2023年12月9日土曜日、奈良県吉野郡十津川村を流れる立合川右岸の木馬道を探索してきました。
立合川右岸の木馬道については2023年11月18日に初めて探索しましたが、その時は通過不能な崩落地に遭遇したため撤退しました。今回はその崩落地を迂回して、さらに奥地へと探索を進めることを目的としています。
当日9時25分頃、前回探索時にも駐車した国道169号小松トンネル付近の路肩へとやって来ました。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
国道169号立合川橋から立合川上流を眺めます。最初に来た時はこんなに何度も訪れるとは思っていませんでした(笑)。
前回探索した時と同じように、立合川橋の西側のたもとから近畿自然歩道へと入っていきます。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
まずは前回撤退した場所を目指して木馬道を進んでいきます。
前回撤退した崩落地に到着しました。駐車場所から約1.6km、1時間20分ほどかかりました。
場所はこちら。

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さて、この場所からはふたたび迂回ルートを探す必要があります。まずは立合川上流方向へと進めそうな場所を見つけるため、この急斜面を登っていきます。
上流方向へと横移動できる平場を見つけたので進んでいきます。
程なく行き止まりとなってしまいました。ここからさらに高い場所へと迂回する必要があるので、この柔らかい土が積もった斜面に長靴で足場を作りながら慎重に登っていきます。もし足元が崩れて転んだら、そのまま斜面を滑り落ちて谷底へと真っ逆さまです。
土の斜面を登り切ると、今度は写真右側の木を手すり代わりにして、さらに土が被った岩場を登っていきます。
ふたたび横移動できる場所を見つけて進んでいくと、無数の尖った石が転がる傾斜地へと出てきました。この傾斜地を利用して、今度は木馬道への復帰を目指して下っていきます。
場所はこちら。

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行けるところまで下っていってみましたが、木馬道まではたどり着くことはできず、また上流方向へと斜面を横移動していきます。
歩き進めていくと下側へと向かう踏み跡を見つけました。もしかしたら木馬道まで続いているかもしれないので、進んでいってみることにします。
歩いてみると所々に階段があり、どうやらこの踏み跡は獣道ではなく、人が歩くために造られた道のようです。しかし、すっかり荒れ果てているので、歩くのになかなか難儀しました。
目論みどおり、木馬道へと復帰することができました。
場所はこちら。

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ここは道幅もしっかりあって、きれいに道が残っています。
倒木と落石。ちょっと路肩から身を乗り出すのは怖いですが倒木を跨ぎ、落石は山側へと迂回して進みます。
いやぁ、なかなかの高所を通ってますね。これくらい幅があるならあまり怖くはないですが。
またしても木馬道が途絶してしまいました。また迂回ルートを探さないといけません…。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
ちなみに、ちょっと見づらいですが、写真の黄色枠内の岩壁を見ると逆コの字型に掘削されています。ということは、おそらく私の立っている場所から岩壁に向かって桟道が架かっていたということですね。
ふたたび急斜面を登り、迂回できるルートを探しつつ上流方向へと歩いていきます。
植林地へと出てきました。この傾斜なら下方向へと下ることができるので、木馬道への復帰を試みてみます。
木馬道が見えました。急ぎ足で行きたいところですが、足元は枝葉と間伐された丸太に埋め尽くされているので、ゆっくりとしか進めません。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
岩を切り取って開削された私好みの道ですね(笑)。
谷側の路肩は石垣が組まれているようです。
残っている距離は短いでしょうが、確認のため行けるところまで下流方向へと逆戻りします。
さらに2分ほど歩いたところで木馬道は途切れてしまいました。この先の崖に道があったような痕跡は見い出せないので、ここも桟道が架けてあったのかもしれません。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
木馬道へと復帰した植林地まで引き返します。
ふたたび木馬道を上流側へと進んでいきます。
植林地が比較的緩やかな地形だったので、しばらくは元の幅の木馬道が続くのかと淡い期待を抱きましたが、すぐに荒れた道跡になってしまいました。
ふたたび現れた植林地では元の道幅に戻ります。
ガレた斜面を横断していきます。
岩の隙間に石を詰め込んで路盤を造成してあります。
岩の切り取り工。
ここも石垣道になっていますね。
そして、ふたたび木馬道が途絶してしまいました。対岸の黄線を引いた段差が木馬道の痕跡だと思われます。時刻はすでに13時過ぎ。また急斜面を登って迂回ルートを探すのは骨です。今回はここで引き返すことに決めました。
場所はこちら。駐車場所から約2.5kmの地点で、ここまで2時間15分かかりました。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
立合川が流れる谷を見下ろしています。左岸側の木馬道でもそうでしたが、渓谷の険しさゆえに、木馬道から立合川の流れを見ることは全くできません。
それでは駐車場所へと引き返していきます。この木馬道の探索では迂回ルートでの移動を繰り返しているので、当然帰り道も木馬道から外れたアップダウンの激しい道のりになります。
しかもできる限り正確に往路で歩いた迂回ルートをトレースする必要があります。もし違う場所に出てしまって迷子になると、正しいルートへ戻るために引き返すなど、無駄な労力を使う羽目になるため、全く気が抜けません。
初回探索時の引き返し地点までは無事に戻ってきました。この後もまだまだ危険箇所があるので、気を引き締めていきます。
さらに初回引き返し地点から歩くこと約50分、近畿自然歩道への合流地点に戻ってきました。ここまで来れば一安心です。
朝と同じように国道169号立合川橋から立合川の上流方向を眺めます。
今回も何とか無事に駐車場所まで戻ってくることができました。立合川右岸の木馬道の探索、私にとってはなかなかハイリスクな探索でした。
今回の探索ルート図です。赤線が今回新たに探索した区間になります。往復距離4.8km、活動時間5時間40分の探索でした。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
「もう訪れることは無いかもなぁ。」と思いつつ、まだ先へと進めるのではないかという気持ちも当然あります。しかし、いかんせん左岸側に比べて右岸側の木馬道は残存具合が悪すぎて、探索の成果を得るのにかかる労力と危険度合いが高すぎる気はします。まあ、どちらにしても当面再アタックしないのは間違いないですね。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。