ナショナルジオグラフィックの記事に興味深いものがあった。
色鮮やかで渡りをする鳥類と、目立たない色で渡りをしない鳥類とで、放射線による影響(色素欠乏、奇形等)が違うという。その理由に抗酸化物質や免疫系の違いがあるのではないかという。
放射線が遺伝子を傷つけてガンを起こす理由に、放射線によるOHラジカルや酸素によるDNA損傷がある。通常はこうしたDNAの傷は修復されるが修復しきれないとガン化が起きることがある。
DNA損傷を防ぐには抗酸化物質によりOHラジカル等を除去することが有効と考えられている。
色鮮やかな鳥類は抗酸化物質であるカロテノイドを消費しているので不利である可能性がある。また、渡りで消耗することで、異常を起こした細胞の除去を行う免疫機構のはたらきがよわくなっている影響があるのかも知れない。
いずれにしろ、ひごろから食生活に気を使っておくのはよいことだ。ポリフェノールやカロテン、ビタミンCは抗酸化物質としてよく知られる。私は抗酸化物質が多く含まれる緑茶や紅茶をとてもよく飲む。
以下引用
鳥に現れた異常、チェルノブイリと動物
National Geographic News
April 26, 2011

チェルノブイリの高度汚染地域に生息するツバメの異常発生率が、かなり高いことがわかった。部分的な色素欠乏(b、c、d)、クチバシの奇形(e、f)、曲がった尾や左右不均等な尾(h、i)などが発見されている。生物科学者ティモシー・ムソー(Timothy Mousseau)氏と、協力者でフランス、オルセーにあるパリ第11大学のアンダース・モラー(Anders Moller)氏は、チェルノブイリで10年余り鳥類の個体群調査を続けてきた。最近の統計結果では汚染地域の多様性が低下しており、鳥類の種は非汚染地域の約半分に減り、個体数は約40%まで減少し、脳のサイズも小さい。
「初めて調査に乗り込んだ2000年時点では、異常など見つかる訳はないと思っていたんだ。1986年の原発事故は鳥類に大きな影響を与えていないというのが当時の認識だったからね」とムソー氏は話す。
一方で何も影響を受けない鳥もいる。目立たぬ体色で渡りをしない種がそうだ。「競争相手がいないせいもあるだろう」とムソー氏は推測する。「色鮮やかな羽毛をまとう種と違い、カロテノイド(天然色素の一種)を大量に消費せずに済む。強力な抗酸化物質であるカロテノイドには、放射線被曝の影響を抑える作用が期待できるし、長距離移動で余分なエネルギーを使わないので免疫系が強いのかもしれない」。
Diagram courtesy Tim Mousseau
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011042603&expand#title
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放射性物質・放射線 | 日記
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2011/04/26 13:11:30