毎週土曜日の夜に山陽小野田市の竜王山で行っていた、351MHzのデジタル簡易無線の伝搬実験を行なっていましたが、今年の5月に大分県の無線愛好家の方にお願いして、奇数週は山口県が運用して、偶数週は大分県側に運用して頂ける様になりました。
11月は土曜が5週まであり、12月の第一土曜日も山口県側の運用で、2週続けての後の先週は大分県側に運用して頂きました。
この実験の目的は、351MHzで5ワットの送信が可能で、外部アンテナも総務省の認定を受けている物であれば使う事が出来て、しかも総務省への届出をすれば無線従事者の免許もいらず、昭和40年代にアマチュア無線を始めた自分としては、難しい国家試験に合格してやっと10ワットの出力が出せて、免許の要らない無線は0・5ワットの出力で、しかもアンテナは本体に付いているロッドアンテナのみしか使用出来ないと、夢の様な無線です。
なぜこの様な無線が現在許可されているかというと、災害が多い日本では誰でも使える無線機が出力0・5ワットでは非常時にあまり役に立たず、電話やインターネット網が寸断された時の通信手段として、誰でも使えて5ワット送信が可能なデジタル簡易無線は、災害時の民間通信網として重要で、その民間のボランティアの通信網の構築のために土曜日の実験を行なっています。
そしてもう一つの目的は、今の時代は通信網が発展しすぎて、無線の実験を行う学生さんが激減りして、自分の様なリアルに波長が分かる技術者がほとんどいなくなっているので、自分の技術の継承を若い方にして頂きたいとの思いで実験を行なっています。
先週は20時からの本運用の前に、増波機という新しい規格の無線機を対象とした実験を19時30分から行なって、その司会進行は小学5年製の女の子が担当されました。
山口県には小学2年製の男の子の無線家がいて、以前お父さんに連れられて山口県まで会いに来られた事があります。
最近は福岡県にも小学生の無線家が生まれた様で、最初は知らない人と喋る事の楽しみから、次は「どうやって電波は飛んでいるんだろう?」という疑問について知ってみたいと興味を持って頂きたいと思っています。
先週は大分県側が担当の偶数週で、19時30分から58分までは小学5年製の運用で、自分は自宅の2本の351MHzのアンテナで電波を受信していました。
右手前の3本のラジアルエレメントが付いているアンテナは第一電波の350MVHで、長さが1・87メートルでゲインが7・15デジベルです。
左奥のアンテナは同じく第一電波のSE350で、こちらは横に出たラジアルエレメントが無く、長さは2・25メートルでゲインは7・15デジベルで、見かけ上の性能は同じです。
しかし一般的に使われているのはラジアルエレメントが付いている350MVHで、ほぼ真横に電波が飛んで、長いがラジアルが付いていないS E350は、やや斜め上に電波が飛んで行きます。
これを波長で言うと350MVHが2分の1波長を3段積み上げて、下に下に4分の1波長のラジアル3本で、SE350は2分の1波長3段にした方向に4分の1波長を1本で、同調自体はトータルで1・75になるはずで、それでどちらもゲインが7・15デジベルなのでしょう。(SE350のマイナス側の波長や構造をメーカーが公開していないため、寸法から予測)
そのため一度竜王山の上で2本を試したところ、ラジアル無しが5%ほど飛距離が短く、山頂での使用をやめて、自宅で予備用に使っていました。
しかし先週の土曜日に大分県の標高430メートルの山から出ていた電波は、ラジアル無しの打ち上げ角が高い方のアンテナに強く電波が届いていて、ゲインが同じでも打ち上げ角の違いで、用途が選べるのでわざわざ違う種類を用意している事が分かりました。
SE350は元々船舶と基地局との通信で最も力を発揮出来るのが、平地と山の上のという条件でも好結果というのが、これで複数回同じ様な結果が出ているので、間違いありません。
こんな実験をして何が面白いのかと思われるでしょが、電波も音も見えない相手に推理で結果を予測して、その結果が見えた時の面白さがあるのです。
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2024/12/17 18:33:33