新・お客様の質問にお答えしても第18話となりました。
今回のお話は初めて来店された方や、ピュアディオのユーザーになってまだ間がない方に多い、「デッドニングとピュアディオの防振はどう違うのです?」というご質問です。
まず新規でピュアディオにおみえになったお客様に防振の説明をすると、「それってデッドニングですよね。」と言われますが、一般的なデッドニングとピュアディオの防振は手法も結果も全く違います。
そもそも今のデッドニングは1990年代に開発された防振方法を受け継いでいて、2000年以降に車のドアは大きく変わって、ピュアディオでは2000年以降に防振の発想を180度変えました。
それは1990年代のドアの外板側が強くて、内側の鉄板が柔らかくて、内側に主に防振材を使うという手法が、2000年以降に発売された車では真逆になっていて、外板側を柔らかくして追突された時の衝撃をやわらげて、内側の鉄板を固くして中の人を守るという考えで、2000年ぐらいを堺に内外の硬い・柔らかいが完全に逆転してしまっているのです。
なのでこの様に内側の硬い鉄板に大量に同じ防振材を貼っても、ブチルゴムの鈍い響きがスピーカーの音に乗っかって、低音の量は増えるが本来の音楽の音とは別な音という事になってしまいます。
せっかく他所のお店で貼られたデッドニングの防振材も、ピュアディオの防振と音の互換性がないために、全て剥がしてから一から防振をやり直さないといけません。
これだけ大量のブチルゴムを使っていると、ゴムの膜で太鼓の様になって確かに音圧はアップしますが、ピュアディオの防振の小気味よい音とは全く違い、音楽性が殺されている感じで、元々デッド=死を意味しているので、言葉として縁起も悪いのでピュアディオはデッドニングという言葉は使いません。
ほぼ同じ様なドアでもインナーパネルの樹脂部はゴムを含まない金属シートで貼って、切り口は全てシリコンでコーキングしてあります。
またピュアディオではほぼ響かない硬い内側の鉄板に防振材を貼るのではなくて、外側の柔らかい鉄板の裏に共振点の違う複数の防振材を使って、ドア全体の響きをトータルで静める様な手法を取っていて、ドアの重量が増えない割に高い防振効果が得られる様に、それぞれの車のドアの響きを研究して、組み合わせを考えています。
それに加えてピュアディオではデモカーや代車など、多くの車を所有していて、実際に長時間走行してその結果がお客様が支払われる価格に対して、最も有効であるという事をテストしています。
他には国産車のドアで広くサービスホールが空いている場合は金属シートで穴を塞ぐ防振を行って、切り口は全てシリコンでコーキングして、将来的な剥がれを防止しています。
これは他店で内張裏に防振材を貼った例ですが、1年ぐらいで剥がれを起こしていて、元々効き目の薄い防振材が更に効かなくなっています。
ピュアディオでは内張裏にはマットを貼らずに、石灰石をベースにしたセメントコーティングという手法で、乾燥すればカチッとした小気味よい響きでスピーカーの音色に余分な響きを重ねない様にしています。
このセメントコーティングは開発当初は均等に塗っていて、それではドアが重たくなる割には振動が消えにくく、逆に薄くして厚い部分と薄い部分をランダムに作る事で、これまで通過していた振動を通過し難くする効果を得ています。
ドアの内張裏はツルツルでそのままではセメントコーティングは剥離してしまうので・・
表面に粗目を付ける下地作りをした後からコーティング剤を塗り込んで行きます。
その前のマスキングの作業と合わせると、かなりの時間を要するのがセメントコーティングです。
自分は高校を卒業した後に、美祢市の石灰石加工会社で働いていた事があって、その時に石灰石の基礎や化学変化によるPH値の変化など、カーオーディオ業界の人が普通は得られない情報を叩き込まれていて、その後カーオーディオの職に就いてから10年後にこの時の社員研修が役に立つ事となりました。
そんな訳で初めて来店された方から、「防振とデッドニングは同じですよね?」と言われましても、「手法も材料も考え方も全く違います。」とお答えしています。
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Posted at
2022/03/09 10:20:16