今日も昨日に続いて、奈良県宇陀市に残る明治時代に建設された旧伊勢本街道の新道跡である廃道を探索してきました。
昨日3月7日土曜日は、深霧隧道の西側坑口まで行ったところで同行していた母の要望もあり引き返しました。時刻も15時近くで、ろくな道も無い尾根を越えてそれ以上奥地へと進んでいくことは確かに難しいところでした。
ということで、本日雨天ではありますが片道約160kmを二日連続運転し(笑)、今回は一人で現地へとやって来ました。
今回の主目的は深霧隧道の東側坑口の状況確認と、その先の廃道が旧国道369号栂坂峠(峠付近の旧国道も旧伊勢本街道の明治新道由来らしい。)までつながっているのか踏破して確認します。
せっかくなので、煉瓦造暗渠がある地点の写真と暗渠の写真を。
昨日撮っていなかった三差路の写真。ここは左折が旧伊勢本街道です。
深霧隧道の西側坑口へとやって来ました。
トンネルの上に見えている尾根の鞍部まで斜面を登っていきます。
尾根から深霧隧道の東側坑口付近を見下ろしています。
ここから谷底の廃道まで下りるのが大変でした。周囲は急斜面ばかりの上、雨で斜面の土がぬかるんでいて、ちょっと気を抜くと滑り落ちていきそうな感じ。少し下りては周りを見渡してルートを探すということを繰り返していたので、10分くらいかかりました。
深霧隧道の東側坑口の全景です。ご覧のとおり完全に埋没していました。
少し近づいての写真。左側の木の根元に石があります。
加工された石材です。土留めの一部でしょう。
坑口跡と思われる崩落場所へと近づきます。ここにも石積みがあります。
一部しか見えませんが、きれいに積まれています。これはトンネルの翼壁かもしれません。
おそらくは、この写真の真ん中部分にトンネルの坑口があったのでしょう。
これは右側に移動してから撮りました。
推測ですが、トンネル坑口上部の斜面が地滑りを起こして、坑口を埋めてしまったのだと思われます。もし掘り返せることができれば、坑門が一部は残っているかもしれません。
それでは、ここから栂坂峠の旧国道を目指して廃道を辿っていきます。
ところが、間もない所にある沢と交差する地点で途絶えてしまいました。対岸に廃道が続いているので橋が架かっていたのかもしれませんが、橋台は残っていません。
深い沢なので少し引き返し、やや下流にある作業道を使って対岸に残る廃道へと戻ってきました。
谷側の路肩に煉瓦構造物がないかを確認しながら歩いていきます。
また沢に当たりました。ここも橋台がありません。上流側に迂回する道が付いていたので、これは作業道としての橋の跡かもしれません。
切り通しを通り抜けたところで、作業道として使われていた形跡はなくなりました。道の真ん中に植林されています。廃道の本番です。
次の沢で、ようやく石積み橋台を見つけました。
沢の中から。
振り返って。
この先、やや幅の狭い道跡が続きます。
ふたたび道幅が広がりました。小さな落石が見受けられます。
川に近づいたところで道が河原へと急に下っています。本来は写真右側へと道があったようです。
対岸に渡り、本来の渡河地点を撮りました。川に向かってカーブしてくる道形が見て取れます。
ここからは林道として使われているようです。
谷側に石積み擁壁を見つけました。
この直線の先で三差路になり、左折すると橋を渡り、旧国道へと出ることができます。
さて、昔の街道も同じ地点で川を渡り、栂坂峠へと向かっていたのでしょうか?私は新しい橋というのは古い橋とはやや違う場所に架けるものだと思っているので(違う場所に架けないと工事の間は川を渡れないですから。もちろん、他の理由もあるでしょうけどね。)、もう少し真っ直ぐ進んでみます。
川を眺めながら歩くこと100mくらいでしょうか。川べりに石垣が見えました。
石垣のある所まで小さな土手があるように見えます。
川へ入ってみると同じ場所の両側に石垣。ここに橋が架かっていたようです。
一部崩れていますが、石積み橋台ですね。
このアングルから見るとよくわかります。川に向かって土手をせり出してから石積み橋台を据えてあります。
川を渡った先は倒木が多くて道跡がはっきりしませんでした(写真は林道側から撮ったもの。)。
栂坂峠への旧国道に旧伊勢本街道がつながっていたことがわかったので、橋を渡り旧国道へと出ます。ひとまず目的は達せられましたが、トンネルから東側で煉瓦造暗渠を発見できなかったのは残念でした。
探索が終わったので車へと戻るわけですが、ここから車へと戻る方法としては、1.廃道を戻る。2.旧国道を通って戻る。の2通りです。単純に歩く距離を考えると廃道を戻ったほうが近いです。しかし、雨でドロドロになっている深霧隧道の急斜面の尾根をもう一度上り下りするのは相当厳しい。
ということで、明らかに遠回りではありますが、旧国道を通って戻ることにしました。
国道369号バイパスの石楠花トンネル・栂坂トンネルの間に来ました。
「ここからバイパスのトンネルを通れば少しは近いじゃないか!」と思い立ったところ、幸いバイパスへと上がる階段があったので登っていきました。
ところが、橋梁部分を見ると歩道がない。ということは、歩行者は通行できない可能性が高い…。トンネル内も幅の狭い段差しか設置されていない。
仕方がないので、旧国道へと戻ります…。
旧国道と奈良県道28号の交差点に着きました。帰り道の距離の3分の1を過ぎたところですかね。
ここからは写真も撮らず(撮るようなものも無いので。)、ただ黙々と歩いていきます。
だいぶ車へと近づいた地点、真上の廃道にある煉瓦造暗渠を撮ってみました。
やっと車へと戻ってきました。
ボリュームはありましたが約2時間半の行程。想像していたよりも短い時間で巡ることができました。深霧隧道を中心にすれば半径ほぼ1kmの範囲内での行動でしたからね。それでもけっこうくたびれました。傘に当たる雨音を聞きながら誰も通らない旧国道を歩いている時は、疲れとちょっとした満足感で少しハイな気分になってました(笑)。