何週間か前にテレビで『飲食店業界のタブーに迫る』という内容を放送していました。
テレビでは視聴率が取れるから安さやデカ盛りを取り上げる番組が多いのですが・・

その安いデカ盛りこそが飲食業界の首を締めているという逆のテーマの事を話されていました。
その番組を見ていて、「これって1990年台のカーオーディオ業界に似ている!」とふと過去を思い出しました。
カーオーディオ業界の『安さデカ盛り』とは一時期の低音をドカドカ鳴らす『音圧ブーム』で、アメリカから安いウーファーやアンプが大量に輸入されて、国産メーカーもそれに合わせて安いウーファーを次々発売して、あちこちでドカドカ鳴らす車が出没して、それが原因で「カーオーディオは下品!」というイメージが浸透して、品の良いお客さんがカーオーディオから離れて行ったという、長い目で見たらマイナスな現象が起きました。
当時は安いウーファーやアンプを扱う卸屋が店に来て、「今音圧ブームに乗らないと店が潰れますよ!」とあれこれと商品を勧めて来ましたが、「うちは音圧はやりません!」と断っていました。
結局うちの事をつぶれると言っていた卸業者の方がブームの後に潰れてしまい、音圧ブームの前と後ではその前の方が業界全体のサイズが大きくて、もうスケールが小さくなった業界は元に戻る事は無くて、少なくなったシェアを取り合うために安さと耳の錯覚を利用したキャッチーな音という、もう前の業界には戻れない状態になっていました。
そんな中でもサウンドピュアディオは昭和50年台の後半から平成の始めぐらいの、まだ真っ当な音が主導権を持っていた時代のやり方を踏襲していて、時代はプレミアムサウンドとディスプレイオーディオでどんどん変化する中でも、以前の良き時代のカーオーディオ的な音を今の機材を使って再生させる努力をしています。
ところでなぜ1990年台に日本のカーオーディオで音圧ブームが起こったかというと、当時中東戦が起こっていて、そのためにアメリカの軍事産業ではミサイルの誘導装置に使うDC・DCコンバーターという回路が大量に作られました。
しかし中東戦争が予想よりも早く集結して、それで余ったDC・DCコンバーターの使い道はないかと考えた業者が、カーオーディオのアンプに転用出来るという話になって、にわかのカーオーディオ用のブランドが出来て、大量に日本に入って来たと言われていました。
もちろん安くてパワーは出るがクオリティーはそれなりで、ある程度行き渡ってコンバーターの在庫が無くなればそんなブランドはもう日本に入らなくなって、後は荒れた市場が残っただけでした。
その後は日本メーカーが安くて低音の出るウーファーを発売しましたが、それは音楽とは違う空気の振動の音で、文化レベルの高い音楽を表現出来る物ではありません。
この前見た番組の中では一度失われたものは簡単には元に戻らないという話もされていて、簡単に売り上げを上げる方法が食文化に悪い影響を与えるという、その言葉の意味が自分のいる業界と比べて良く分かりました。
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カーオーディオについて | 日記
Posted at
2021/12/21 19:54:31