昨日こち亀こと『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が終了というニュースが入って来ました。
40年続いたこち亀を初めて読んだのは高校生の時で、その時はただ面白いとかハチャメチャというイメージだったのですが、成人して小売業を何件か転々として自分が自営業を始める前後にはある意味教科書的な役割を果たす様になりました。
この物語の中で主人公の両津勘吉は、知り合いから商売が傾いたのでどうにかならないかという相談を受ける回が結構あって、その傾いた商売が両津のアイデアで大ヒットするという内容のものがかなりの確率であります。
そのヒットにつながる要素が実に的を得ていて、「どこからこの発想が浮かぶのだろう?」と思う事が度々ありました。
ただそこはマンガなので最後に欲をかきすぎて在庫が大量にあまるとかの結末で笑いを取る様になっていますが、この欲をかきすぎるという行為を実際の商売でやる人がいて、自分が何店かの業種を転々としている時にそんな経営者に出会いました。
物は最初に売れない『トレンド未満』の時期があって、その後やや売れ出す『スタートトレンド』の時期があって、その後どんどん売れて『ピークトレンド』があって、その時にわきが甘いと『ダウントレンド』が起こって、ダウントレンドに突入するともうどうにも止まらなくなって、結局その業種が下火もしくは無くなるという流れがあります。
ビジネスの流れが短時間で明確に描いてあって、いつも読みながら「この発想はすごい!」とか、「ここで欲をかかなければ売れ続けたのに!」と熱くなって読んでいました。
そんなこち亀の中で両津勘吉の後輩で中川という財閥の息子が別に派出所で働かなくても生活に困らないのに何故か働いていて、たまに中川財閥のお金を使ってとんでもない事をやったりしています。
両津のせいで中川財閥もかなり損をしているのではないかと思いますが、そこはマンガですから、実際にそんな事があったら大損でしょう。
まあ自分は販売業をしているのでそういう部分に敏感なのですが、そういえば以前ナカミチという会社に中川ほどではありませんが、家がマンション経営をしていて、都内に何棟もマンションを持っていて生活に困っていないのに働いている人がいました。
その人は取締役とかではなくて普通の社員だったのですが、お金に困っていない人なので普通とは違う発想で凡人とはかけ離れていて、そんなお金に困っていない人の発想ならではのナカミチの黄金期があったと思います。
ただナカミチも途中で外部から営業部長を引っ張って来て、その部長が暴走して、タイヤ屋やエンジンチューンの店にどんどん商品を卸して行き、高額商品が無調整で販売されて、結局一時的に売れたものの、「高いばかりで音が良くない!」という悪い評判が立ち売れなくなりました。
そこで一発逆転で、今度は安い商品を大量に作ってオートバックス専用モデルとして卸して、商品は中途半端で売れなくて、専門店からは総スカンでもっと売れなくなって、ダウントレンドに歯止めがかからないという、まるでこち亀の様な状態になりました。
その後、原因を作った部長がやめてもダウントレンドは止まらず、日本の営業部が閉鎖するという結末になりました。
ピークトレンドの時にいい加減な事をしていたらダウントレンドに突入したら歯止めがきかないというのは、自分が小売店を何軒か短期間で転々としたのと、こち亀のマンガの影響で知って、それをやらなかったからこうやってサウンドピュアディオは今も商売を続けておられるのでしょう。
秋本治先生のあのビジネスの根底や顧客心理の描写は、部分的に編集すればビジネス書として十分に実践として使えると自分は思っていて、たまに笑いながら読んでいながらも、「こういう事はしてはいけない!」と、自分への戒めとして心に刻んでいます。
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Posted at
2016/09/04 09:19:22