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小林あにのブログ一覧

2024年03月07日 イイね!

【奈良県十津川村】立合川右岸の木馬道を探索する(3)

2023年12月9日土曜日、奈良県吉野郡十津川村を流れる立合川右岸の木馬道を探索してきました。

立合川右岸の木馬道については2023年11月18日に初めて探索しましたが、その時は通過不能な崩落地に遭遇したため撤退しました。今回はその崩落地を迂回して、さらに奥地へと探索を進めることを目的としています。

当日9時25分頃、前回探索時にも駐車した国道169号小松トンネル付近の路肩へとやって来ました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

国道169号立合川橋から立合川上流を眺めます。最初に来た時はこんなに何度も訪れるとは思っていませんでした(笑)。


前回探索した時と同じように、立合川橋の西側のたもとから近畿自然歩道へと入っていきます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

まずは前回撤退した場所を目指して木馬道を進んでいきます。






前回撤退した崩落地に到着しました。駐車場所から約1.6km、1時間20分ほどかかりました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さて、この場所からはふたたび迂回ルートを探す必要があります。まずは立合川上流方向へと進めそうな場所を見つけるため、この急斜面を登っていきます。


上流方向へと移動できる平場を見つけたので進んでいきます。


程なく行き止まりとなってしまいました。ここからさらに高い場所へと迂回する必要があるので、この柔らかい土が積もった斜面に長靴で足場を作りながら慎重に登っていきます。もし足元が崩れて転んだら、そのまま斜面を滑り落ちて谷底へと真っ逆さまです。


土の斜面を登り切ると、今度は写真右側の木を手すり代わりにして、さらに土が被った岩場を登っていきます。


ふたたび水平移動できる場所を見つけて進んでいくと、無数の尖った石が転がる傾斜地へと出てきました。この傾斜地を利用して、今度は木馬道への復帰を目指して下っていきます。




場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

行けるところまで下っていってみましたが、木馬道まではたどり着くことはできず、また上流方向へと移動していきます。




歩き進めていくと下側へと向かう踏み跡を見つけました。もしかしたら木馬道まで続いているかもしれないので、進んでいってみることにします。


歩いてみると、この踏み跡は獣道ではなく、人が歩くために造られた道のようです。しかし、すっかり荒れ果てているので、歩くのになかなか難儀しました。


目論みどおり、木馬道へと復帰することができました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

ここは道幅もしっかりあって、きれいに道が残っています。


倒木と落石。ちょっと路肩から身を乗り出すのは怖いですが倒木を跨ぎ、落石は山側へと迂回して進みます。


いやぁ、なかなかの高所を通ってますね。これくらい幅があるならあまり怖くはないですが。


またしても木馬道が途絶してしまいました。また迂回ルートを探さないといけません…。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

ちなみに、ちょっと見づらいですが、写真の黄色枠内の岩壁を見ると逆コの字型に掘削されています。ということは、おそらく私の立っている場所から岩壁に向かって桟道が架かっていたということですね。


ふたたび急斜面を登り、迂回できるルートを探しつつ上流方向へと歩いていきます。


植林地へと出てきました。この傾斜なら下方向へと下ることができるので、木馬道への復帰を試みてみます。


木馬道が見えました。急ぎ足で行きたいところですが、足元は枝葉と間伐された丸太に埋め尽くされているので、ゆっくりとしか進めません。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

岩を切り取って開削された私好みの道ですね(笑)。




谷側の路肩は石垣が組まれているようです。


あんまり距離はないでしょうが、確認のため行けるところまで下流方向へと進みます。


さらに2分ほど歩いたところで木馬道は途切れてしまいました。この先に道があったような痕跡は見い出せないので、桟道が架けてあったのかもしれません。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

木馬道へと復帰した植林地まで引き返します。




ふたたび木馬道を上流側へと進んでいきます。


植林地が比較的緩やかな地形だったので、しばらくは元の幅の木馬道が続くのかと淡い期待を抱きましたが、すぐに荒れた道跡になってしまいました。






ふたたび現れた植林地では元の道幅に戻ります。


ガレた斜面を横断していきます。


岩の隙間に石を詰め込んで路盤を造成してあります。


岩の切り取り工。


ここも石垣道になっていますね。


そして、ふたたび木馬道が途絶してしまいました。対岸の黄線を引いた段差が木馬道の痕跡だと思われます。時刻はすでに13時過ぎ。また急斜面を登って迂回ルートを探すのは骨です。今回はここで引き返すことに決めました。


場所はこちら。駐車場所から約2.5kmの地点で、ここまで2時間15分かかりました。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

立合川が流れる谷を見下ろしています。左岸側の木馬道でもそうでしたが、渓谷の険しさゆえに、木馬道から立合川の流れを見ることは全くできません。




それでは駐車場所へと引き返していきます。この木馬道の探索では迂回ルートでの移動を繰り返しているので、当然帰り道も木馬道から外れたアップダウンの激しい道のりになります。

しかもできる限り正確に往路で歩いた迂回ルートをトレースする必要があります。もし違う場所に出てしまって迷子になると、正しいルートへ戻るために引き返すなど、無駄な労力を使う羽目になるため、全く気が抜けません。




初回探索時の引き返し地点までは無事に戻ってきました。この後もまだまだ危険箇所があるので、気を引き締めていきます。


さらに初回引き返し地点から歩くこと約50分、近畿自然歩道への合流地点に戻ってきました。ここまで来れば一安心です。


朝と同じように国道169号立合川橋から立合川の上流方向を眺めます。


今回も何とか無事に駐車場所まで戻ってくることができました。立合川右岸の木馬道の探索、私にとってはなかなかハイリスクな探索でした。


今回の探索ルート図です。赤線が今回新たに探索した区間になります。往復距離4.8km、活動時間5時間40分の探索でした。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

「もう訪れることは無いかもなぁ。」と思いつつ、まだ先へと進めるのではないかという気持ちも当然あります。しかし、いかんせん左岸側に比べて右岸側の木馬道は残存具合が悪すぎて、探索の成果を得るのにかかる労力と危険度合いが高すぎる気はします。まあ、どちらにしても当面再アタックしないのは間違いないですね。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
Posted at 2024/03/07 21:01:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2024年01月30日 イイね!

【奈良県十津川村】立合川右岸の木馬道を探索する(2)

2023年11月18日(土)、奈良県吉野郡十津川村を流れる立合川の右岸に残る木馬道を探索してきました。

入口から何度も危うい場所はありつつも歩いてくることができた右岸側の木馬道ですが、ここでついにバッサリと寸断されてしまいました。この先へと進むためには、大回りしての迂回を試みるしかありません。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

寸断された場所から少し戻った場所。この場所から、山の上へと進むのにお誂え向きな岩棚がありました。登っていってみることにします。


まるで人の手で造られたような平場が続いていますが、間違いなく自然の造形によるものでしょう。


岩棚が終わった所で折り返し、さらに山の上へと斜面を登っていきます。けっこうしっかりとした踏み跡が続いているので、かつては山仕事をする人々も迂回路として通っていたのかもしれません。


それでも危うい場所もあったりするので、相変わらず気を抜くことはできません。


植林地に出てきました。雑木林と違って遠くまで視界が効くので、下方に木馬道が復活していないか眺めながら進みます。


迂回開始から15分後、ようやく木馬道へ復帰しました。ちなみに下流方向(写真内の矢印方向)の道筋は断絶しています。というか、見える限り絶壁…。とんでもない高さの桟道を通していたのかなぁ。現役時代の様子を知りたいものです。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

ふたたび上流方向へと木馬道を辿っていきます。もう、道としての体を成しているだけで十分ありがたいです(笑)。






深い沢が現れました。対岸には橋台の跡と思われる高い石垣があり、その先へと木馬道は続いています。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

この深さでは真っ直ぐ進むことは当然不可能なので、少し手前にあった木々の生えた土の斜面へと迂回して沢底へと下り、滝の前を横断していきます。黄色の枠で囲ったところに先ほどの石垣が見えています。


滝の全景です。水量が少ないおかげで、汚れた手を洗うのにちょうど良かったです(笑)。


対岸の斜面を登り直していきます。


木馬道へと復帰しました。


先ほど眺めていた高い石垣の場所へと向かおうとしましたが、岩が切れ落ちていて行くことはできませんでした。木馬道を通すためなのか、岩をわざわざ凹型に削ってあり、「こんなところにも手間をかけているのだな。」と感心します。


さて、上流へ向けてまた歩き始めますが、この辺りは細切れに木馬道が残っている状態で、何度も木馬道と山の斜面を行ったり来たりしてました。




崩落地へ出てきました。これはまた危険な状況です…。




前方を眺めてみると、奥に木馬道が続いているのが見えます。しかし、手前の岩場や岩壁の真下を越えていくのはどう見ても無理があるでしょう…。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

今回の木馬道の探索は、この地点で断念することにしました。日を改めて再アタックするにしても、この場所を強行突破することは間違いなくしないでしょう。


それでは元来た道を引き返していきます。ここに来るまででもけっこう面倒だったわけで、帰り道も安穏と戻れる保証はありません…。


ルートがわかっている気楽さはあれど、危険な場所ばかりなのは間違いないので、慎重に気を引き締めて歩いていきます。








引き返し地点から緊張の中で歩くこと1時間10分。最後の難所である東野トンネル真上の岩積みの斜面を越え、ようやく近畿自然歩道から分岐してくる平場の末端部まで戻ってきました。

ここで石垣道の上へと一段上がって歩き始めたところ、蜂の巣箱の前で路肩を踏み抜き、1m下の斜面へと転落してしまいました。幸い、ナップザックを背負っている背中側から落ちたことと、落ちた先に木があったため、それ以上滑り落ちることもなく怪我もありませんでした。


「ここまで来れば大丈夫。」という油断から来たミスだったと思います。路肩付近はシダが生えていて、地面が見えなくなっています。本来なら、もっと道の真ん中を歩くべきでした。しばらくこの場所に留まって現場を再確認しつつ、一人反省会をしてました…。


ようやく近畿自然歩道へと合流。


この先はおそらく「筏師の道」へと合流するはずなので、そのまま進んでみることにします。




「筏師の道」へと合流しました。実際にはさらに下を流れる北山川まで木材を運び出さないといけないはずなので、この先で北山川方面へと分岐する道があるのかもしれません。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

これで立合川右岸の木馬道の今回の探索は終了しました。探索ルートの全体図は以下のようになります。


こちらは立合川「左岸」の木馬道を探索した時のルート図の一部です。ちなみに、今回の立合川右岸の木馬道の探索範囲は、この地形図の表示範囲にまでたどり着いていません。左岸側と比べると、今回の探索ではほんの触り程度の距離しか上流側へと進めなかったわけです。けっこう苦労したんですけどね(笑)。


間を置いて再アタックすることになるかと思いますが、引き返し地点の崩落地を迂回できるルートを見い出せるかどうかが鍵になりますね。
Posted at 2024/01/30 23:31:17 | コメント(1) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2024年01月29日 イイね!

【奈良県十津川村】立合川右岸の木馬道を探索する(1)

2023年11月18日(土)、奈良県吉野郡十津川村を流れる立合川の右岸に残る木馬道を探索してきました。

さて、ここ「立合川」の事柄についてネット検索すると、まず出てくるのが立合川の遡行記録です。時に奇景を伴う深い渓谷といくつもの滝の存在により、沢登りへとアタックする方々が多くいるようです。

次にわずかながらに出てくるのは、左岸側に残る木馬道の通行記録について。いくつかの通行記録を頼りに、左岸側の木馬道を2023年10月14日と10月21日に探索しています。

ちなみに、この左岸側の木馬道が開削された経緯などについては、ネット検索では全くと言っていいほどわかりませんでした。

それでも何か参考になりそうな事柄が見つかるのではないかと、遡行記録も含めて片っ端から閲覧していたわけですが、それらの記録の中に、登れない滝を迂回するために「右岸にある木馬道」を使ったという記述がいくつかありました。

ネット検索では「立合川の右岸側に木馬道がある。」という内容の記事はヒットしません。「これはあまり『手垢』の付いていない廃道を探索できるのではないか?」と思い立ち、探索に向かったわけです。

探索当日の朝8時55分、立合川へ向かう最寄りとなる駐車場所へとやって来ました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

国道169号有蔵トンネルをくぐり、立合川橋のたもとから左岸側の立合川木馬道へと下っていきます。


立合川右岸の木馬道がどの場所から上流側へと分岐しているのか、情報は全くありません。そこで、ひとまずは右岸側の木馬道も左岸側の木馬道と同程度の高さを通過していると仮定して、右岸側へと向かいました。


左岸側の木馬道を下流側へと歩いて「筏師の道」へと合流。


立合川に架かる吊り橋、「有蔵橋」渡って右岸側へ。


適当な場所から「筏師の道」を外れて、立合川沿いの斜面を上流側へと向かって進み、木馬道を探します。


途中で見つけた炭焼き窯の跡。


「有蔵橋」から斜面を歩き、国道169号立合川橋の下まで来ました。ここまでの間では木馬道を見つけることができず、「左岸側の木馬道と同程度の高さを通過している。」との仮定は外れてしまいました…。


周囲を確認しつつ、一旦、国道まで上がることにします。






次は、ここ国道169号東野トンネルの坑口脇から分岐していく近畿自然歩道を歩き、木馬道が分岐している場所がないか探してみます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

無理矢理造り付けたような急な連絡路を登っていくと、道標が立っていました。特にこの場所から分岐していく道筋は無いので、何となく不自然です。


気になって、道標の裏側を覗き込んでみると、シダに覆われた細長い平場が奥へと続いていました。どうやらこれが右岸側の木馬道のようです。


真下に立合川橋のたもとの駐車スペースが見えてきました。


東野トンネルの真上はシダの群落に覆われて、足元がはっきりしません。ネットで覆われた石の斜面につま先を立てながら、慎重に歩いていきます。


トンネルの真上を越えても木馬道は続いているようです。


また足元がシダで覆われている場所が現れました。右側は崖なので、路肩を踏み抜かないようにできる限り左側に身を寄せて進みます。


近畿自然歩道として整備されたことがある左岸側の木馬道と比べると、右岸側の木馬道はひどく荒れていますが、今のところは何とか道どおりに歩いていけています。






路面が崩落しているので、左側の岩によじ登って先へと進みます。


ようやく左岸側の木馬道のような、しっかりとした造りの石垣道が現れました。




と思ったら、またもや路面が寸断されてしまいました。ここは左側へとよじ登って、木の根を足場にして進んでいきます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

登った先もすぐに踏み場が無くなり、トラロープが巻かれた細い杉の木の並びの右側は崖…。若木の根元を足場にして伝うように進みます。


路面が元に戻り、ちょっと安心します。


またも路面が崩落しています。木の根の上を綱渡りのように歩いていきます。




道を塞ぐように転がる倒木。下の隙間をくぐるには低かったので、左側へと迂回します。


ふたたびまともな道筋になってきました。




沢で大きな段差が付いてしまっているので、岩伝いに沢底まで下りて対岸へと進みます。


またも沢で道筋が無くなっているようです。木の下をくぐって沢へと出ます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

瓦礫の上を通って対岸へと進みます。


沢の上部を見上げると滑滝がありました。そして、岩の上部に木馬道と思われる平場が見えています。


岩場の下に沿って進んでいくと石垣がありました。やはり、見上げていた平場が木馬道だったようです。


木馬道を逆方向へと戻り、先ほど見上げていた場所まで来ました。けっこうな高低差がありますが、桟道を架けていたのでしょうかね。


ふたたび上流側へと進んでいきます。


周囲が段々と険しい岩場になってきました。まだ進退窮まるような状況ではないですが、雰囲気はだいぶ怪しくなってきています。


倒木を避けつつ、足元がしっかりしている岩壁側に沿って進んでいきます。


路面が寸断された場所に出てきました。


木馬道はまだ先へと続いているのが見えていますが、足元のこの絶壁では進みたくても進めません…。




場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

この場は一旦引き返して、迂回できる場所を探すことにします。

※その2へ続く。
Posted at 2024/01/29 23:50:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2023年11月21日 イイね!

【十津川村・北山村】立合川木馬道を探索する(4)

2023年10月21日土曜日、奈良県吉野郡十津川村と和歌山県東牟婁郡北山村の境を流れる立合川の渓谷に残る立合川木馬道を再び探索してきました。今回の目的は、10月14日に引き返した地点から、さらに奥へと、できる限り木馬道の探索を進めることです。

前回(3)では、ここまで進んできました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さて、巨岩の下を通って沢を渡っていきます。


道が抉れていますが、山側寄りに歩いて越えていきます。


植林地、自然林、植林地と目まぐるしく樹相が変化していきます。






こんな斜面は滑りやすいので、足場を確かめながら慎重に進みます。


ここも荒れた場所ですが、まあ何とか通過していきます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

細い踏み跡を進みます。


ワイヤーの束が落ちています。木馬を操作するのにワイヤーが使われたそうですが、これがそうなのでしょうか。それとも索道用のものなのか、それとも全然別の用途のものだったのか。


植林地の中を進んでいきます。


平場が現れました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

用途不明の金属製の鍋。鍋底辺りには中身を出すためのものなのか、細長い口が付けらています。


散乱する酒瓶。かつてはこの場所に飯場でも建っていたのでしょうか。こんな山奥では、仕事以外ですることと言えば、お酒を飲むくらいだったのでしょうかね。


索道のワイヤーに掛けて使用した滑車でしょうか。


「ここに活動拠点があるなら、もしかしたら奥へと向かう木馬道は一旦途切れているかも。」と心配しましたが、木馬道は整地されたりすることなく、ちゃんと奥へと続いていました。




けっこう危うい場所を進んでいきます。


そして間もなく道筋が途絶えてしまいました。真下まで10mくらい切り立った場所です。この先は桟道があったのでしょうか。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

進めなければどうしようもないので、迂回するために沢まで下りてきました。


先ほど立っていた行き止まりの場所を見上げています。丸印を付けた場所です。


見えにくいですが、写真中央部の岩場に石垣があります。木馬道の続きです。


岩場にスプレーで丸印が付けられています。そしてその先に生えている木にも赤色のペイントがあります。ここが迂回路のルートであることを示すサインと思われるので、矢印のように入り込んでいきます。


斜面を見上げると、やはり石垣が続いています。目印を参考に、登りやすいルートを探しながら斜面を登ります。


無事に木馬道へと復帰しました。木々が生えていて、手がかりや足場の多い斜面で助かりました。


所々、岩場を切り取り工で削りつつ、石垣道は続いていきます。






また変な育ち方をした木に遭遇しました。なぜこんな育ち方をしたのか…。


ここの岩もきれいな断面をみせています。割ったり削ったりしようとすると、きれいに剥離しやすい岩なのでしょうか。


路面が崩れて、岩場に狭い足場だけが残っています。ほんの短い距離ですが、足の置き場、運び方をいちいち考えながら、岩壁に手を添えてバランスを崩さないように慎重に渡っていきます。


まだ、こんなガレ場の方が安心して歩いていけます。


狭い回廊のような崖道が続きます。






この木馬道を歩いていて、初めて岩盤を開削した切り通しに出会いました。


切り通しの先も崖道が続いているようです。


路面に段差ができています。左側は高い絶壁。注意しながら段差を上がります。


クランク状に木馬道が続いています。


直線の突き当りまで行き、そこでゆっくりと左方向へと体の向きを変えました。切り通しからそこまでは、多少はビクビクしながらもまだ大丈夫でした。

そして進行方向を見据えます。目に入ったのは、とても細く凸凹な路面。そして、何よりも底が見えない奈落…。ここで一気に恐怖心が湧いてきてしまいました…。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

一度恐怖心が湧き上がると、もう冷静でいられません…。強烈な動揺が体を硬直させます。少しでも落ち着くために、背後の岩壁に背中をくっつけて体を固定します。

そんなことをしながらも、まだ「ダメか?いや、行けるかも。」と逡巡はしていました。もう少し「緩い」場所なら、時間をかけて何度も頭の中で通過のシミュレーションをしているうちに、多少なりとも心は落ち着けたかもしれません。

しかし、今立っている場所は、すでに危険な場所の只中です。そんな場所で恐怖心に捕らわれてしまいました。大げさな話かもしれませんが、この状態では進むどころか、ここから切り通しまで引き返すことすら怪しいです…。

進むべきか、戻るべきか、どうすれば落ち着くか等々、いろんな事をグルグルと考えていましたが、いつまで経っても動揺は全然落ち着きません。

出した結論は「とにかくこの場から引き返す。」。こうなれば、切り通しまで引き返すことだけに集中します。すり足で切り通しがある方向へゆっくりと体を向き直します。あとは動揺する気持ちを何とか抑え、「大丈夫、大丈夫。」と自分に言い聞かせながら、一歩一歩慎重に戻っていきます。

ひとまずは安全圏内まで引き返すことができました。




その場にいた時は5分くらいは経っていたと感じていましたが、撮影時刻で確認すると、切り通しから直線の突き当りまで歩き、立ち尽くして、そしてこの写真の場所まで引き返すという行動にかかった時間は、12時28分から12時30分までの、ほんの2分程度の出来事でした。

奥地まで踏破した方の記録によると、おそらくこの写真の先で、十字型の鉄梯子で岩壁の上方へと迂回するルートに遭遇するはずでした。さすがにそんな場面を通過できるだけの技量も経験もないので、そこが私としての終点になると踏んでいましたが、結果的にはその場所にすら辿り着けませんでした。


今までにも、こんな場面で引き返したことはいくらでもありました。気持ちとして踏破できないことは残念な事ですが、こういう時は、「安全第一、安全第一。命あっての物種だよね。」というようなことをつぶやきながら帰ります。

まずは立合川橋まで無事に戻ってきました。


さらに有蔵トンネルを通過し、車まで戻ってきました。


前回引き返した地点から、今回引き返した地点までのルート図です。今回の総歩行距離は9km、6時間の探索でした。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さあて、どうしたものか…。自分が決めた「終点」まで残した距離はおそらく50mから100m程度。その距離を再アタックするためだけに、車で片道4時間走行して、さらに片道4.5kmを歩かないといけません(笑)。

引き返した場所へ行ったとして、次はちゃんと「通過できる」とは限りませんから、徒労に終わることも想定しておかないと「精神的な疲労感」が半端ないことになります(笑)。まあ、またやる気が起きたら行ってみますかね。この木馬道の道中自体は楽しかったですから。
Posted at 2023/11/21 00:58:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2023年11月17日 イイね!

【十津川村・北山村】立合川木馬道を探索する(3)

2023年10月21日土曜日、奈良県吉野郡十津川村と和歌山県東牟婁郡北山村の境を流れる立合川の渓谷に残る立合川木馬道を再び探索してきました。今回の目的は、10月14日に引き返した地点から、さらに奥へと、できる限り木馬道の探索を進めることです。

前回訪れた時は、国道169号東野トンネルの東側坑口前の駐車帯に駐車しましたが、今回はすでに先客が駐車していたため、さらに東側の小松トンネル西側にある広い路肩へと車を駐車しました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

有蔵トンネルをくぐり、立合川木馬道の入口へと向かいます。




立合川木馬道へとつながる連絡路の入口に来ました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さっそく前回の引き返し地点へと歩を進めます。






前回の引き返し地点に到着しました。


ここで、細く深く抉れた溝を飛び越えて、段々になっている岩場を登っていきます。


途切れた木馬道の先端まで戻ってみました。


それでは木馬道を奥へと進んでいきます。




倒木に躓かないよう注意して歩いていきます。


沢で木馬道が途絶えました。迂回するため、巨岩がゴロゴロしている沢底へと下りていきます。


露出している根っ子を手すり代わりにして、木馬道へと登り直していきます。


けっこう険しい場所を通過していきます。その場を歩いている時は、特に気にならないんですけどね。




それでも、こんな風に樹木に囲まれている場所はやはり安心感があります。




沢の中へと延びている短い築堤がありました。橋の長さを少しでも短くするためのものでしょう。側面は両側とも石垣で固められています。




いびつな生え方をしている木。もしかしたら、元々は木と岩の間にも土か岩があったのかもしれません。


穏やかな様子になりました。


なだらかな稜線を巻いていきます。


稜線を越えて斜面が変わったら、踏み跡程度に細くなってしまいました。シダ類が生えている場所は崩れやすい場所が多いので、足元に注意しながら進みます。






岩場を切り取り、石垣を積んで造られた道を進んでいきます。






土砂で埋もれてしまった凹地を通過していきます。こういう場所は、少しでも余裕を持てるように、できるだけ高い場所を進みます。


ここの斜面は、滑り落ちるとさらに抉れた沢の岩場へと落ちてしまいます。


木馬道へと根っこが伸びてきていて歩くのに邪魔なので、谷側の端っこを注意しながら進んでいきます。


「R2.4.23 森林調査」と書き込まれた杉。3年半前にここまで調査目的で入ってきた人がいるんですね。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

見上げてみると植林地になっています。生育状況の調査だったのでしょうか。


またいびつな生え方をした木がありました。こういうヘンテコな生え方をした木を見るのも、山歩きの楽しみの一つと言えます。




高くて立派な見ごたえのある石垣ですね。




このような角が立っていてメリハリの利いた石垣道は「好物」ですね(笑)。


剥き出しになった岩盤の上に、前後の路面をつなぐ高さで石垣が積まれていますが、今となっては砂防ダムみたいなものです。


手前の倒木は、通行の邪魔にならないように、人の手で切られた跡があります。


表土が流れて、凸凹の岩が剥き出しになっています。出っ張った部分を足場にして渡っていきます。


端正な石垣道の先端に沢が見えてきました。


この沢も巨岩がゴロゴロしていますね。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

※その(4)へ続く。
Posted at 2023/11/17 00:06:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記

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「【豊根村】霧石峠への富山漆島側峠道を下見しました http://cvw.jp/b/1796277/47676277/
何シテル?   04/25 00:05
「小林あに」と申します。よろしくお願いします。 休日はドライブしたり、廃道となった旧道や峠の古道を歩いてみたり(煉瓦製のトンネルや暗渠も好物ですが、最近は...
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