今日ご紹介する1台は先日から福岡店でパッケージの開発を行っている、ベンツのCクラス・セダンです。
まるでタブレットを取り付けた様な大型の画面が付いた新型のナビオーディオは、これまでのW204と違ってナビやデッキの交換が不可能で、音質アップはスピーカー側で行うしか方法がありません。
ただスピーカーの取付位置はドアの上の方で、更に小型になって、音質に不満を持たれている方はかなり多いようです。
今回はお客様のお車を一週間お預かりして、純正スピーカーにツイーターとピュアコンをプラスするベーシックパッケージのテストと、前後のドアの防振ポイントの探り出しと、フロントスピーカーの交換とドアのスピーカー配線が問題なく通せるかの合計4つのポイントを調査しました。
まずダッシュ上に角度を付けたピュアディオブランドのATX-25を取り付けて・・
ドアの8・7センチ・フルレンジスピーカーの信号から中音と高音を分離して、2WAY化して・・
グローブボックス下に隠れている16センチのモノラル駆動のウーファーとつなげて、フロント3Dの3WAY構成と変更します。
ウーファーよりも手前にピュアコンを設置して、あれこれとパーツを交換して・・
棚にあるコイルをあれこれと交換しても全く合う物が見つかりません。
それ以外では現在ATX-25用のブラックボックスのストックだけでも棚の上の方にこれだけ種類があり、どんな車でもピッタリ合う様に対応して来たのが、どれも当てはまりません。
元々純正スピーカーに100マイクロのハイパスがかかっている物など無かったので、これに対応させるためにブラックボックスも後付けのコイルも一から新しい物を製作しました。
もちろん16センチのウーファー側にもハイカットのための専用設計のコイルを付けているので、全て一からの設計でパッケージを開発しました。
ベーシックパッケージ以外ではドアのインナーパネルのプラスチックの響きの中心を確認して・・
防振メタルを貼ってスピーカーの音質と車内の静粛性アップを図りました。
エージング用の何枚も入れ替えて、最後に調整用のCDを使って音調整を行っていて・・
バス・ミッド・トレブルの音調整はすべてフラットで最も音が生音に近くなる様に合わせました。
これでベーシックパッケージとベーシック防振の作業はひとまず完成しましたが、ここからドスピーカーの交換とドアのスピーカー配線の引き替えを追加で行いました。
使用したスピーカーはJBLのGX302のコアキシャルのツイーターを鳴らない様にして、スコーカーとして使用します。
純正位置に入れ替えて、グリルの真ん中に少しオレンジ色が見えます。
ただ純正スピーカーが平均的に4・7オームぐらいで、GX302が約3オームで動作しているためにインピーダンスがかなり違っていて、1・7オーム差があるとパッシブクロスオーバー部分のピュアコンの値が全く違って来ます。
W205専用の純正スピーカー用に設計したピュアコンを取り外し、今度はATX-25とGX302を組み合わせた時の専用のブラックボックスとコイルを製作しました。
コイルはスコーカー側と16センチウーファー用に別々に必要で、それぞれが全て専用設計という、とんでもない時間がかかってW205用のベーシックパッケージとオプションプラスのパッケージが完成しました。
入庫した時はあまりに音が悪くて、「本当にどこまで良くなるのか?」と心配でしたが、手を入れれば入れるほど良くなって、最後は自分のBMW3シリーズのベーシックパッケージよりも良い音になってしまいました。
「店の車がこれではいけない!」と、作業が終わって直ぐに自分車を入庫させて、プラスオプションのパッケージを現在考案中です。
最近の輸入車は走りの性能は格段に向上していますが、オーディオのシステムアップは非常に自由度が低くて、特にドア下に16センチスピーカーが付いていない車種は非常に困っています。
今回はお客様が1週間車を預けても良い音にしたいという思いと、自分の車で実験して他の多くの方も不満を解消して欲しいとの思いでご協力して頂きました。
こちらも全ての車種を開発車両として購入する訳にも行かず、今回はとても助かりました。
ありがとうございました。
追伸
今回開発したパッケージはW205Cクラスと共通部分の多いGLCでも装着可能と思われます。
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Posted at
2016/09/11 11:55:26