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小林あにのブログ一覧

2023年05月23日 イイね!

【2023年】TGRラリーチャレンジin八ヶ岳茅野戦へ参戦しました

2023年4月16日日曜日、長野県茅野市で開催されたTGRラリーチャレンジin八ヶ岳茅野戦へ参戦してきました。

今回が2023年度のTGRラリーチャレンジ初参戦。ドライバーやすい氏は最初「八ヶ岳茅野戦にはグラベル(砂利道)SSがあるから行かない。」と言っていたのですが、準備していたアンダーガードの製作・取り付けが間に合いそうとのことで急きょ申込み。そのまま参加受理となり参戦となったわけです。

さて、現地への出発はラリー前日の4月15日土曜日7時30分頃。ドライバーやすい氏が運転する積車に同乗して会場へと向かいます。この日は朝から雨が降っていて、翌日の天気予報もあまり芳しくなさそうです。


レキ(下見走行)受付・参加受付場所である長野県茅野市の聖光寺へ到着したのは11時50分頃。聖光寺はトヨタグループの交通安全祈願のためのお寺のようです。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

ちなみに聖光寺がある場所の標高は1,200m。愛知県ではすっかり散ってしまった桜もまだ咲き残っているくらいで、しかも天気は雨。受付の順番待ちで並んでいる間は寒かったです…。


SSのレキが終わるとそのままサービスパークとなる茅野市運動公園へ。グラベル路を走行して、下回りがすっかり汚れてしまいました。


土曜日の夜は主催者による前夜祭へ参加。八ヶ岳茅野戦は他のTGRラリーと違って前夜祭を開催してくれます。しかも料理が充実しているので、参加者がいつも多いです。

写真はピンボケですが、トヨタの佐藤社長がごあいさつ。


乾杯の音頭は、今回のラリーへ参戦している哀川翔さんが取りました。


前夜祭会場からの帰り道。JR茅野駅のコンコースには、各所にTGRラリーのミニ垂れ幕が掲げられていました。


ホテルへ戻ってきてからもう一仕事。レキで作成し、車載動画を見て手直ししたペースノートを清書しておきます。


さて、4月16日日曜日ラリー本番。サービスパークである茅野市運動公園へ7時20分頃に入場。晴れ間も見えてきて、何とかこのまま良い天気になることを期待します。




8時過ぎになると観客の方々がちらほらとサービスパークへ見物に来ます。ドライバーやすい氏のAE92トレノも観客の目を引いています。


8時50分から開会式・ドライバーズミーティング。


今回参戦しているMORIZOこと豊田会長がごあいさつ。「社長、会長、副会長がラリー会場へ来ていてトヨタは大丈夫なんですかね?(笑)」と冗談交じりのあいさつでした。


開会式が終わり、公園内のセレモニアルスタートへ。私たちもセレモニアルスタートのためゲートへと続く列に並びます。前回参戦した「富士山おやま」も観客は多かったですが(あそこは富士スピードウェイが会場でしたし。)、八ヶ岳茅野もなかなかに観客が多くて、ちょっとびっくりするくらいでした。


あらためまして今回のSSコースは、
SS1・4「ピラタス蓼科」:1.65km。舗装路。
SS2・5「八ヶ岳」:3.53km。砂利道。
SS3・6「茅野市運動公園」:0.23km。公園内の通路など使用。
SS合計10.82kmです。

それでは走行タイムと簡単なラリーの内容について。今回、私たちの参戦するE-4クラスは13台。そのうちGRヤリスが9台います。

SS1:1分27秒6(67.8km/h)。クラス6位。
「E-4」のトップから4.1秒差。
2車線幅の道路で、緩やかなコーナーと連続ヘアピンがあるコース。標高が高い場所を通過する舗装路なので、スーパーチャージャー付の利点を生かし、過去にはオーバーオールでのトップタイムを出したこともありますが、最新4WDターボ車にはかないませんでした…。

SS2:4分17秒6(49.3km/h)。クラス12位。
「E-4」のトップから54.0秒差。
普段は使用されていないと思われる私有地内のコース。路面コンディションは「極悪」(笑)。私たちが今回履いていたタイヤは硬質ダート用なので(GRヤリスに勝てる訳がないグラベルSSは端から捨てて、ターマックSSで一泡吹かせることに賭けていたとのこと。)、砂利が深くて石もゴロゴロしているこのコースでは、タイヤが路面に喰い付かず、車が暴れまくるだけで前に進んでいかないので、このタイムはある意味承知の上なのです…。

SS3:22秒7(36.4km/h)。クラス4位。
「E-4」のトップから1.6秒差。
公園内の狭い通路を2つの直角コーナーで結ぶコース。ドライバーやすい氏としては、「もはや一発かますなら、このSSしかない!」という思惑どおり、MORIZO選手に0.1秒勝利しました(笑)。

SS3までを終えて、サービスパークへと戻ってきました。「何かクーラントのにおいがする。」ということで、ラジエターなどをチェックしてもらいましたが、ひとまず問題なさそうでした。


SS4:1分27秒8(67.6km/h)。クラス9位。
「E-4」のトップから5.5秒差。
SS1から0.2秒落ち。
2回目の走行は各車タイムアップするのが常なので、僅かとは言えタイムダウンはテンションも下がります…。

SS5:4分17秒0(49.4km/h)。クラス12位。
「E-4」のトップから45.9秒差。
SS2から0.6秒短縮。
90台が走行して、ほじくり返された極悪路。スタート地点も深く抉れて、スタートの度に鍬で地面を均しています。う〜ん、それよりもいっそう、浮き砂利を掻き出してもらったほうが嬉しいのですが…。

笑えるくらい全然車が前へ進まない状態からスタート。コース内では深い轍に何度も腹を打ち、車が横へと向きそうになるのをねじ伏せての走行。SS終了後、ドライバーやすい氏が「何か異音がする。」とのことで一旦停車。排ガス臭さがひどいものの、すぐに原因がわからず、ひとまず走り始めてみたところ、ものすごい爆音。「打ち付けて、排気系のどこかが壊れたかも…。」。

結局、ハイギアを使いながらなるべく低回転で走り、何とかサービスパークへと帰還。「本当は勝負できる公園内のSSを走りたかったけど、この爆音で走行するのさすがにヤバ過ぎる。リタイアしよう。」との結論になり、リタイア届けを出すことにしました。


リタイアしたのは、コースオフした2016年8月のTGRラリー丹後半島以来2度目です。本部へリタイア届けを提出しに行ったところ、競技長から「すごい爆音で走行しているラリー車がいると報告を受けていて、これから確認しようとしていたところだった。」と言われました。お詫びをし、届出を受理してもらいました。

「次は恐竜勝山戦を予定していたけど、交換するパーツが無いし、これではすぐにラリーへ出場するのは無理だな…。」ということで、今後のラリー参戦の雲行きが怪しくなってしまいました。


さて、後日、ドライバーやすい氏から見せてもらった写真では、エキゾーストマニホールドが4本から2本へと集約された場所でパイプが断裂していました。

壊れてしまった原因は、アンダーカバーとエンジンルームの間に耐熱性のクッション材を付けておらず、路面からアンダーカバーが受けた衝撃が弱い部分へ伝わって壊れたのだろうとのことでした。

それから、エキマニについては、いつもサービスを担当してくれるツールボックスさんから「うちで修理するからラリーに出て。」と言われたそうです。なので、予定どおりにラリーを続けることになりそうです。
Posted at 2023/05/23 23:16:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | TGRラリーチャレンジ | 日記
2023年05月22日 イイね!

【尾鷲市】弓山林道から矢ノ川峠旧道までの古道を探索する(3)

2023年4月9日(日)、三重県尾鷲市賀田町にある弓山林道から国道42号の矢ノ川峠旧道へとつながる古道を探索してきました。

前回(2)の最後で弓山林道の最上部にある無名の橋まで戻ってきました。


往路でこの橋の付近に来た時に古道が残っているのを確認して、上部側へと歩いています。


今度は下部側へと辿ってみることにします。


こちら側も道跡はまずまず残っています。


路肩の石積みが残っていました。


傍らには炭焼き窯の跡も。


路肩の石積みは、石を整形せず、そのまま積み上げていく野面積みです。


道跡が段々とあいまいになってきました。


また炭焼き窯の跡がありました。


下を通る弓山林道とはまだ大きな高低差があるのに、道跡がわからなくなってしまいました。この前方に小さな沢があるのですが、その先の斜面に続くだろう道跡が見い出せません。


結局、沢伝いに林道へと戻ってきました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

林道へと下りて来た場所は、往路で川を渡って林道へと取り付いた場所に近いので、もしかしたら古道はこの辺りまで斜面を通り、この場所からつづら折りで川へと下りていたのかもしれません。


ここからは素直に弓山林道を歩いていきます。

往路では川沿いの斜面を通ったために渡らなかった中山橋。




程なく国道42号へと出て、駐車場所まで戻りました。






今回探索したルート図です。赤色が往路、青色は復路だけ通ったルートです。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

今回探索してみて、原型を留めていない箇所が多いのは当然としても、想像していたよりもしっかりと造られた道だったことがわかりました。

歴史的には無名な、地元のための道のようですが、いろいろと資料を引き出したり現地を歩いたことで、現在に残る状態の道となった経緯もおおよそ推測できましたし、なかなか面白味のある探索となりました。
Posted at 2023/05/22 21:49:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | 矢ノ川峠 | 日記
2023年05月07日 イイね!

【尾鷲市】弓山林道から矢ノ川峠旧道までの古道を探索する(2)

2023年4月9日(日)、三重県尾鷲市賀田町にある弓山林道から国道42号の矢ノ川峠旧道へとつながる古道を探索してきました。

さて、伐採地を横断して、古道はふたたび森の中へと入っていきます。


森の中に入ると、伐採地と違って道跡がしっかりと残っていました。路肩には石積みの擁壁もあります。


大量の岩が転がる沢に遭遇しました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

沢の直前で路面が消失していましたが、対岸を眺めると石垣が見え、古道は続いているようです。


沢の中へと下りて、岩の間を通り抜けていきます。


対岸へと取り付きました。先ほど眺めたとおり、路肩の石垣がしっかり残っています。


ただ、この先は道跡の状態が悪そうですね。


崩落して道跡が消失しています。崩落した斜面はそんなにきつい傾斜ではないので、木々を頼りに横断していきます。


古道が復活しました。


前方の広い範囲が明るくなってきました。


どうやらこの場所で古道は折り返すようです。




場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

最初に折り返した地点から、地図読みで500mほど進んできています。どうしてすぐに折り返さずに、こんなに長い距離を移動してきたのか考えましたが、おそらくは牛馬が通行しやすいように勾配を緩くするためなのでしょう。

人が通行するだけなら、短距離でジグザグに折り返す「稲妻型」に道を造って、直線的に急勾配を登っていけば、距離が短く済みますし、時間も余分にかかりません。

しかし、体が大きくて、重い荷物を背負う牛馬を通行させるとなると、勾配を緩くする必要がありますし、それなりの道幅も確保しなければなりません。また、頻繁に方向転換するような道形も避けたかったでしょう。ベターなルートとして、このように大きく迂回するルートを取ったのだと思います。

折り返してからの古道も、今となっては所々で崩落して、往時の姿のままに残っている箇所はあまりありません。








至る所でしっかりした石積み擁壁を築いて、険しい地形ながらも徒歩道以上の道幅を確保しているところから見ても、賀田・茶ノ又と三重縣道熊野街道を結ぶ重要な運搬路・交通路として開削されたことが推測できます。


と言いつつ、また崩落箇所を通過。


路肩の外は沢へと落ちる崖です。


水量の少ない滑滝へと出てきました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

沢の対岸には古道の続きが見えています。


滑滝を見上げながら、沢の中の岩場を横断していきます。


木々に囲まれているのであまり意識しないで済みますが、この辺りも路肩の外は崖地が続いています。




水抜きのためか、路肩の石垣に隙間が設けられています。


ここでまたしばらくは、道幅がしっかり残った古道へと戻ります。




道跡が軽く抉られた枯れ沢を通過。


枯れ沢を登ると路肩に大きな岩が転がっていました。割れた断面が滑らかな岩ですね。


背の高い石積み擁壁が続いています。


石積み擁壁のある区間を過ぎると道跡があいまいになってきましたが、間近に見えてきた尾根を目指して、一直線に進みます。


広場に出てきました。左側へと進みます。


ようやく切り通しに到着しました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

比較する物がないので写真ではわかりにくいですが、これは確かに巨大な切り通しです。壁面の高さは20m~30mはあるでしょうか。




これだけの規模の切り通しを掘り下げるとなると、相当の資金と労働力を掛けたと思われますが、どうして「尾鷲市史」にこの切り通しの工事のことが記述されていないのでしょうか。南輪内村が発行した「南輪内村誌」にすら何もありませんでした。


南輪内村が村費もしくは有力林業者からの寄付金などで開削したにしろ、三重県へ陳情して補助金を受けたり、県が工事を実施したにしろ、何らかの記録がありそうなものです。本当に記録が残っていないのか、市史などに記述するほどの出来事ではないと無視されたのか。また機会があれば調べてみますかね。


国道42号矢ノ川峠旧道へと出てきました。こちらは矢ノ川峠方面。


こちらは熊野市飛鳥町大又方面。矢ノ川峠以西は林道的な使われ方もされなくなってしまい、廃道化が進んでいる区間です。


交差点に立つ道標。


せっかく矢ノ川峠旧道まで登ってきたので、比較的近い場所にありそうな水準点と橋を見るために大又方面へと進んでいきます。


警戒標識が転がっていました。支柱が四角なので古いものには間違いありません。国道当時のものでしょうか。


路肩には申し訳程度の駒止め。


路上にまで木が生えていて、もはや自動車での通行は無理ですね。




水準点を見つけました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

少し摩滅していますが、「水準點」と読み取れます。


裏面には番号が彫られていて、「四七八六号」だと思われます。現在、基準点成果等閲覧サービスでこの地点を検索しても水準点は無いことになっているので、廃点された水準点のようです。


ふたたび歩き出し、橋へとやって来ました。ご覧のとおり、橋桁は撤去されています。そして、橋台には穴が4つ開いていて、その真下には丸太が4本転がっています。方丈橋のように橋を支えていた丸太でしょうか。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

橋跡をぐるりと見渡します。




橋跡の先にも廃道は続いていますが、今回の目的ではないので、ここで引き返すことにします。


矢ノ川峠旧道を引き返して、一旦切り通しの前を通過。矢ノ川峠が見える場所まで来ました。


さすがにまだ遠いですね…。今回のところは峠もあきらめることにします。


切り通しへと戻ってきました。それでは車へと帰ることにします。


さて、ここで登ってくる途中で気が付いた別の古道へと入っていきます。もしかしたら、歩いてきた古道の旧道に当たる道かもしれません。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

登ってきた古道に比べると勾配は急ですが、所々、路肩に石積みがあったりして、道の造りはしっかりしています。




ところが、大岩を過ぎて折り返したところ、その先から道跡がプツリと消えてしまいました。おそらく崩落してしまったのでしょうが、全然見い出せなくなってしまいました。




仕方がないので、そこからは木々を頼りに斜面を急降下。伐採地近くの古道へと再合流しました。




いちいち古道を辿って戻るのももどかしいので、伐採地の中をショートカットして降りていきます。


斜面を下りていく途中に古道の名残りがありました。おそらく、正面の斜面を伝って緩やかに登ってきていたのでしょう。


弓山林道の終点付近にある橋まで戻ってきました。ここからもう少しだけ、おまけの探索を続けます。


※(3)へ続く。
Posted at 2023/05/07 21:08:55 | コメント(0) | トラックバック(0) | 矢ノ川峠 | 日記
2023年05月04日 イイね!

【尾鷲市】弓山林道から矢ノ川峠旧道までの古道を探索する(1)

2023年4月9日(日)、三重県尾鷲市賀田町にある弓山林道から国道42号の矢ノ川峠旧道へとつながる古道を探索してきました。

少々長くなりますが、今回この古道を探索することにしたきっかけを記しておきます。ある時、矢ノ川峠旧道を通行した方のブログに、「旧道に接続するように巨大な切り通しがあったが、その先に道は見当たらなかった。」という内容を見つけたからです。

この切り通しの場所はすぐに特定できたので、切り通しに関わる記事が他にもないか検索してみたところ、「切り通しには賀田(尾鷲市賀田町)からの杣道がつながっていた。」という記事がヒットしました。それ以外には、この杣道を歩いたとか切り通しの由来に関するような記事はヒットしませんでした。戦前発行の地形図を見てみると、切り通しから賀田方面へ直線的に徒歩道が表記されてはおり、一応、道が存在したことは間違いないようです。

それから、この古道について何かしらの記述がないかと「尾鷲市史」を調べてみましたが、直接該当しそうなものはありませんでした。

間接的な記事としては、鳥越林道の関係で「尾鷲市史」を調べた際に、南輪内村(現在の尾鷲市賀田町ほか)の記事で「高瀬山・茶ノ又方面からの天然林の伐採により、(木材輸送のため)港がある賀田から茶ノ又へ至る4.6kmの車道(荷車道)が明治31年(1898年)に竣工した。」というものがありました。

「南輪内村誌」にも同様の記事があり、「林産物の搬出の為めに字小濱の附近から、古川の右岸に沿って茶の又に至る四十二町程(約4.58km)の坦々たる車道が拓かれ、其れから飛鳥村大又に至る運搬路の掘鑿によって大に便利になった(以下略)。」とあります。

ここで興味を惹いたのが「飛鳥村大又に至る運搬路」の一文。年代が記されていないため、初めは単純に鳥越林道のことを指すのかと思いましたが、鳥越林道は南輪内村賀田と飛鳥村「小又」とを結ぶ道であり、同じ村内とは言え「大又」とは離れた場所です。巨大な切り通しがある場所は、現在の住所で言うと尾鷲市賀田町と熊野市飛鳥町大又の境。今回探索する古道を指している可能性大です。

さて、茶ノ又は賀田から古川沿いに4.6kmの距離にあるということで、おおよその位置は見当がつきますが、高瀬山は地形図に掲載がなく具体的にどの場所を指すのか不明でした。

そのため、尾鷲市内の山に関することをネット検索してみたところ、尾鷲市賀田町内の「ゲジョ山」への登山記録があり、その中に「タカセ山前峰」というピークを通過してゲジョ山へ向かうことが記されていました。登山記録をアップした方は、「タカセ山前峰」から北方にある847.4mの三角点表示がある無名のピークが「タカセ山」だろうと推測しています。

そこで、この「847.4m」の三角点について国土地理院の基準点成果等閲覧サービスで閲覧してみると、三角点名が「三頭」だとわかりました。残念ながら「タカセ山」もしくは「高瀬山」ではなかったのです。それでも念のため、さらに三角点の戸籍と言える「点の記」を閲覧してみました。すると、「三頭」の所在地が「三重縣紀伊国南牟婁郡飛鳥村大字大又字高瀬山」とあり、ここでようやく「高瀬山」という地名が出てきました。

三角点が設置されている土地の所有者も記されており、南輪内村村長となっていました。高瀬山の山林は南輪内村が所有しており(元和8年(1622年)に当時の賀田村が山林購入した際の売渡証書が残っている。)、三角点「三頭」がある山一帯が「尾鷲市史」にあった高瀬山で相違ないようです。

車道の終点である茶ノ又からは、木材を搬出するための木馬道が周囲の山々へと伸びていたそうなので、当然、高瀬山一帯にも伸びていたでしょう。それらの道の内の一つが整備され、南輪内村賀田と飛鳥村大又との境にある山の尾根を通過していた東紀州の主要街道「三重縣道 熊野街道」(矢ノ川峠旧道)に、木材や物資の運搬路として接続していてもおかしくありません。その接続場所が「巨大な切り通し」だと考えるのが妥当でしょう。

上記の内容に出てくる地名などについて表記した地図を載せておきます。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さて、ようやく本題に入ります。やって来たのは、国道42号と三重県道70号との交差点付近。この辺りに車を停めて、古道探索へと向かいます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

交差点付近にある「賀田口」バス停。


バス停の先から道路が分岐していて、「弓山林道」と記された標柱が入口に立っています。まずはこの林道の終点まで進むことにします。




「古道の痕跡がないかなぁ。」と周囲の斜面を探しながら歩いていたところ、さっそく石積み橋台を見つけました。




場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

両側の橋台ともしっかり残っています。道幅は荷車道よりは狭く感じますが、牛馬の通行ができるくらいはありそうです。




ご覧のとおり、林道からほんの少しだけ上流側に寄せて残っていました。少しでも川幅の狭い所に橋を渡そうとしたのでしょう。


その後はしばらく痕跡はなく、淡々と林道を歩いていきますが、橋の手前で左側の斜面へと入り込みます。林道の橋が架かっている場所は川面までの高さがけっこうあったので、まだ川を渡らずに進んだのではないかと考えたからです。


凹んだ場所に間伐材が埋もれていて、それが奥へと続いていっているので、道跡のような気がします。




人為的に積まれたものと思われる石積みがありました。


しかし、急流の沢沿いを通っているためか一面に岩や倒木が転がっていて、明確に「道跡だ!」と言えるようなものが見い出せなくなってきました。


これ以上時間を取るのももったいないので、沢を渡り、対岸を通る林道へと戻りました。






無名の橋が現れました。


場所はこちら。


そして、この場所で右側の斜面を見ると石垣が奥へと続いていっています。さすがにこのまま見逃すわけにはいきません。


石垣の上へと登ってみると一定の幅のある平場が続いています。石積み橋台からの古道の続きのようです。


歩き始めてすぐに古道の向きが川へと直交しました。ここに橋があったようです。


対岸にも路肩を石で組まれた道形が続いています。


平らな場所なので、わざわざ道幅分だけ嵩上げする必要もないと思うのですが、なぜでしょう。川の増水を考えるならもっと高くする必要があるでしょうし。




木の根元に祠があります。


祠の中には何もありません。他の場所へと移されたのでしょう。


祠の先で古道は林道に削り取られていました。


弓山林道の終点に着きました。そして、この光景を見て愕然としました…。古道が通っていた谷の木々が皆伐されています。この状態では、古道は破壊されているかもしれません…。


場所はこちら。


コンクリート舗装された作業道が谷の上部へと続いているので、ここは割り切って進めるだけ進むことにします


今度は大きな砂防ダムが見えてきました。新しそうなものが3か所設置されています。近年の豪雨などでこの谷全体が痛めつけられた証拠です。ますます不安になってきます…。


砂防ダムの銘板を見るとやはり新しいものばかりでした。






「こんな大きな砂防ダム、越えていけるかなぁ…。」と心配でしたが、幸い、通路が設けられていたり、堰堤横の斜面が緩やかだったりしたので、割と容易に通過できました。




前方に皆伐地の頂上部が見えてきました。頂上部にある大きな木を目標に、何とかあの場所まで取り付くことにします。


伐採された際に切り落とされて大量に折り重なった枝葉の中を乗り越えて、大きな木の下までやって来ました。


場所はこちら。


ここからは、幅が狭まった沢筋の斜面に残っているであろう古道を探すことになります。岩の間から染み出ていた沢水で汗まみれの顔や汚れた手を洗って、さらに奥へと進んでいきます。


戦前の地形図によると、徒歩道は沢筋の左側の斜面に記されていたので、そのとおりに左側の斜面へと取り付きますが、全然古道が見つけられず、急斜面に行く手を阻まれてしまいます。


取りあえず、足場となる岩が大量に転がる沢の中を進み、古道の痕跡を見つけたら斜面へと取り付くことにします。


程なくして、左側の斜面に一筋に連なる石垣を発見しました。




場所はこちら。


路肩の石垣がしっかりと残っていますね。




所々で崩れてはいたものの、道筋を見失うことなく上流側へと進んでいったところ、突然、古道は切り通しのある尾根とは真逆の方向へと折り返していきます。




「地形図と違う…。でも、真っ直ぐに道跡らしきものは無いし、あるとおりに進むしかないか。」と逆方向となる古道をさらに進んでいきます。


折り返した後も、古道はしっかりとした幅のある道筋が残っていて、路肩には石垣もあります。地形図はどうあれ、この方角が古道の本来のルートのようです。




伐採地の上部へと出てきました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

いい眺めです。でも、個人的に急斜面の伐採地は怖いんですよね…。日光を浴びて地面はカリカリに硬く乾いてグリップが悪く、小石や枝葉、切り株など転びやすい材料が一面にあって、危険極まりないのです。


足元に十分注意しながら伐採地を横断していきます。ここを古道が通っていたのだから、嫌であっても仕方がないのです…。






こんな場所にも古道の証拠である路肩の石垣がちょっとづつ残っています。下まで遮るものがないので、高い場所が苦手な私には困ってしまいます…。


ようやく伐採地を横断しました。この先はふたたび林の中を通るようです。まあ、木々が生えているからと言って、道跡が残っているわけではないですが(笑)。




※(2)へ続く。
Posted at 2023/05/04 17:26:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 矢ノ川峠 | 日記

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「【豊根村】霧石峠への富山漆島側峠道を下見しました http://cvw.jp/b/1796277/47676277/
何シテル?   04/25 00:05
「小林あに」と申します。よろしくお願いします。 休日はドライブしたり、廃道となった旧道や峠の古道を歩いてみたり(煉瓦製のトンネルや暗渠も好物ですが、最近は...
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