2021年12月11日土曜日、長野県飯田市の国道256号自動車通行可能区間の終点を訪れ、そのついでに小川路峠への峠道の入口となる区間を歩いてきました。
この日はあてもなく自宅を出発。ひとまず東海環状道から中央道を飯田方面へと向かって走行。途中で「遠山郷へ行くかな。」と思い立ち、飯田山本ICから三遠南信道へ。
終点の飯田上久堅・喬木富田ICへ着いたところで、「そう言えば、国道256号の自動車通行できる区間の終点へ行ったことないし、ちょっと寄ってみるか。」とIC出口で左折して終点へと向かいます。
2車線から1.5車線の道幅で続いていた国道が、最後の集落である越久保地区を通過すると1車線幅へ。「行ける所までは。」と思いつつ、どんどん坂を登っていきます。
国道標識が立っているのを見つけました。
「ちゃんと国道なんだなぁ。」と感心しました(笑)。
この先、インプレッサではちょっと厳しいかなという連続ヘアピンを1速・2速でゆっくり登り、国道256号の自動車通行可能区間の終点に無事到着しました。
地図はこちらです。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
国道256号は、この先にある小川路峠を越えて飯田市上村へと続いていますが、その区間のほとんどはいわゆる「登山道国道」となっているそうです。
かつては国道標識が掲示されていたのであろうポールがフェンス脇に立っています。
秋葉街道の案内板。小川路峠を越えるこの道は、かつては飯田の街と遠山郷とを結ぶ重要な峠道であり、また防火の神様で知られる秋葉神社への参詣道として盛んに利用されました。
ここまで登ってきた国道を振り返ります。指定されていればどんな道でも国道ですからね。
さて、終点を後にして、終点と越久保地区の中間くらいに建っているお堂へとやって来ました。
お堂の前に設置されている案内板によると、ここから小川路峠まで33体の観音が安置されていて、ここのお堂には一番観音が祀られているそうです。
お堂の裏側には小川路峠へと向かう古道の出入口があります。ただいま時刻は13時50分。ここから15時を目途にして古道を辿ってみることにします。
水流でガタガタに荒れてしまった道跡を100mほど登ると林道と交差。そのまま林道を横切り、獣害防止用の柵を通り抜けてさらに奥へと進んでいきます。
序盤は道跡があいまいで、斜面を左右に大きく移動しながら道跡らしい窪地を探していましたが、やがて明確な堀割り道を発見。時間が限られているので、どんどん登っていきます。
二番観音です。終点地や一番観音でもそうでしたが、きちんと案内や標識が立てられていて、地元の人によって管理されているようです。
古道は扇形に広がった源頭の谷間を大きく左右に移動しながら、ヘアピンカーブも繰り返して徐々に高度を稼いでいきます。
路面が陥没しています。一部に木材が敷かれているところからみて、一度は補修されたものの、木材が朽ちてまた陥没してしまったのでしょう。
尾根が近づいてきました。連続ヘアピンカーブで一気に登っていきます。
三番観音。
三番観音の先の坂を登ると尾根道になります。
また連続のヘアピンカーブです。
幅の広い切り通しが見えてきましたが、まだ尾根歩きは続き、古道は右へと曲がっていきます。
そしてすぐに左カーブ。
この場所に四番観音がありました。
左右が切り立った幅の広い尾根道を進んでいきます。
東屋が現れました。そして林道が合流してきています。
ここに五番観音があります。
はるか眼下には三遠南信道の矢筈トンネルが見えています。飯田市街地と遠山郷を結ぶ現代の道路です。
こんな感じで眺めています。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
さてさて、ここでちょっと進む道について悩んでしまいました。安全に右側の林道を進むべきか。しかし、古道はどうも左側へと進んでいた様子。左側へちょっと入り込んでみて「まあ何とかなりそうかな。」と判断。左側へと進みます。
先へと続く道筋が見えるので、さらに奥へと進むことにします。
崩落地ですね。まあ、傾斜は緩いですし踏み跡もあるので、このまま進んでいきます。
そして崩落地を通過したらこの状況…。急傾斜地に古道の名残りが道幅30~40cmで残っています。
幸い、路面は引き締まっていて崩れることは無さそうです。斜面には木々が点々と生えているので、不安を煽るまでの高度感はありません。ですが、滑落したら負傷以上は間違いないですし、そもそも高い所が苦手なので、やはり逡巡してしまいます…。
しかし、結局はこのまま先へと進みました。足場はしっかりしているわけで、自分が動揺さえしなければ何の問題もなし。気持ち山側へと重心を保ちつつ、スタスタと歩いていきました。
難所を無事に通過すると小川路峠へと続く国道へと出てきました。
ここに六番観音があります。
昔の人もここで一息ついていたようです。
六番観音から少しだけ先へと進んでみました。この辺りはまだ車が通行できるだけの道幅がありますが、やがて徒歩道へと変わるようです。
ここで時刻は14時45分。ここから車まで、またうっそうとした森の中を戻らなくてはいけないので、今回はこれで切り上げることにします。
六番観音から約45分。一番観音の前に停めてある車まで戻ってきました。
今回歩いた区間は、六番観音の所にあった案内板にあるとおり、「すん坂(または寸坂)」と呼ばれています。
歩いた推定ルートはこちら。
この坂は小川路峠へと至る峠道の序盤にしか過ぎませんが、機会があれば峠までは行ってみたい気もします。ただ、これで真冬になってしまうので、再訪できるのは早くても初春以降になるでしょうけど。
今回は目的地を決めずに出かけたドライブでしたが、結果としては良い感じで終わることができました。