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イイね!
2016年11月23日

点数主義に毒された人々


 一つ前に取り上げた少数の筆算の例は、ツイッターで最近賑わわしているものである。

 何が話題になっているのかというと、値が整数になったとき、ゼロを消していない分マイナス1点されていたのが許せないと言うことらしい。


 小学校での筆算では、計算結果が整数になる場合は小数点以下を消すよう指導しているらしい。

 もっとも、筆算自体は計算手段であって、ここでの結果は単なる計算結果に過ぎない。この時点では小数点以下末尾のゼロがついていようがいまいが本質的にはどちらでも言い。

 最終的に整数である場合は整数として表記することにしているらしいのだが、それを筆算の結果でやる事を指導しているらしいのだ。

 それを問題にしている人たちによく見られるのは、数学的に正しいのに減点するとは何事かというものだ。

 数学的視点で見れば正しいのは間違いない。

 ただ、一般社会と数学の標準的取り扱いでは整数は小数点以下をつけてあらわさないことにしているから、それに合わせているにすぎないはずだ。

 整数だから整数と分かる形にしなければならない、という理由付けをする人もいるのかも知れないが、その辺の事情はいくらかあるのかも知れない。

 現実問題として、一般的な表記でない場合誤解されることがある。有効数字を表しているというのが最もありうる誤解だろう。

 それを避けるためにも、ゼロを消す一般的な表記を推奨した方がいいだろう。

 **

 その指導方法がちょっと難しい。

 数学的には正しいのだから、減点されるいわれはない、と言う人は当然いるだろう。

 だからと言って誤解される表記を放置するのは、本人にとってもあまりいいことはないかも知れない。

 直して○、という手はある。

 ただ、現実の子供たちは○がついていると直されたことを気にかけないことが多い。

 そこで少々の減点をする、ということは行われやすいだろう。

 しかしそこで「数学的に正答なのに減点されたら傷つく」と言う人もいる。

 ここで評価とは何なのかという問題が出てくる。

 **

 評価と呼んでいるものには二通りの意味がある。


 一つは指導する側が、指導がどの程度定着したかを調べるために行うもの。当然指導内容に即したテスト等で評価を行う。指導していないことはテストも評価もできない。

 もう一つは生徒自身がどの程度新しいことを身につけたか、あるいはどの程度の能力を持っているかをあらわすためのもの。これは指導内容を超えていればそのことも評価に加えることができる。

 日本の学校教育ではどちらかというと前者の意味合いが強い。

 日本の教育が与えたものをどの程度忠実に再生できるかを重視しがちであることとも関係するかも知れない。

 ともかくも、前者の視点である限り、指導方法に即した答えでないものは評価が低くなる。しかしこれは本人の能力を評価しているわけではない点に注意が必要だ。

 指導結果を知るためのものを本人の成績として渡すことに不自然さがある。

 実際には小学校などでは観点別評価であって、点数は評価に直結しない。

 **

 一方で、本人の学力や能力を知りたいというニーズもある訳だ。これは指導結果の評価だけでは測れない。

 国際学力調査は、それに当たると考えても良さそうだ。

 **

 「減点されるのが許せない」というのは、テストの成績が本人の能力を評価しているという前提でしかあり得ない感情である。

 指導効果の評価の場合、指導と異なる解答の仕方をした場合、指導が身についていないとしか評価できない可能性があるが、それは必ずしも本人の発想や能力とは関係がないのだ。だからゼロつけたからと言って正解であることが本人に伝わってさえいれば、この指導効果の評価が減点されたからと言って全く気にする必要が無い。しかも学問的に正しくても減点されたことに合理的理由あってのことだと伝われば、その減点の理由も内面化されやすいだろう。


 日本の学校では不幸なことに、指導効果測定の点数を非常に重視し、それを本人の能力、成績としてとらえてしまいがちだ。
 実際の成績は小学校等では観点別評価であるからその点数は直接表れることは無い。数学的に正しいが指導と違う回答をした場合もそれが評価テストには現れるかもしれないが成績にマイナスに反映する必要はないのだ。

 成績に反映されないのであれば、評価テストが減点されても、何も気にする必要はない。日本の評価テストの意味を知れば、その得点にこだわることがばかげていることに気付くはずだ。


 評価というものがどういうものなのかが分かっていればいいのだが、日本は得点主義が強く、ペーパーテストの結果を極めて重視する。

 本来そのようなものではない評価テストが本人の能力テストととらえられてしまっているための不幸であると言える。

 そんなばかげた得点主義自体を止めればいいのだ。


 指導効果測定のスコアが低くても、それとは異なる評価軸で成績がつけば問題ないのだ。

 観点別評価は評価テストの点をそのまま成績としない評価である。


 指導自体で教師が想定した考え方以外の考え方も評価することが昔から議論されていて、掛け算の順序問題はその典型だ。

 そうした先人の努力にもかかわらず、うかつな教師やそれが利用する教材会社の評価テストによって、指導した順序を守ったかどうかを評価点にしてしまうことを行うことがあるらしい。それは不幸なことだが、そもそもその日本の学校教育で行われる評価は指導効果を図るための一面的なものに過ぎないことが了解されるべきなのである。

 指導効果測定テストの点数で能力を測っているという理解が改められるべきなのだ。

 **

 しかしながら、観点別評価を嫌がったのは何よりも子供の親である。得点主義に毒されていることと、客観的な能力把握ができないという問題の両方があるのだろう。日本の得点で入学の可否を決める入試制度がその背景にあるのは間違いない。

 子供の自由な発想を評価するには、指導効果評価の重視を止めなければならないし、入学試験で得点で切り捨てる日本的なしくみを止めなければならない。

 海外では入学は容易だが卒業は難しい制度になっている。日本はその逆で、得点を取ることにすべてのエネルギーが傾けられやすい。さらに大学で充分学んでいなかったとしても大学入学時の得点能力が就職でも評価対象に採用されるのだから、日本社会の考え方が病んでいる以外の何物でも無い。だから得点にこだわらざるを得ないわけだ。

 一方、小学校は特に生活上のニーズで教育が行われやすいので、必ずしも能力の学問的評価と一致するとは限らない。それも了解する必要があるし、能力評価を別に行う必要もある。

 そもそも指導効果測定を捨ててしまえば、きわめて柔軟に子供の能力を評価することができる。

 **

 教師も指導効果測定をどうかすると本人の能力測定と思い込んでしまっていることがある。
 能力評価を行うには、教師が本質的な学問を理解しているかどうかが極めて重要である。また、何のためにこのような指導をしているのか、理解していなければ話にならない。

 まとめれば、

・日本の学校教育で行うテストはあくまで指導効果測定。本人の能力測定ではない。
・本人の能力評価ではないことが周知される必要がある。
・親も子も得点主義を捨てるべき。
・本人の発想を活かしたり、与えられたものを再生するのではない能力を育てる教育に移行し、指導効果に縛られない本人の能力評価を充実させる必要がある。
・そのためには入試制度を根本から見直し必要がある。

 こんな所だと思われる。



 

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Posted at 2016/11/23 16:03:53

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