的な人格交代ではなく、記憶が共有される部分的な交代が多いことが認められるようになり、部分的解離性同一性障害が定義されるようになったわけだ。

 BPDではDIDが併存するケースが多いと言われてきたが、PTSD、複雑性PTSDなどと共に、解離性のスペクトラムとして扱われるようになってきている。

 また、ANP/EPという心の構成要素によって理解する考え方も広がってきた。ANPとEPのどちらが意識の前面に現れるかによって、人格の変化や記憶の抑制などが説明できると考えられている。

 この立場では、PTSD、複雑性PTSD、BPD、DIDは構造的解離の程度の違いとして理解される。

 ANPとは、日常生活を送る人格で、通常はこのパートが支配的。普通の人はほとんどANPが主体で生きている。
 一方、EPとは感情的人格で、トラウマ(心の傷)を負うと、心を守るためにANPからトラウマの記憶や感情を持った状態で切り離されると考えられている。EPは現在ではなく、受傷時の時間軸に縛られている。幼い子供のような意識状態として表れることが少なくない。

 幼少期に長時間にわたり慢性的に虐待を経験した場合には、解離構造がより複雑になる。

EPはまず、経験するEPとそれを観察するEPとに分離する。

さらに、さまざまな外傷体験に対応して、怒りの感情を持った攻撃的なEP、恐怖で凍りついたEP、母親にすがりつくEP、激しい痛みを体験して耐えているEPなどが、交代で現れる。

 このように、一つのANPに対して複数のEPが交代で出現する解離が「第二次構造的解離」である。

複雑性PTSD、外傷に関連した境界性パーソナリティ障害がこれに当たる。

野間. 現代の解離症理解. 精神療法 47(1): 8-11, 2021.

 BPD傾向の人に見た憤怒のEPはこの一つで、他にもいくつかのEPが見えていた。幼い子供のEPが表れることもあった。

 このEPは受傷の度に切り離され、複雑化していくと考えられている。

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 上図で、PTSDでは1つのANPに対してトラウマを抱えるEPが一つあり、これが意識に登るのがフラッシュバックを起こした状態だ。
 EPが多数になった状態が複雑性PTSDやBPD、ANPが複数生じているのがDIDと理解されるようになってきた。

 耐えがたいほどのストレスやショックによって記憶ごとEPが切り離される状態が、解離性健忘ということになる。

 解離症状が起こりやすい人は、生育歴になにか問題を抱えていることが多く、受傷によってEPの切り離しがおきやすいようだ。

***

 では、なぜ解離しやすい人とそうでない人がいるのか。

 今日では愛着との関連も指摘される。

 愛着理論とはイギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが提唱した心理学の概念で、Wikipediaでは次のように記述されている。

 愛着理論では、幼児の愛着行動は、ストレスのある状況で対象への親密さを求めるために行っていると考えられている。幼児は、生後6ヶ月頃より2歳頃までの期間、継続して幼児の養育者であり幼児と社会的相互作用を行い幼児に責任を持つような大人に対して愛着を示す。この時期の後半では、子供は、愛着の対象者(よく知っている大人)を安全基地として使うようになり、そこから探索行動を行い、またそこへ戻る。親の反応は、愛着行動の様式の発展を促す。そしてそれは、後年における内的作業モデルの形成を促し、個人の感情や、考えや、期待を作り上げる。離別への不安や、愛着の対象者が去った後の悲しみは、愛着行動を行う幼児にとって、正常で適応的な反応であると考えられている。こうした行動は、子供が生き延びる確率を高めるために生じたと考えられる。
Wikipedia 愛着理論


 この愛着の概念は大人にも拡張されていった。一般にもよく取りあげられるようになった安定型、不安型、回避型、おそれ回避型の四つの愛着スタイルである。

 愛着理論は、1980年代末に、Cindy Hazan とPhillip Shaver によって、大人のロマンチックな関係にも拡張された。大人においては、4つの愛着のパターンが確認された。すなわち、安心、不安、退去-回避、恐れ-回避の4つである。これは、幼児における4つの愛着パターン(安心、不安-両面感情、不安-回避、混乱)と対応している。
Wikipedia 愛着理論


 親の養育態度に伴う愛着形成の問題や慢性的なトラウマ体験を背景として、解離を対処法として学習し、それが慢性化・構造化していくという考え方も提案されている。


***

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 愛着形成の問題や慢性的なトラウマ体験を背景として、解離を対処法として学習し、それが慢性化・構造化していくという考え方も提案されている。
 この図は、必ずしも本稿の説明とは一致しないが、愛着形成の問題や慢性的なトラウマ体験を背景として、解離が慢性化・構造化していくという考え方を模式的に示したものである。


Posted at 2026/07/27 02:55:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | 心理 | 日記
2026年07月27日 イイね!

80kg を切った!

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 夏休み期間に入り運動量が激減しているけれど、体重の減少は一貫している。
 糖質制限をしていたときと似たような推移であるけれど、食事量は大きくは減らしていない。

 L-カルニチンの効果で肝臓が機能を回復してきているのが主因と思われる。

 一度病院で血液検査をしてみると良いだろう。
Posted at 2026/07/27 01:39:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | ひとりごと | 日記
2026年07月22日 イイね!

【介護日記】もうすぐ結核の治療は一段落

 今日は母を連れて、結核を見てもらっている習志野の病院に行ってきた。

 血液検査とレントゲン、持参した喀痰の検査。そして診察。

 予定では結核の薬は8/4までだったのだが、飲み残し分はどうするかという話になり、それもふくめて8/4までとのことだった。

 以降は、残っている非結核性抗酸菌への対応に移る。こちらは弱い薬を使うので、長くかかるらしい。

 結核の方も半年ごとの健診がアフターフォローである。そちらは公費負担とのことだった。

 帰りに薬局に行って薬を受け取り、カネカ水産でお寿司を買って帰り、母と食べた。

 昨日は2つのクリニックを回り、今日は病院。

 結核治療はもうすぐ一段落で嬉しいけれど、さすがに疲れた。
Posted at 2026/07/23 08:25:10 | コメント(1) | トラックバック(0) | 母の介護 | 日記
2026年07月21日 イイね!

【介護日記】新しい整形外科にかかってみた


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 母は脊柱管狭窄症の診断があったが何もしてもらっていなかった。
 私が診察にいっしょに行くようになって、母がある程度歩くと痛がると伝えると、痛み止めを出してもらうことになった。が、あまり効果はない。

 かかっていた医師はあまり誠実に対応をする感じではなかったので、今回脊柱管狭窄症をよく扱っている大きな整形外科の幕張のクリニックに行って見た。

 まずはレントゲンで確認し、診察でお話をした。今までかかっていた病院と違い、状態の解説をした上、MRIで確認をし、その上で方針を決めましょうということになった。
 ただ、年齢的に痛み止めの副作用が出やすいので痛み止めの使い方も難しいとのこと。

 脊柱管狭窄症は歳をとると起こりやすく、痛み止めやトレーニング、姿勢の取り方などで痛みを抑えられることがあるが、積極的な治療となると手術になってしまうため、高齢者の場合は難しさがある。

 来週MRIの予約を入れたので、そこで方針が決まるだろう。

 写真は母と食べた夕飯。「とんでん」には初めて行った。ちょっと食べ過ぎ。
 アイスがおいしかった。

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 夏休みになってしまって寂しい気持ちで切ないが、やるべきことは多い。
Posted at 2026/07/22 00:00:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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「梅雨、日本周辺にしかない独特の気候なのだ。おかげで日本人は紫外線の影響を受けにくくなっているし。悪いことばかりではない。」
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