2023年11月18日(土)、奈良県吉野郡十津川村を流れる立合川の右岸に残る木馬道を探索してきましたが、予定よりも早く引き返すこととなったため、合流した「筏師の道」を歩いて東野集落跡まで足を伸ばすことにしました。
立合川右岸の木馬道と「筏師の道」の合流地点。このまま直進方向へと進んでいきます。
合流してすぐの地点で、山側から大量の礫が道筋へと流れ込んでいます。滑って転ばないように踏みしめながら、ゆっくりと通過していきます。
古道に立つ金属製の電柱。場違いな建造物ですが、昔はコールタールに塗られた木製の電柱が立っていたのでしょうね。
古道を歩いていると石畳を見ることはありますが、石段を設けている場所はまず見ることがありません。牛馬が歩くには邪魔そうですし、この道はもっぱら人が歩くことだけを想定していたのかもしれません。
この辺りは滑らかな壁面の岩が本当に多いです。
岩がゴロゴロした枯れ沢。道と沢の間に段差が無いので、多分、元から橋は架かっておらず、沢の中を渡っていく感じのようです。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
石段の道を登っていきます。
ここも山側から岩が流れ込んでいます。ハイキングコースとして使われている道なので、路上部分の岩は取り除かれています。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
急坂のためか、ここにも石段があります。
現れる沢はどれも岩がゴロゴロとした枯れ沢ばかり。標高はさほど高くはありませんが、急峻な地形のせいなのかもしれません。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
石垣道でさらに坂を登っていきます。
道の状態は立合川の木馬道に比べれば全然問題ありませんが、周辺住民のかつての生活路だったと見ると、やはり険しさは否めません。
ここもなかなかにキツイ急坂です。
眼下に廃屋が見えています。どうやら東野集落跡へと着いたようです。
こんな山奥になぜかダム放水の注意看板が立っています。
シダに覆われた斜面の上にも家屋が見えています。見る限り、こちらも廃屋になっているようです。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
集落跡の中の道を進んでいきます。廃集落なので人がいないのは当然ですが、家屋が管理されているとか耕作されている畑があるなど、他所から誰か通ってきているような様子も全くありません。
集落跡内の様子を眺めつつ、「筏師の道」をどんどん登っていきます。
路傍の石垣の上に墓碑か石碑と思しきものが立っていました。碑文などの内容についてはっきりと読み取ることはできませんでした。
近畿自然歩道の案内標柱。
頭上に立派な石垣が見えています。何か遺構が残っているかもしれません。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
石垣の上に来てみるときれいに更地になっていて、残念ながら建物の遺構はありませんでした。
わずかに生活用品の残骸が転がっています。
尾根の稜線が見えてきたので、もうひと踏ん張り急坂を登っていきます。尾根越しに冷たい風が吹き下ろしてきて、歩いていても寒くてたまりません。
尾根に出ました。ここは通称「東野峠」と呼ばれているようですが、昔からある地名ではないような記述もあります。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
地形図を見ると、東野集落跡から北側へと向かう道と合流できそうなので、そのまま尾根伝いに北側へと進んでみることにします。
モノレールが合流してきました。森林管理用か送電線管理用かわかりませんが、現在は使用されていないように見受けられます。
東野集落跡から来た道と合流しました。この道を通り、東野集落跡へと戻ることにします。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
ひたすら一直線に東野集落跡へと下っていきます。ここで急に雨に降られ、冷たい風と相まって凍えそうでした。
東野集落跡へと戻ってきました。車社会の現代で、険しい山道を徒歩でしか来ることのできない山奥の集落では、遅かれ早かれ廃集落となる運命だったでしょう。
「筏師の道」を立合川方面へと戻っていきます。
立合川右岸の木馬道との合流地点まで戻ってきました。帰りはこのまま「筏師の道」を進んでいきます。
やはり気楽に歩ける道ではないですね。
眼下に北山川の流れが見えています。昔は多くの筏が新宮の街を目指して北山川を下っていきました。そして、その筏を操った筏師が新宮の街から地元の山へと帰るために通った道がこの「筏師の道」なのです。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
立合川に架かる吊り橋「有蔵橋」に来ました。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
国道169号立合川橋まで登ってきました。時刻は15時20分ですが、日射しはすっかり夕暮れです。
15時25分、駐車場所に到着しました。
今回歩いた「筏師の道」のルート図です。あらためて地形図を見ると、東野集落跡がいかに孤立した場所に存在していたのかよくわかります。新たに開通した国道169号も、集落跡のある山を長いトンネルで通過しているだけですからね。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
ブログ一覧 |
ドライブ・道路・廃道 | 日記
Posted at
2024/02/01 22:46:46