• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

小林あにのブログ一覧

2023年11月21日 イイね!

【十津川村・北山村】立合川木馬道を探索する(4)

2023年10月21日土曜日、奈良県吉野郡十津川村と和歌山県東牟婁郡北山村の境を流れる立合川の渓谷に残る立合川木馬道を再び探索してきました。今回の目的は、10月14日に引き返した地点から、さらに奥へと、できる限り木馬道の探索を進めることです。

前回(3)では、ここまで進んできました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さて、巨岩の下を通って沢を渡っていきます。


道が抉れていますが、山側寄りに歩いて越えていきます。


植林地、自然林、植林地と目まぐるしく樹相が変化していきます。






こんな斜面は滑りやすいので、足場を確かめながら慎重に進みます。


ここも荒れた場所ですが、まあ何とか通過していきます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

細い踏み跡を進みます。


ワイヤーの束が落ちています。木馬を操作するのにワイヤーが使われたそうですが、これがそうなのでしょうか。それとも索道用のものなのか、それとも全然別の用途のものだったのか。


植林地の中を進んでいきます。


平場が現れました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

用途不明の金属製の鍋。鍋底辺りには中身を出すためのものなのか、細長い口が付けらています。


散乱する酒瓶。かつてはこの場所に飯場でも建っていたのでしょうか。こんな山奥では、仕事以外ですることと言えば、お酒を飲むくらいだったのでしょうかね。


索道のワイヤーに掛けて使用した滑車でしょうか。


「ここに活動拠点があるなら、もしかしたら奥へと向かう木馬道は一旦途切れているかも。」と心配しましたが、木馬道は整地されたりすることなく、ちゃんと奥へと続いていました。




けっこう危うい場所を進んでいきます。


そして間もなく道筋が途絶えてしまいました。真下まで10mくらい切り立った場所です。この先は桟道があったのでしょうか。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

進めなければどうしようもないので、迂回するために沢まで下りてきました。


先ほど立っていた行き止まりの場所を見上げています。丸印を付けた場所です。


見えにくいですが、写真中央部の岩場に石垣があります。木馬道の続きです。


岩場にスプレーで丸印が付けられています。そしてその先に生えている木にも赤色のペイントがあります。ここが迂回路のルートであることを示すサインと思われるので、矢印のように入り込んでいきます。


斜面を見上げると、やはり石垣が続いています。目印を参考に、登りやすいルートを探しながら斜面を登ります。


無事に木馬道へと復帰しました。木々が生えていて、手がかりや足場の多い斜面で助かりました。


所々、岩場を切り取り工で削りつつ、石垣道は続いていきます。






また変な育ち方をした木に遭遇しました。なぜこんな育ち方をしたのか…。


ここの岩もきれいな断面をみせています。割ったり削ったりしようとすると、きれいに剥離しやすい岩なのでしょうか。


路面が崩れて、岩場に狭い足場だけが残っています。ほんの短い距離ですが、足の置き場、運び方をいちいち考えながら、岩壁に手を添えてバランスを崩さないように慎重に渡っていきます。


まだ、こんなガレ場の方が安心して歩いていけます。


狭い回廊のような崖道が続きます。






この木馬道を歩いていて、初めて岩盤を開削した切り通しに出会いました。


切り通しの先も崖道が続いているようです。


路面に段差ができています。左側は高い絶壁。注意しながら段差を上がります。


クランク状に木馬道が続いています。


直線の突き当りまで行き、そこでゆっくりと左方向へと体の向きを変えました。切り通しからそこまでは、多少はビクビクしながらもまだ大丈夫でした。

そして進行方向を見据えます。目に入ったのは、とても細く凸凹な路面。そして、何よりも底が見えない奈落…。ここで一気に恐怖心が湧いてきてしまいました…。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

一度恐怖心が湧き上がると、もう冷静でいられません…。強烈な動揺が体を硬直させます。少しでも落ち着くために、背後の岩壁に背中をくっつけて体を固定します。

そんなことをしながらも、まだ「ダメか?いや、行けるかも。」と逡巡はしていました。もう少し「緩い」場所なら、時間をかけて何度も頭の中で通過のシミュレーションをしているうちに、多少なりとも心は落ち着けたかもしれません。

しかし、今立っている場所は、すでに危険な場所の只中です。そんな場所で恐怖心に捕らわれてしまいました。大げさな話かもしれませんが、この状態では進むどころか、ここから切り通しまで引き返すことすら怪しいです…。

進むべきか、戻るべきか、どうすれば落ち着くか等々、いろんな事をグルグルと考えていましたが、いつまで経っても動揺は全然落ち着きません。

出した結論は「とにかくこの場から引き返す。」。こうなれば、切り通しまで引き返すことだけに集中します。すり足で切り通しがある方向へゆっくりと体を向き直します。あとは動揺する気持ちを何とか抑え、「大丈夫、大丈夫。」と自分に言い聞かせながら、一歩一歩慎重に戻っていきます。

ひとまずは安全圏内まで引き返すことができました。




その場にいた時は5分くらいは経っていたと感じていましたが、撮影時刻で確認すると、切り通しから直線の突き当りまで歩き、立ち尽くして、そしてこの写真の場所まで引き返すという行動にかかった時間は、12時28分から12時30分までの、ほんの2分程度の出来事でした。

奥地まで踏破した方の記録によると、おそらくこの写真の先で、十字型の鉄梯子で岩壁の上方へと迂回するルートに遭遇するはずでした。さすがにそんな場面を通過できるだけの技量も経験もないので、そこが私としての終点になると踏んでいましたが、結果的にはその場所にすら辿り着けませんでした。


今までにも、こんな場面で引き返したことはいくらでもありました。気持ちとして踏破できないことは残念な事ですが、こういう時は、「安全第一、安全第一。命あっての物種だよね。」というようなことをつぶやきながら帰ります。

まずは立合川橋まで無事に戻ってきました。


さらに有蔵トンネルを通過し、車まで戻ってきました。


前回引き返した地点から、今回引き返した地点までのルート図です。今回の総歩行距離は9km、6時間の探索でした。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さあて、どうしたものか…。自分が決めた「終点」まで残した距離はおそらく50mから100m程度。その距離を再アタックするためだけに、車で片道4時間走行して、さらに片道4.5kmを歩かないといけません(笑)。

引き返した場所へ行ったとして、次はちゃんと「通過できる」とは限りませんから、徒労に終わることも想定しておかないと「精神的な疲労感」が半端ないことになります(笑)。まあ、またやる気が起きたら行ってみますかね。この木馬道の道中自体は楽しかったですから。
Posted at 2023/11/21 00:58:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2023年11月17日 イイね!

【十津川村・北山村】立合川木馬道を探索する(3)

2023年10月21日土曜日、奈良県吉野郡十津川村と和歌山県東牟婁郡北山村の境を流れる立合川の渓谷に残る立合川木馬道を再び探索してきました。今回の目的は、10月14日に引き返した地点から、さらに奥へと、できる限り木馬道の探索を進めることです。

前回訪れた時は、国道169号東野トンネルの東側坑口前の駐車帯に駐車しましたが、今回はすでに先客が駐車していたため、さらに東側の小松トンネル西側にある広い路肩へと車を駐車しました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

有蔵トンネルをくぐり、立合川木馬道の入口へと向かいます。




立合川木馬道へとつながる連絡路の入口に来ました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

さっそく前回の引き返し地点へと歩を進めます。






前回の引き返し地点に到着しました。


ここで、細く深く抉れた溝を飛び越えて、段々になっている岩場を登っていきます。


途切れた木馬道の先端まで戻ってみました。


それでは木馬道を奥へと進んでいきます。




倒木に躓かないよう注意して歩いていきます。


沢で木馬道が途絶えました。迂回するため、巨岩がゴロゴロしている沢底へと下りていきます。


露出している根っ子を手すり代わりにして、木馬道へと登り直していきます。


けっこう険しい場所を通過していきます。その場を歩いている時は、特に気にならないんですけどね。




それでも、こんな風に樹木に囲まれている場所はやはり安心感があります。




沢の中へと延びている短い築堤がありました。橋の長さを少しでも短くするためのものでしょう。側面は両側とも石垣で固められています。




いびつな生え方をしている木。もしかしたら、元々は木と岩の間にも土か岩があったのかもしれません。


穏やかな様子になりました。


なだらかな稜線を巻いていきます。


稜線を越えて斜面が変わったら、踏み跡程度に細くなってしまいました。シダ類が生えている場所は崩れやすい場所が多いので、足元に注意しながら進みます。






岩場を切り取り、石垣を積んで造られた道を進んでいきます。






土砂で埋もれてしまった凹地を通過していきます。こういう場所は、少しでも余裕を持てるように、できるだけ高い場所を進みます。


ここの斜面は、滑り落ちるとさらに抉れた沢の岩場へと落ちてしまいます。


木馬道へと根っこが伸びてきていて歩くのに邪魔なので、谷側の端っこを注意しながら進んでいきます。


「R2.4.23 森林調査」と書き込まれた杉。3年半前にここまで調査目的で入ってきた人がいるんですね。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

見上げてみると植林地になっています。生育状況の調査だったのでしょうか。


またいびつな生え方をした木がありました。こういうヘンテコな生え方をした木を見るのも、山歩きの楽しみの一つと言えます。




高くて立派な見ごたえのある石垣ですね。




このような角が立っていてメリハリの利いた石垣道は「好物」ですね(笑)。


剥き出しになった岩盤の上に、前後の路面をつなぐ高さで石垣が積まれていますが、今となっては砂防ダムみたいなものです。


手前の倒木は、通行の邪魔にならないように、人の手で切られた跡があります。


表土が流れて、凸凹の岩が剥き出しになっています。出っ張った部分を足場にして渡っていきます。


端正な石垣道の先端に沢が見えてきました。


この沢も巨岩がゴロゴロしていますね。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

※その(4)へ続く。
Posted at 2023/11/17 00:06:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2023年11月13日 イイね!

【十津川村・北山村】立合川木馬道を探索する(2)

2023年10月14日土曜日、奈良県吉野郡十津川村と和歌山県東牟婁郡北山村の境を流れる立合川の渓谷に残る立合川木馬道を探索してきました。

前回(1)で「大滝」の案内板まで来ました。


ここから先は廃道区間となります。「大滝」までは動画があり、木馬道の路面状況も事前に把握することができました。しかし、この先の情報は奥地まで踏破された方がアップしているわずかな写真のみになります。


まずは穏やかな様子で再スタート。


大量の石が流れ込んだガレ場を横断していきます。


「大滝」までの岩場を通過する崖道から打って変わり、比較的落ち着いた様子の道筋が続いていきます。






また岩場を通る崖道が始まるのかな。


路面が無くなってしまいました。桟道が架けられていた場所だったのかもしれません。


少し戻って、ピンクテープが付けられている所から、迂回路へと入っていきます。


細い踏み跡を歩き、沢へと下っていきます。


頭上に木馬道の石垣が見えています。


木馬道へと復帰しましたが、またすぐ前方に沢があるようです。


沢が深い溝を刻んでいます。対岸には木馬道が続いているので、何とか迂回を試みます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

木馬道を外れて沢の直前まで来ました。ここからさらに左下に見えている小さな滝の前まで下りていきます。


滝の前まで来ました。ここから木馬道まで斜面を登り直していきます。


石垣の下まで登ってきましたが、このまま石垣を登るのは何気に厳しそうです。


石垣の切れ目まで横移動して、木馬道へと復帰します。


木馬道を少し戻り、沢で途切れていた部分を眺めます。黄色の線を引いてあるところが、先ほど立っていた木馬道です。


ふたたび穏やかな様子の道に戻りました。








ここは路面部分が少しかさ上げされていますね。


崖道になりましたが、前方に凹んで見える所があります。


ここも桟道が架かっていた場所でしょう。桟道がなくなった後に置かれたのだろう材木が残っていますが、さすがにこれを渡るのは危険です。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

ここも真下に迂回路となる踏み跡があるので、そちらへと迂回して進みます。




正面に石垣が見えてきました。あそこまで登って、木馬道へと復帰することにします。


木馬道へと登ってきました。正面の岩壁はきれいな壁面をみせています。多分、自然に滑らかになったものでしょう。


ここの石垣には橋桁を受ける段差が設けられています。沢水を逃がすための溝が設けられていたようです。


ここまで木馬道で見かけた石垣は、石を整形せずに積み上げた野面積みばかりです。ある程度古い道では、このような野面積みの石垣をよく見かけますが、これでも十分に強度や排水性を備えているので、建設時の手間があまりかからない、手頃な手法だったのでしょう。




良好に残った道筋が続いていきます。やはり、道の残存状態は山の地形や地質に大きく左右されますね。




倒木に道が塞がれています。倒木をくぐったり跨いだりするのは難しそうなので、根っこ側へと迂回して進みます。


また深い沢に遭遇しました。対岸には木馬道の石垣が見えています。




場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

対岸へ渡れる場所を探すため、木馬道を外れて沢まで下りていきます。

沢底まで下りてから、対岸の木馬道を見上げます。けっこうな高低差があります。


対岸へ渡るのならば、右側の凸凹になっている岩場を伝って進むしかありませんが、いまいち自信が持てません。この時点で雨が降り始めてきていて、苔が生えている岩場も濡れている状態だからです。


もともと天気が下り坂であることは承知で木馬道の探索に来ていたので、今回はこれ以上進むのを止めて、引き返すことにしました。続きは日を改めてアタックすることにします。

復路の道中で撮った写真。往路と同じ景色ですけどね。














立合川橋の真下まで戻ってきました。時間的にはまだ余裕があるので、北山川沿いを通る「筏師の道」を少し覗きに行ってみることにします。


立合川橋からさらに下流側へと、木馬道を進んでいきます。


木馬道の下側に「筏師の道」が見えてきました。


「筏師の道」とは、かつて北山川で筏流しをしていた頃、筏を操って新宮(和歌山県新宮市)まで下って行った筏師が、筏を操る道具を担いで自宅のある山へと帰るために歩いた道のことです。一部の道が整備されて、ハイキングコースとなっています。


分岐点から立合川に架かる吊り橋まで進むことにします。






立合川の吊り橋です。「全国Q地図」によると、橋名は「有蔵橋」(あんぞうはし)、橋長は13.2mだそうです。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

対岸へ渡ってから振り返った眺め。ポスト(妖怪ポストみたい…。)の中には、通行量調査のためのカウンター(数取器)が置かれています。


吊り橋の中央から立合川の流れを見下ろしています。今朝、立合川橋を出発してからここまで来て、ようやく立合川の流れを直接目の当たりにすることができました。


「筏師の道」を戻っていきます。


木々の隙間から見えた北山川。立合川はこの川へと合流しています。両岸を荒々しい岩に囲まれた川ですが、この流れの中を筏師は命がけで筏を操って新宮まで運んでいたわけです。


木馬道との分岐点を通り過ぎ、少し東側の方へも歩いてみました。この場所から立合川が北山川へと合流する場所へ下りられるようですが、「登り直すのが面倒くさいな。」と思って止めました。車へと戻るには、また立合川橋まで登らないといけませんから(笑)。


立合川橋のたもとへと登ってきました。


依然、小雨が降り続いています。山の上には雲がかかってきました。


深山幽谷の趣になっています。早ければ次の週末にでも出直しですね。


今回探索したルート図です。「筏師の道」を歩いた分まで含めて、距離4.2km、3時間30分と結果的には短めの探索となりました。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

次回は当然引き返し地点の先へと進むわけですが、どこまで進めるのか予想できませんね。そもそも、引き返し地点の先にある岩場の斜面を登れない、という可能性もあるわけですし、登った先であっけなく途絶していることもあり得ますから。

それでもまた片道4時間、車で走ってくるだけの期待感と面白味はありますね。
Posted at 2023/11/13 22:17:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2023年11月11日 イイね!

【十津川村・北山村】立合川木馬道を探索する(1)

2023年10月14日土曜日、奈良県吉野郡十津川村と和歌山県東牟婁郡北山村の境を流れる立合川の渓谷に残る立合川木馬道を探索してきました。

この道を探索することにしたきっかけですが、宇連橋から始まる木馬道跡を探索後、何気に木馬道のことをネットで検索していたら、検索語句の中に「立合川木馬道」の表示があったことでした。

どんな木馬道なのかと検索してみたところ、歩いた内容についてのブログや山行記録が2~3件あり、読んでみるとなかなかハードな場所を通るルートに興味を惹かれました。

その内の1件は最奥部まで歩き通した方のものでしたが(この方は、付近の山へ登るアプローチ路として木馬道を使おうとしただけで、歩き通すことが目的ではなかった。)、その最奥部は「滑落死を意識しながら、戻ることは無理と強引に進み…。」という有様のようです。

私がそんな場所まで入り込むことは120%無理ですが(笑)、木馬道の途中までの行程をアップした動画もあり、それを観た限りでは、少なくとも撮影された範囲ならば私でも十分楽しめそうでした。そして、「そのうちに訪れてみよう。」と予定していたわけです。

探索当日は自宅を4時半前に出発。出発地点となる国道169号東野トンネルの東側坑口前に8時35分頃到着しました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

東野トンネルの東側坑口を出ると、ものすごく高い橋が架かっています。


橋の名前は「立合川橋」。川の名前の読み仮名は「たちあいがわ」とありますが、地元の方々は、「たちあごう」、「たちあご」、「たっちゃご」、「たちゃんご」などと呼ぶようです。


橋の上から立合川を覗き込みます。腰が引けて、目もくらみそうです…。立合川の流れは、木々に覆われてしまい全く見えません。


そして立合川の上流を眺めます。今からこの深い渓谷に残る木馬道を遡っていくわけです。


立合川橋を渡り、対岸にある有蔵トンネルの前に来ました。


トンネルの前から立合川木馬道へとつながる連絡路を下っていきます。


立合川橋を振り返ります。この深い渓谷のため、架橋工事の際は相当苦労したそうです。


入口にある案内板。


「大滝」と「立合川渓谷(木馬道)」の案内があります。「大滝」は立合川大滝とも呼ばれています。「立合川」と検索すると、検索結果のほとんどがここを流れる立合川の遡行記録ですが、その中でも立合川大滝は、立合川の沢登りの大きな目的地としてよく知られた存在のようです。


ちなみに、立合川木馬道を利用して「大滝」へ向かうことは困難なようです。理由は、木馬道と立合川の間の高低差があり過ぎることと、その間の地形が険しすぎるためだとか。滝を見るためには、やはり立合川を遡行していくしかないようです。

連絡路の急な階段を下りていきます。


階段から立合川橋の真下を眺めています。橋の下に通路が確保されていますが、これは近畿自然歩道として使われていた木馬道のための措置でしょう。


立合川木馬道へと下りてきました。いよいよこの場所から上流へと木馬道を歩いていきます。


この木馬道の歴史については、ネット上では資料が見当たらないため、よくわかりません。立合川木馬道の動画を撮影した方によると、明治40年(1907年)に木材を運搬するための「トロッコ道」として造られた道だそうです。

木馬を使用する「木馬道」だったのか、トロッコを使用する「トロッコ道」だったのか。今のところ真相は不明ですが、「木馬道」ということでこのまま進めていきます。そのうち、新宮市の図書館へ行って、「北山村史」でも読んでみますかね。

スタートしてしばらくは、今までによく歩いてきたような雰囲気の道筋が続いています。




表土が薄いのか、根っこを網目状に這わせています。


ガレ場と化した沢を渡っていきます。地形図で見ると、この辺りで奈良県十津川村から和歌山県北山村へと変わるようです。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

路肩の石垣がしっかりと残っています。


岩の切り取り工で木馬道が造られています。


「はま松滝」の入口。谷側を見下ろしてもはっきりとした道は見えませんが、この辺りから立合川へと下りていくことができるようです。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

鉄パイプと木製の踏み板で造られた桟道が現れました。「大滝」までの区間は、かつて近畿自然歩道だったおかげで、このような桟道が取り付けられています。最近、地元の方によりボロボロだった踏み板が取り替えられたそうで、もしも桟道が渡れなかったら、この地点で引き返す羽目になっていたでしょう。


沢との交差部分に大量の石が流れ込んでいますが、この状況でも路肩の石垣はしっかりしています。危ない部分は、ガレ場の中へと高巻きして通過します。




渡ってきた桟道を振り返っています。現役当時は木製の桟道が架けられていたはずですが、鉄パイプであれ材木であれ、よくも架けたものです。


また桟道がありました。この後もひっきりなしに桟道が現れることになります。


ずっと切り取り工で造られた道が続いています。


また桟道を渡っていきます(頻繁に現れるので、早くもコメントが思いつかない(笑)。)


「立合川渓谷(なべ滝へ)」とあります。斜面を下るように案内板は示していますが、やはり道らしきものはありません。「自分で歩きやすい場所を探して下ってね。」ということでしょう。


路面が欠けたのか、一部分だけに踏み板があてがってあります。


この辺りも、桟道が無くなったら迂回が不可能な地形ですよ。最初に施工した人達が一番すごいですけど、再建した人達も命がけですよね。そのおかげでこうして安心して通れるわけで、ありがたいことです。




「堺面の滝」に来ました。「堺面」、どんな意味なのでしょうか。ここの滝は木馬道と交差しています。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

おそらく、これが「堺面の滝」でしょう。「お面」と言うのなら人の顔に見えなくもないですね。水量が少ないので貧相に見えますが、水量が多いと迫力ある感じに見えるのですかね。


木馬道の谷側も滝となって流れ落ちていきます。


次から次へと桟道が現れます。ほとんどの桟道は、踏み板が二枚重ねで敷かれているので、乗っても大きくたわむことはありませんでした。






人一人がやっと歩けるだけの道幅しかありません。これが展望の良すぎる絶壁だったら恐怖しかありませんが、谷側に木が鬱蒼と生えているおかげで、高度感をあまり感じずにすみます。


桟道をよく見ると、鉄パイプを執拗に組み合わせてあります。力学的に効果を発揮するような組み方なのかはわかりませんが、「とにかくしっかり組み上げよう。」という心意気は素人でも感じられます(笑)。




この急峻な地形でも石垣がよく残っています。土砂崩れや岩崩れがあっても、路面から谷側へとうまく流れ落ちてくれれば、直接的に破壊力が掛からずにすむのかもしれません。


桟道はしっかりしているし、道幅もこれだけ残っていれば楽しい山歩きです。






大きな落石が連続で現れました。今はヘルメットをかぶってから廃道へ赴くことがすっかり習慣になりましたが、現実的にはこぶし大の落石が直撃しただけでも、どれほどの負傷をするのか見当もつきません。もちろん、かぶらないという選択肢はありませんけどね(かぶっている方が便利な時も多いですしね。)。




ここは頭上の岩が緩い片洞門のように削られています。


綺麗な弧を描く石垣。良いですね(笑)。


岩場を切り取った狭い崖道が続きます。でも大丈夫、怖くはありません。




ここは頭上にも鉄パイプが組んであります。


ここは坂道になった桟道。踏み板がしなります。


沢に蓋をするように高く積まれた石垣が見えてきました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

これは素晴らしいですね。側面が整っているので、単純に石を沢へと投げ入れて積んだわけではなく、きちんと足場を組んで積み上げていったのでしょう。


岩壁を荒々しく削り取って造られた道が、まだ先へと続いています。


石で埋まる沢に登り、この場所の全景を撮ります。地形に沿ってきれいな馬蹄型を描く木馬道。かつては材木を積んだ木馬が、もしくはトロッコが、この細い崖道を四苦八苦しながら下っていったわけです。今の光景からはとても想像できません…。


本当に良い場所です。ここに座ってずっとこの景色を眺めていても、飽きることは全然ないでしょう(笑)。

この木馬道の動画を見ていて「ゾクッ」とした場所。路面が3分の1ほど抉れています。実際にこの場所へ来てみたら、それほどの感覚はなく、普通に素通りできました。


前方が明るくなってきました。


立合川へと落ちていく稜線の一つに出てきたようです。




そして、この場所に「大滝」の案内板が立っていました。有蔵トンネルの前からこの場所まで、55分ほどかかりました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

突端へと立って、立合川の下流方向を眺めています。この場所からでも、谷底を流れる立合川の流れは全く見えません。


立合川橋が見えています。ずいぶんと山深い場所まで入り込んだ気になっていましたが、直線距離で見れば橋からあんまり離れた場所ではないことがよくわかります。


さて、ここまでは一応現役の道と言えましたが、ここから先は紛れもない廃道区間。当然、今までの桟道のように、地元の方々が補修や維持管理を一切していない区間となります。

まあ無理はせずに、進めるところまで歩いていってみましょう。


※(2)へ続く。
Posted at 2023/11/11 20:34:35 | コメント(0) | トラックバック(0) | 立合川木馬道 | 日記
2023年11月10日 イイね!

【高島市・小浜市】おにゅう峠を訪れました

2023年10月8日日曜日、滋賀県と福井県の県境にある峠「おにゅう峠」を訪れました。弟から「眺めが良い峠があるみたいだから行ってみよう。」と誘われ、姉も一緒に3人で出かけました。

現地へは、伊勢湾岸道・新名神高速道路・名神高速道路・国道161号湖西道路・国道477号・国道367号・滋賀県道781号と経由していきます。

こちらは、新名神高速道路の甲南PA。忍者で知られる甲賀の地にあるので、忍者のアピールが激しいです(笑)。


さらに進んで、こちらは滋賀県高島市朽木中牧の針畑橋。少し離れた場所にある「源流の駅 山帰来」という所に車を停めて休憩してます。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

近くに神社があったので行ってみました。大宮神社というそうです。


境内は杉などの巨木が立ち並び、昔から大切にされてきた場所であることが窺えます。






針畑橋の交差点に立っていた観光案内板。今から向かう「おにゅう峠」も載っています。






「おにゅう峠」の名前の由来になったと思われる小入谷(おにゅうだに)の集落から峠へ向かう林道小入谷線に入り、思っていたよりも整備されたクネクネ道をどんどん登っていきます。


自宅を出て約5時間後の10時35分、「おにゅう峠」に到着しました。


場所はこちら。


昔からある峠ではなく、林道を建設した時に新たに切り開かれた峠のようです。


あいにくの曇り空で、あまり遠くまでは見えませんが、なかなか良い眺めです。


さて、「おにゅう峠」の東側には、鯖街道の愛称で呼ばれる若狭街道(針畑越え)の根来坂峠があるそうで、せっかくなので徒歩で向かうことにします。


根来坂峠へと歩いていく尾根は、高島市内にある中央分水嶺を結ぶ「高島トレイル」のルートになっています。




「おにゅう峠」から15分ほどで根来坂峠に着きました。


場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。

峠には案内板、お地蔵様、大乗妙典一石一字塔がありました。






峠から京都方面へ下る道と小浜方面へ下る道を見ています。峠付近の街道を見る限りでは、駄馬(荷を背負った馬)が通れるほどの道ではない感じなので、人が荷物を担いで往来していたのでしょう。




根来坂峠から車に戻り、そのまま「おにゅう峠」から福井県側へと下っていきます。福井県側の林道は滋賀県側よりも急坂で、ガードレールが設置されていない場所も多いので、山道に自信が無い方は滋賀県側から訪れたほうが良いかもしれません。

ちなみに、昔、GC8のシルバーのインプレッサに乗っていた頃、林道を福井県側から入り込んだことがありました。当時はまだ「おにゅう峠」までつながっていなくて、路面も未舗装でした。車をガッタンゴットンいわせながら登りましたね(笑)。

お昼を食べようと道の駅「若狭おばま」まで来ましたが、レストランが混んでいたので断念。


結局、ネットで検索した小浜市街地の小さな食堂でお昼御飯となりました。私は鯖の醤油漬けの焼き物と塩焼きの定食。さすが地の物だけあって美味しくいただきました(笑)。


食事後、姉が「最後に気比神宮へ行こう。」と言い出したので、舞鶴若狭道で敦賀市まで移動。

小雨がぱらつく中でしたが、のんびり境内を見物しました。




帰り道は、名神高速道路の一宮付近の渋滞を避けるため、敦賀から木之本・関ヶ原を経由して東海環状道大安ICまで下道で迂回。大安ICから高速道路に乗ることに。

伊勢湾岸道 湾岸長島PAで晩御飯を食べてから、帰宅しました。
Posted at 2023/11/10 23:07:35 | コメント(0) | トラックバック(0) | ドライブ | 日記

プロフィール

「【豊根村】霧石峠への富山漆島側峠道を下見しました http://cvw.jp/b/1796277/47676277/
何シテル?   04/25 00:05
「小林あに」と申します。よろしくお願いします。 休日はドライブしたり、廃道となった旧道や峠の古道を歩いてみたり(煉瓦製のトンネルや暗渠も好物ですが、最近は...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2023/11 >>

   123 4
5678 9 10 11
12 13141516 1718
1920 2122232425
2627282930  

ブログカテゴリー

リンク・クリップ

東海道本線旧牧之原隧道と宇津谷隧道 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/12/10 07:32:18

愛車一覧

スバル インプレッサ WRX STI スバル インプレッサ WRX STI
所有4台目(4代目)となるインプレッサ。 ガチガチのマニアというわけではないですが、4 ...
スバル インプレッサ WRX STI スバル インプレッサ WRX STI
平成16年夏に購入。 自身3台目のインプレッサとなります。 購入理由は、2台目インプレ ...
スバル インプレッサ WRX STI スバル インプレッサ WRX STI
平成9年夏購入。 インプレッサ2台目。 行きつけの車屋さんへタイヤ交換の依頼をしに行っ ...
スバル インプレッサWRX スバル インプレッサWRX
平成7年夏購入。 インプレッサ1台目。 購入動機は、WRCのビデオを見たのが一番。 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation