不定期シリーズのお客様の質問にお答えするのシーズン3の続は、初期の頃の内容に比べると今の車に合っているので好評を頂いています。
先日このシリーズに質問を頂く方を調べてみると、来店までの距離が市内・県内・隣接県・それ以外の県外と4つに分類されて、お付合いの期間としては1年以内・5年以内・15年以内・それ以上の4つに分類される事が分かって、それぞれ質問の内容が違っていて、特に来店までの距離が遠い方やお付き合いが1年以内または現在購入を検討されている方からするともっと細かく解る様に書き込んで欲しいというご要望がありました。
そこで今回はあまり見せたくはないけれど、けっこう深い所までお見せしたいと思います。
まず圧倒的にご質問が多いコントロールコンバーターについて、ハイローコンバーターとどこが違うのか、どうして4つのラベルが存在するのかなど、不思議な部分が多々あって本当に分からない事ばかりでしょう。
まず4つのラベルの色分けは、青が最もクールな鳴りで、オレンジが一番マイルドな鳴りで、ピンクと赤がその中間で赤の方がややシャープという特性です。
またボリュームのダイヤルがモデルで形が違っていますがこれは音とは無関係で、なかなかこの手のパーツが無いので少しづつ買っていたらデザインが揃わなくなり、実際に車に装着した後はレベルが動かない様にダイヤルを抜いているので、一時的な使用というのもあってデザインがバラバラです。
ダイヤルのデザインがバラバラでも中のパーツの左右のペアリングはしっかりしていて、まずは各パーツを仕入れたら一度測定器をかけて数値をラベリングしていきます。
これはトランスでパーツを仕入れた時点で1次側と2次側のインピーダンスをある条件で測定して、前の数字が1次側で・の後ろが2次側の数字です。
ただ左右がピッタリ合うトランスが存在しないので、誤差1・5%以内で左右をペアリングすると、3つのペアが出来て、その数字の比率でどの色のコンバーターに使うか決めます。
20個の抵抗を仕入れて全てΩ数を計測するとかなりばらつきがあります。
測定は抵抗しか測れないのに10万円以上する優れ物で、これで測った数字をラベリングしています。
ラベルの色によって必要な値が違って、5・100ピッタリが必要な場合と、5・1よりなるべく低い値が必要な場合で、2パターン合わせて3ペアしか取れませんでした。
後は将来何か必要な事があるかも知れないのでストックしておきます。
こんな感じでパーツを仕入れても全てを使う訳ではなくて、大手メーカーがしないこのペアリングによって左右がピッタリ合った感じで音楽を聴く事が出来るのです。
もう1つコントロールコンバーターについての質問で、コントロールコンバーターに付けているパワーアンプが、世の中には50万円とか100万円を超えるアンプがあるのに、なぜあまり高いアンプを使われないのですか?という事をよく聞かれる事があります。
特に他のカーオーディオ専門店に行った事のある方なら、高いアンプを取り扱っているお店が一流の証と思っておられる方も多く、10万円以下のアンプか高くても他の専門店よりはかなり低い価格のアンプばかりを扱っています。
某メーカーの新製品の発表会に行って某専門店が200万円台・80万円台・20万円台のアンプを聴いて、「やはり200万クラスでないと、まあまあで80万円クラスだな。」みたいな事を話されていました。
自分の感想は、200万円クラスは音が実際よりも勢いが付き過ぎていて不自然で、80万円クラスでもまだまだ勢いが付き過ぎで、20万円クラスでやっと本来の音楽の音に近くなったという感じで、どうしても安いアンプの方を選んでしまいます。
これは高性能や高スペックを意識して本来の音よりも勢いが付き過ぎて、高性能でも高忠実度ではなく、どしても価格の低い方に引かれますが、かといって国産の値段が安い割にパワーが出るアンプも嫌いです。
安くてパワーが出るならそれはコストパフォーマンスが良いのでは?と思われる方もおられますが、安くて上っ面のパワーが出るアンプはインピーダンスが規定の4Ωよりズレて再生する場合は、4Ωピッタリではそのパワーが出ても、そこからズレた値でガックリとパワーが下がった場合は張り出しの良い周波数と後ろ髪を引かれる様な周波数が混在して、音楽としては楽しくないので安い国産のパワーアンプはお勧めしていません。
値段が高ければいい訳でも、安ければいい訳でもなく、ちょうど良い音色のアンプを探すとなかなり幅が狭くなります。
そうは言っても1980年代から1990年代の前半はプロのスタジオに近い音の『セミプロ機』みたいな物が沢山あって、そんなに困らなかったのですが、90年代の後半にはそういう商品が市場から消えて来て、2001年にピュアディオブランドを立ち上げてセミプロ機みたいな物を作ったり、市販の物をチューニングしてセミプロ機化して来ました。
2020年代になってからは純正オーディオのディスプレイオーディオ化が進み、反対にオーディオレス車がどんどん減って来て、純正のディスプレイオーディオのパワーアンプがインピーダンスのズレにあまり対応出来ずに、高性能なスピーカーに交換をしても、どこかの音域で後ろ髪を引かれる感じがして物足りなくなるのがインピーダンスのズレに対応する能力が無いからです。
ただ純正ですから純正スピーカーのインピーダンスの変化の範囲に合わせていればいいだけで、後付けのスピーカーには対応する必要は元々無い訳です。
ここで音質アップを図るためにハイローコンバーターやイコライザー付きアンプなどが世の中に沢山発売されていますが、どれもセミプロ的な音質になる物がなく、当初はオーディオテクニカのハイローコンバーターのチューニングに始まり、昨年の終わり頃から金属ケースの加工から行うハイローコンバーターを大型化して、大型のロータリーボリュームを使って細かなレベル調整が出来て、アンプと前段のマッチングを完全に取るコントロールコンバーターを発売した訳です。
最初は金属ケースの穴空けは社員が行って、自分は組み立てるだけだったのが、社員が組み付けるのが忙しくなって、今は自分がケースの穴空けまで行っています。
実はこれまでコントロールコンバーターの音を聴かずに購入を決められた方も何人かおられて、ボリュームのツマミを動かして、滑らかな動きに高級ホームオーディオと同じ感覚で、これなら間違いなく良い音になるだろう!と、これまでのマイナスドライバーを挿して半固定ボリュームの不安定な調整に不満を持たれていたからでしょう。
今回は遠くからご来店されるお客様のために、普段はお見せしない部分の写真も掲載して、分かりやすくお届けしたつもりです。
毎回お客様の質問にお答えしては文章が長くなりますが、今日の説明を読まれてこれまでよりも、もう少し深い部分を知って頂ければと思っています。