不定期シリーズの『続・お客様の質問にお答えして』を読み返してみると、月に2回程度書き込んでいるものの、8月は1回も書き込まなくて、9月に第15話を書いたつもりが7月に15話を書いていたので、15話がダブっていた事に今日気が付いて、先ほど修正しました。
これまで過去の書き込みを振り返っていなかったのを、同じ様な内容が重複しているのでは?と見返したら、土日にお客様からお聞きしたお話を掲載していたので、やはり同じ様な話を繰り返して書き込んでいました。
その中でハンダ付けとコイル巻きの話が多く、つい先月まではハイローコンバーターがオーディオテクニカの4CHモデルの生産が無くなったので2CHを2個使うと書いていたのが、いきなり全て1から生産に変わって、驚かれた方も多かったでしょう。
この件に関しては「これまで一からオリジナルのコンバーターを希望していたのに、作りませんと言われていたのに、なぜ急に作る様になったのですか?」という質問というか、お叱りに近い言葉を多く頂きました。
この件に関しましては一から作ると音は良いのは分かっていましたが、あまりに時間がかかり過ぎるのと、市販品のチューンに比べるとかなり値段が高くなるからとの理由がありました。
ただここに来て市販品が値上げとなり、4CHを2CH化するのと違って、2CHをモノラル化だと2台分の値上げコストが上がり、この価格ではお客様にお勧め出来ないと、かなり急いで開発となりました。
現在はテスト販売の状態で、モノラルのハイローコンバーターか24CHモデルを2CH化したした製品をお使いの方の下取りを含めて優先販売とさせて頂いています。
そういう訳で最近モノラルバージョンを買われた方が損になるという事はありませんので、ご安心下さい。
確かにモノラルの製品よりは販売価格は高くなりますが、元の製品の価格が2台分高くなった事を考えると、もう少し出したら一からオリジナルが買えるのでは?という所から急遽の販売となりました。
もう一つオリジナル製品については、静電気除去システムの『ピアーツ』を一度生産をやめながら、今になって『ピアーツII』をこれも「なぜ今発売するのか?」という質問を毎週頂いていますが、ピアーツの初期型と現行のIIではカーオーディオの環境が変わって来ていて、CD再生ありきの初期型から、スマートフォンでの音楽再生前提の製品のIIという、今の使い方に合わせた製品という事でマイナーチェンジで発売させて頂く事になりました。
今回はデザインも機械的な部分を少なくして、スタイリッシュなデザインとしており、軽自動車などでどうしてもこの状態で取り付け出来ない場合は、ブロック化した分割状態での取り付けスタイルも用意してあります。
そして最近店頭でお聞きするお話で多いのが、「よくブログで趣味の無線について書かれていますが、これってオーディオの音が良くなる事と関係が有るのですか?」という質問を頂いています。
土曜日の夜に複数本の同調波長の違うアンテナを立てて、複数の無線機で受信して、◯波長と△波長ではメーターの振れがいくつ違ったという実験は、 間接的にはオーディオの音を良くする事に繋がっています。
先週の実験では23人参加の内の2人がピュアディオのユーザーの方と、10%足らずの参加しかなく、もう少しお客様に参加して頂きたいと考えていますが、参加されたお客様はその実験の効果については実感して頂いています。
元々オーディオや放送に関するエキスパートは無線の上級資格保有者が多く、自分の10歳上の先輩は大学生時代にアルバイトで民放FM局の開局に関わって、その後プロ用の音響機材の会社に入って海外でも活躍されて、何年も前に退職されて今は余生を過ごされているという方がおられます。
ただ今の日本では無線の上級資格保有者がオーディオのエキスパートという事は無くなって、それは日本では1980年代に27MHzの違法CB無線の流行にありました。
まだ携帯電話が普及する前に27MHzのアメリカ輸出用の無線機を国内に流す業者が多く、それに数百ワットの出力ブースターを付ける輩が多く、日本は世界に類を見ない違法無線局天国となりました。
さらに日本で許可されていないチャンネルを反社が管理して、会費という名の電波料の何百倍のお金を取るという無法状態で、無線イコール技術のエキスパートから柄が悪い違法者の代名詞となってしまいました。
そうこうしているうちに日本のオーディオ業界は評論家が力を持ち「〇〇という高級素材を使っているから音が良い。」とか、「△△回路を使っているから音が良い。」という決め付け話がまかり通って、実際には元の音楽よりもどこか強調してあるという状態でした。
1990年代の半ばに自分が師匠と思って尊敬していた方は、「今の日本のオーディオ業界は評論家と特定のメーカーと雑誌社が牛耳っていて、いくら良い音を出そうとしても評価されないから引退する。」と言われて、「いずれ日本のオーディオメーカーは上場廃止のオンパレードになるから、井川君も早く別な道を見つけた方がいい。」とも言われました。
そんな師匠が投げた業界にすがっているのですから、なかなか日の目を見る事はなく、2000を超えて昔かじっていた放送業界と繋がって、そこから音楽業界とも繋がってプロサウンド的な音を車内で鳴らすという事で、グループ化して販路を広げる事にしました。
しかしここで問題が起きて、グループ店の人間が波長を同調させるとか、インピーダンスの整合性を合わせるとかの意味がわからず、好き勝手な組み合わせを作って、「本店より自分の方が音が良い。」という人が出て来ました。
この音が良いという組み合わせは、コイルとコンデンサの組み合わせをコンデンサ側を大きくして、コイル側を小さくすると、特定の周波数のインピーダンスが低くなり、アンプの電流が余分に流れようとして音がうわずって音が良いと錯覚するという事になっていました。
ただアンプに余力があって、力で無理に押せる時代はそれでも成り立っていましたが、ディスプレイオーディオの時代になって、低コスト化されたカーオーディオでは、インピーダンスの整合性がピッタリに合わせないと良い音が出せなくなって、インピーダンスとか波長が合うという事がとても重要になって来ました。
自分は中学・高校時代にインピーダンス計を買うお金が無くて、勘でインピーダンスを合わせていて、なぜ合ったかどうかが分かったかというと、最も電波が遠くまで飛んで、最も遠くの電波が受信出来るのが波長がピッタリ合って、インピーダンスの整合性が最も合ったと判断していたからです。
ここで自分よりも10歳上のプロ用の音響機器メーカーで働いていた方の話で、日本では無線の上級資格保有者がオーディオ業界では重宝されなくなって市販オーディオはおかしくなって、プロの世界では1級の保持者が当たり前で、無線の様に桁は違ってもオーディオの同調と原理は一緒で、一つの波長の同調とインピーダンスが合わせられない人間が、オーディオの31バンドで左右合わせて62バンドの音がまともに合わせられる訳がない!」という心に残る事を言われました。
そういった意味で中学・高校時代のお金が無くて勘でインピーダンスを合わせていた時代を思い出して、でも今は高い測定器も買えるので精度の高い測定は出来ますが、調整の最初にお客様の車の音を聴いて、左右で62バンドを見渡す様な感じで聴いて、それからコイルとコンデンサの値をどう変えて行くかは、過去にグループ店の人間が「社長は何を言っているか解らない。」と言われた事が多く、じゃあなぜ解らない人が勝手に値を決めて「本店に勝った!」と言えるのだろう?と常に思っていました。
カーオーディオの世界はコンテストなどで勝った負けたがある様ですが、実際には本当の音に合っているかどうかは、他人ではなくてこれまでの自分自身に勝つか負けるかの問題だと思っています。
ちょうど今週の金曜日には防府市で上妻宏光さんのコンサートがあって、お客様で最前列のチケットを買われた方がおられて、今からかなりプレッシャーを感じています。
公演後にはご本人に合わせてあげる約束をしていて、CDの声ではなく生声をお客様に聴いて頂き、これで車の音がズレてでもいようなら恥ずかしいです。
そんな緊張感を持って毎日仕事をしていますが、生の声に合わせるにはインピーダンスの整合性を合わせる事は不可欠で、ズラして勢いは付けられますが、本当の声や楽器の音に合わせるために独自のLCの比率を探さないといけません。
話は長くなりましたが、結局オーディオとは何も関係ない様に思われる実験が、今現時点の音を生に近付ける根源になっているという事です。
ちなみに今のコントロールコンバーターは無線の実験用に用意していたケースを、たまたまサイズが合いそうだと使ってみたら、ギリギリパーツが収まりながらも左右のセパレーションが充分に取れたという、偶然の産物でした。
そのため開発時間が大幅に短縮出来たという事を考えれば、無駄な実験ではないでしょう。
以上、お客様の質問にお答えしました。