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2022年01月22日

設楽町和市「堤石峠」へと向かう車道跡を辿る

2021年11月27日土曜日、愛知県北設楽郡設楽町和市からグミンタ峠への里道跡と交差する車道跡と思われる廃道を堤石峠まで辿りました。

ここまで和市からグミンタ峠までの里道跡を探索し、一応のルート確定ができたので、続いては里道跡と交差していた謎の車道跡を辿ってみることにします。


里道跡との交差地点の真横にある石積み橋台。人や牛馬を通行させるだけならば、この程度の沢に橋は不要。渡渉させれば十分です。やはり荷車を通行させていたのではないかと考えてしまいます。




車道跡に上がって、正面から眺めてみます。




もう少し引いて、里道跡との交差地点の全景です。




それでは車道跡を辿って進みます。橋台を離れるとすぐに道跡が不鮮明になったり、道幅が狭くなってきて、自分の予想が揺らいできます。






前方に岩を削って道を通したように見える場所があります。


間近で見るとこれは明らかに岩を開削して道を通しています。




徒歩道であればこれだけの道幅を削り出す必要はありません。また、開削に大きな労力をかけているという点に、この廃道は作業道のような一時的なものではなく、常用を目的とした車道(荷車道)跡だと確信できました。


岩に沿って車道跡は進んでいきます。


前方、山側の斜面は大きく岩が剥き出しになっており、谷側も急傾斜になっていて、この先に車道跡が残っているか懸念されます。


まだ人が歩くだけの幅は残っているので、慎重に進んでいきます。


本来は谷側に石垣を積んで土を盛り、道幅を確保してあったのか、この状態まで削り出したところで断念したのか。現場を見る限りでは判断できません。


矢印の所まで進んでついにストップです。


私のレベルでこれ以上は進めません。幅が狭いうえに平場が谷側へと傾斜しています。また、前面に落ち葉が積もっており、路面状況もわかりません。




ここは一旦引き下がり、大岩の下へと迂回することにします。

岩の下から車道跡を見上げています。とにかく樹木などの手がかりがあまりにも無いため、もし滑ったらそのまま岩の下へ10mくらい落ちることになります。


車道跡へともどります。ここにも路肩を保持する石垣が積まれています。


通り抜けできなかった区間の反対側まで引き返していきます。


こちら側からの方が全景が見えるので、より状況がわかりやすいと思います。せめてL字型で水平に削られていれば通過することもできたのでしょうが…。




現場は何となくですが、岩盤を階段状に削り込んだようにはなっており、もしかすると図のように道路を通していたのかもしれません。


さて、車道跡へと復帰した場所から先へと進みます。ここはすぐ目の前で沢を渡っていきます。ここの沢も岩盤が剥き出しで、「スラブ」というものですかね。


沢の上部です。


沢の下部です。


沢を渡った場所から車道跡を振り返っています。




岩壁の下のガレ場を進んでいきます。




もはや徒歩道と変わらなくなっていますが、依然「車道跡」は続いています。


斜面が崩落していますが、踏み跡は残っています。ここは通過にちょっと困りましたが(主に気持ちの面で。)、歩けるだけの幅はあるので、一息ついてから足早に通過します。


進んだ先でまた元の道幅に戻り一安心です。


これは岩が割れたものなのか、人の手で石を積んだものなのか。一つの大きな岩が割れたようには見えませんが、わざわざ大きな石を積み上げる理由もわかりません。


今まで通過してきた場所に比べるとなだらかな地形になったためか道幅が広くなっています。真ん中に生えているアカマツ?の太さから見て、この道が使われなくなって相当の年月が経っていることが伺えます。


路肩で見つけた石垣。成形した石ではなく割っただけと思われる石を乱積みしています。単純に考えるなら、古い時代のものと思えます。


大きな倒木が連続して車道跡を塞いでいます。このサイズだと幹に馬乗りになって跨いでいくしかありません。




また高い岩壁が現れました。岩壁の直下を巻くように通過していきます。




ここにも岩を大きく開削した箇所がありました。




岩壁直下を通り抜けました。


土砂が流れ込んだようで、斜面が凸凹に荒れています。


深く抉れた沢を渡っていきます。沢を渡る付近を見渡してみましたが、橋台らしきものは見つけられませんでした。


ふたたび道幅は狭くなりましたが、車道跡はしっかりと残り、奥へと続いていきます。


岩に大股で根を這わせる木。わざわざ岩の上に這わせる必要があったのかな?山奥を歩いていると、いろいろ奇妙な生え方をした木々に出会えて面白いです。


前に出てきた崩落地の通過地点と同じような雰囲気ですが、ここはまだ気楽に通過できました。


これは私好みの風景ですね(笑)。絶壁を削り込んで道を通してます。道幅は荷車道としては微妙ですが、歩く分には十分です。


車道跡から身を乗り出して路肩の石垣を撮ってみましたが、うまく撮れませんでした。この辺りは谷側が崖並みの急斜面なので、これ以上は無理でした。


路肩に生える木々がまるで並木のようです。


岩壁の突端を回り、さらに進んでいきます。


程なくして、堤石峠へと向かう「十三曲がり」の峠道に出ました。


峠道の路肩に立っているポールには「十二曲がり」とありました。以前に堤石峠への峠道を歩いていた時に、「何か道があるみたいに見えるなぁ。」と思っていた場所でした。


今回歩いた堤石峠までの車道跡のルート図です。


道幅については廃道ということもあり、荷車道並みの場所もあれば、徒歩道程度の幅しかない場所もありました。ただ、岩場を開削した場所については、荷車道らしい幅が確保されていたかと思います。

あとは、勾配が全線を通して緩やかであること。馬もしくは人が荷車を引くためには重要なポイントです。

ということで、私の結論としては、この廃道はやはり車道跡でしょう。

さて、せっかくここまで登ってきたので、堤石峠まで上がることにします。峠までの間に車道跡の続きとなるような痕跡が無いか、見回しながら歩きましたが、それらしい跡は見つけられませんでした。

堤石峠です。訪れたのは2020年6月6日に堤石峠の東側に続く里道跡を探索して以来です。




峠から少し上にある眺めの良い場所からの三ツ瀬明神山方向の眺めです。


和市登山口の駐車場へと戻ってきました。堤石峠からは20分程でした。


グミンタ峠への里道跡探索も含めた今回の歩行ルート図です。




歩行距離は約4.7km、探索時間は約4時間半でした。今回は歩行ルートの履歴を把握するために山登り用のアプリを導入。これが思った以上に細かくルートを記録してくれたので、ブログに載せるルート図を作成するのに大いに役立ちました。

最後に、堤石峠への車道跡についての私見です。前にも書きましたが、この車道跡については、設楽町誌に記述は無く、愛知県内を探索するの方のサイトやブログでもヒットはしませんでした。

現在、設楽町誌などでわかる事は、堤石峠を経由する現設楽町田口と現東栄町本郷を結ぶ街道が車道改修されたのは、1934年(昭和9年)の堤石隧道の開通によるということだけ。この出来事に合わせて、街道は荷車道や馬車道への改修を飛び越えて、自動車通行を意図した車道の新規開削や道路改修が成されました。

なので、今回辿った車道跡が、堤石峠を荷車で通行できるようにと意図して開削された車道であるのか本当は全くわかりません。当然、公的な工事であったのかどうかも不明です。

だとしても、堤石峠の「十二曲がり」地点へは接続されていたわけですし、設楽町和市側から峠直下まで荷車を引き込めるのは、中途半端とは言え、それなりの物資輸送上の効果はあったのではないでしょうか。

あとは、堤石峠を20mから30m切り下げるかトンネルを掘削することさえできれば、荷車道で峠を越すことも夢ではなかったでしょう。

結果的には、峠の開削やトンネル掘削までの費用が捻出できなかったのか、そもそも峠直下まで接続できれば十分だったのか、堤石峠を越えて車道開削が進むことはありませんでした。峠の東側(設楽町平山側)の地形は和市側よりも急傾斜のため、荷車道を緩勾配で開削できるルートを見出だせず、峠の東側へと延伸することを断念した可能性もあります。

そうして何も記録に残らないまま、1934年(昭和9年)の堤石隧道の開通により埋もれていったのかもしれません。

私の脳みそではこんな事くらいしか考えられませんが、こんな想像で終わるのも廃道探索の面白味というところですかね(笑)。



※2023年12月6日追記
探索当時、この道跡は「未完成の荷車道の廃道」と考えていたわけですが、今改めて考え直すと、この道跡は木材搬出用の「木馬道」の跡と見るほうが妥当な気がします。

「盤木」などの遺構を確認したわけではないですが、荷車道に比べるとやはり道幅が狭く感じます。しかし、狭いながらも重量物を運搬するための道であるため、石垣や岩の開削などしっかりした造りであるのは当然と言えるでしょう。
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Posted at 2022/01/22 15:18:09

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