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イイね!
2021年09月02日

新・お客様の質問にお答えして 第9話


『新・お客様の質問にお答えして』も第9話となりました。


今日は初心者のお客様の疑問で多い、「なぜ棚にあんなに多くの種類のコイルが必要なのですか?」という質問と・・


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それに関連した質問で、「多くのボーカリストの方に会われて、生の声を知っているから、それぞれの人の声が最も良く聴こえる様に合わせてもらえるんですよね。」と聞かれた事もあります。


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過去には、「自分はセリーヌ・ディオンしか聴かないので、そこだけ良い音で聴ける様にして下さい。」と言われた事もありますが、この棚の多くのコイルは『特定のボーカリストに合わせる』ための物ではなくて、全てのボーカルや楽器の音が本来の音で鳴る様にするために、あるポイントを狙うための数なのです。


そのあるポイントとは、レコーディングスタジオや放送局のスピーカーはどこかに偏った音造りは出来ず、ピアノの調律の様に正しい音色に合わせて、全ての音楽ジャンルがきちんと鳴るという大前提の元に成り立っています。



自分が26歳の時に宇部市からFM山口がある山口市まで車で移動していて、車用のCDプレイヤーで国産の2WAYスピーカーでその日かける予定の楽曲を聴きながら移動していました。


しかし何かがおかしい? 明らかにスポイルしてある音域と、明らかに強調している音域があって、それをイコライザーでレベルを動かすと今度は音色が変わって聴こえて、局のスタジオのモニタースピーカーで聴くときちんと聴こえるのは当たり前で、それどころかCDプレイヤーの頭出しで短時間聴く10センチのフルレンジスピーカーでもボーカルはきちんと聴こえて、その時に「カーオーディオの音ってなんでこんなにズレているんだろう?」と、スタジオからの帰りの車の中では音楽を聴くのが楽しくありませんでした。



1987年の初めには音楽番組を製作する事が無くなって、カーオーディオの販売・取付に専念する様になったのですが、どうしても一般的なカーオーディオの音ではなくて、スタジオ用のスピーカーの様なクセの無い音を追い求める様になって、またそういう音が好きなお客様が自然と集まって来て、他とは違うカーオーディオのお店になっていました。



あれこれ試行錯誤しているうちに、30年まえにメーカー製のパッシブネットワークのコイルはほとんどPが多めに巻いてあるものばかりで、高音と低音が強調された当時はドンシャリと呼ばれた物で、そのコイルをじわじわほどいて行ったらミッドの上限周波数が伸びてフラットな音に近くなるというのに気が付きました。


ただほどき過ぎるとミッドと上限とツイーターの下限が重なってボーカルが薄くなってしまうので、どうしてもほどき過ぎない様に寸止め的なセッティングになり、「もう少しほどきたい。でもほどき過ぎたコイルはもう元には戻らない。」のもどかしい寸止めセッティングで、ある日「あっ!失敗したら代わりにホームオーディオ用のコイルを入れればいいんだ!」とアイデアが浮かびました。


しかしホームオーディオ用のコイルはカーオーディオ用よりも大きくて中に入らず、それでボッスの外に出して簡単に交換出来る様にすればいいんだ!と気が付いて、更にコンデンサも大きくて質の高い物に換えればもっと音が良くなるしと、今のブラックボックスと後付けコイルのピュアコンの形になりました。



ちなみに現在のピュアコンとコイルの表は宇部店と福岡店でこれだけあり、青で囲ってあるのがコイルの在庫表で、左側はブラックボックスとそれ以外のオプションの在庫表で、ピュアコン発売から29年でここまで種類が増えて来ました。


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コイルの表にはマイクロヘンリーで数字が記入してあって、一番小さなコイルが1マイクロHで、一番巻きが大きいのが1100マイクロHです。


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1マイクロはミッドの上があまり伸びないスピーカーを、ドアの下の方の位置でインナーで取り付けた時に使います。


1100マイクロは現行のベンツのCクラスで、ヌケの良いスコーカーを取り付けた時用の値です。



ちなみに1マイクロの次は1・5マイクロで、当初は1の次が2だったのが、1で耳に入る中音が濃くて、2では逆に薄く感じる車があったので、間の1・5を後から設定しました。



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普通ベーシックパッケージは1マイクロ刻みで、ごくまれに0・5刻みでないと本来の音色に鳴らない時は間の値を作ります。


こちらはある車種で45マイクロで濃く聴こえて、46では薄く聴こえたので、45・5という値を、その1車種用に作りました。


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現在は表で見ても、棚を実際に見ても土日に使って空いている値があるので、これから週末にかけて作って行きます。


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こちらの赤いコイルはこれから女性社員が6本のインシュロックの下にヤスリをかけて、全て高さを均等にしてからベークライト板に貼り付けます。


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全くぐらつきが無い様に平行を保って、6か所からコイルに起こった微弱振動をべーク板に逃がして、透き通った音が鳴る様にします。




ブラックボックスも足りない数字が出て来ているので製作して、JU60用は最初の数字が4桁で、ベーシックパッケージ用は3桁の数字で表記されていますが、176ではツイーターのレンジが足らなくて、177ではレンジが広く感じる車種があったので、その車種用で4桁のベーシック用のブラックボックスを製作しました。


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この差はこれまで何人ものボーカリストに会って生の声を知っているからの数字選びで、この人の声がこう聞こえて、この人の声がこう聞こえるからこのセッティングが正しいという合わせ方です。



ちなみに『A LC』と記されているのは、Aは入出力の24金メッキギボシがAクラスの物を使用しているのと、LCは中に入っているコイルが内径の大きいラージコイルを使用しているという意味です。


輸入車のクリーンディーゼル車の燃料制御ユニットから強いノイズが出ているので、その時は内径が小さくノイズの載らないSCを使う様になるので、そのれが選別出来る様になっています。



ここまで細分化しないといけなくなったのはここ2・3年で、近年車のオーディオや制御などの仕様が細かくなって、それに追従するために、たった数年で1・5倍ものコイルやユニットの値を違う物を用意しないと、本来の音楽に近い音が再現出来なくなって来ています。



2000年代前半は、モデルチェンジでも前の車用のパッケージがそのまま使用出来る事もあって、現在ではグレードでパッケージの内容が変わってしまうので、その時代の車に追従するための日々開発に励んでいます。


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Posted at 2021/09/02 11:14:15

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サウンドピュアディオの井川です。 福岡県・山口県でカーオーディオ専門店を営んでいます。 アーティストとのコラボレーションにより、より生演奏や生の声に...

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