不定期のお客様の質問にお答えするは、以前から質問が多くて過去のシリーズでもお答えした事がある『手巻きのコイルを使うと機械巻に比べてどういう所が良いのですか?」という事にお答え致します。
まず『手巻きコイルは必要な時にその都度巻いているのですか?』というご質問には、実は前もってあらかじめ予備巻きをしている物を用意していて、必要が出て来たら微調整して製品化しています。
これは宇部店の2階の通路に置いている予備巻きしたコイルのストックです。
完全に製品化した物はピットの横の棚に置いていて、1桁のマイクロ数から1000マイクロまで、かなりの数のコイルを用意していて、どんな車が入庫して来てもピッタリのインダクタンス数に合わせて、最も生音に近い状態に合わせます。
手巻きと言っても大きい巻きは一度機械巻したコイルをじわじわとほどきながら欲しいインダクタンス値に合わせて、思いっきり締め付けて良い音にしています。
もう一つ何も巻いていない純白のボビンに一から巻いて行くコイルは、最近ボビンがこれまでの物よりやや大きな特注の物を作って、これまで得られなかったインダクタンス値を得ています。
巻き置きから2個取り出したら、小さいボビンが19マイクロで大きめのボビンは何と189マイクロ取れています。
ほんの少しボビンが大きくなった様に見えても10倍のインダクタンスが得られていて、このインダクタンスを得るには10倍の時間がかかっています。
この10倍のインダクタンスを得たコイルはJU60用のブラックボックス内で使用されていて、センターの軸が小さくて高いインダクタンスが得られるコイルは輸入車などの電磁波がコイルに影響を受けるのを防止していて、この手のメーカー製のコイルが製造されなくなったので、最近一から手巻きしたコイルを使う様になりました。
JU60用のボックスだけでもこれだけの種類がありますから、外付けコイルとブラックボックス4連の組み合わせだと、かなりの数のパターンが選べて、その中から最も生音に近くなるまで延々と組み合わせを変えて行っています。
つまりJU60用で4連のブラックボックスだと4個のコイルプラス後付けで2個で、合わせて1台の車で6個のコイルを使っているという事です。
ちなみに市販のネットワークのコイルと自分が手巻きしたコイルを比べると、線の太さと銅の純度が違って、元の音質が良いのに更にピッタリの値を探しているので、これが低価格で良い音と言っている根源です。
巻きの多いコイルは銅線が10メートルぐらい巻く様になって、宇部店の階段を利用して、自分の体重をかけながらじわじわ巻きながら階段を登って行きます。
そうはいっても力をかけても完全に銅線が真っ直ぐなる訳ではないので、そういう時は巻いてほどいてを繰り返して、階段を上り下りしてクセを付けて形の良い丸で巻いて行きます。
なぜここまで努力するかというと、良いコイルは銅線の長さが短い割に高いインダクタンス値が得られるので直流抵抗が低くなり、締め付けが強い事で音もビシッとハリが出ます。
ただ市販のコイルの中には硬いボビンを使って無理に解像度を上げたりしている物もあり、透明の厚いボビンのコイルは音が硬過ぎて聴き疲れするので、テストで使用したコイルが給湯室の食器乾燥機の上のインシュレーターで使っています。
店頭に置いていたらお客様から、「これが音の良いコイルですか?」と聞かれた事があって、見た目は確かに透明でクリーンな音がしそうですが、実はコイルから出た微弱振動が中に閉じ込められて、それで音にストレスがかかるので使っていないのですが、「あのコイルはどこに置いたっけ?」と探したら、ここに使われていました。
ここまでお話して、最終的にサウンドピュアディオが生音・生声を表現と言っているのは、手間をかけて質の高いコイルを使っているのと、そのコイルの種類の多さで最適な2・3組を見つけているからで、本当は33年前には「うちの店はマルチアンプ方式を使うので、ネットワークの自作はしません!」とお客様にお断りしていたのは、手を出せば物凄い手間とストックが必要になると分かっていたからで、それでも強く「自作のネットワークで作って欲しいと!」望まれたお客様あっての今のサウンドピュアディオの音造りです。
そのお客様の熱意に最終的に負けたのは、「マルチアンプで良い音を出すために、B&Wの801を聴いて音を調整しても、801がネットワーク方式なのでどうにもならないでしょう。諦めたら。」と説得されたからです。
確かにネットワーク式で出ている音に合わせようとしたら、コイルとコンデンサーの組み合わせで出さないと出る訳がないという、今考えたら当たり前の話でした。
毎年7月になると、その時の事を思い出します。
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Posted at
2024/07/18 11:11:54