最近発売したピュアディオブランドのZSP-LTD15ですが、製品をそのまま車に取り付けているのではなく、一度社内で鳴らしこんでコンディションを整えた上で取り付けを行っています。
宇部店の裏では13センチのミッドのみを単体で鳴らして、音が滑らかになってからお客様の車に装着しています。
アンプからはフルレンジで信号を送り、手前で6デジベルスロープになる様にコイルを通して、ハイエンドの音は入らない様にして鳴らしています。
福岡店では店内の奥の方で2WAYのボックスに組んで鳴らしていて、中のネットワークは通さずに、別なコイルで高音域が入らない様にしています。
実際に車に付けた時のコイルの巻き数よりは少なくして、やや上の周波数まで入る様にして鳴らしています。
ミッド単体で鳴らしている理由は、どのぐらいの鳴らし込みが進んだか判断しやすいからで、その状態で聴き過ぎるとハイエンドの無い音に耳が慣れるので、3WAYの801型スピーカーも聴く様にして、基準がずれない様にします。
ピュアディオのデモカーのナンバーが801なのは、平成の初めにこの801型スピーカーを基準に音を決めようと思い購入して、この801も1型・2型・3型とマイナーチェンジを繰り返して、これは最終型のシリーズ3です。
実はサウンドピュアディオ=パッシブネットワーク方式でマルチアンプを否定しているという図式がありますが、この801型を初めて店舗に導入した時はマルチアンプ方式を推奨していて、『マルチアンプの複雑な調整の基準に』という理由から導入しました。
今だから言えるのですが、801の2型を初めて店舗に導入した時はお客様からの不満が爆発して、「何回調整してもこんな音にならないじゃないか!」とのお叱りを沢山頂きました。
その一方で、「パッシブネットワークで鳴っている音をマルチアンプで鳴らすのは限界があるから、同じネットワーク方式で鳴らしてみたらどうか。」というご提案も頂きました。
そこでパッシブネットワークに変えてみたら801スピーカーに近い様な音色になったのですが、今度はクロスポイントが自由に変えられないからツイーターとミッドの音に開きがあったら全く可変出来ません。
それでメーカー製のパッシブネットワークのコイルをほどいてクロスポイントを変えるというやり方を始めて、その後ネットワークその物をブロック化して自由にクロスポイントを変えられるピュアコン方式を考案しました。
当時マルチアンプでどうやっても801の音に近づかなかった理由はインピーダンスの差で、アンプとスピーカーを直結すると伝導ロスは発生しないのですが、逆にインピーダンスが高い周波数は音がかったるく聴こえて、低い周波数ではヌケが良すぎて冷たい音になり、イコライザーでレベルの上げ下げをしても冷たい音はそのままで、それを改善するには途中にネットワーク回路を入れて、高い所は低く、低い所は高く変化させて、平滑化する事で音を滑らかに自然にするという手法を取っていたからです。
だからお客様からは、「このスピーカーを聴くまでは自分の車の音が良いと思っていたが、今ではもっと温かみがある音の方が良いと思い始めた。」と言われたのでした。
『ひょうたんからこま』ということわざがありますが、マルチアンプを勧めるために買ったモニタースピーカーが、まさかマルチアンプから足を洗うきっかけになるとは、注文した時には思いもしませんでした。
Posted at 2016/02/10 12:30:25 |
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