今日は、長野県筑北村に残る旧篠ノ井線第二白坂隧道まで行ってきました。
篠ノ井線は、西条駅から明科駅の区間が線路改良に伴うルート変更により、このトンネルを含む旧線区間が昭和63年に廃止となりました。
今回は、廃線跡を辿る遊歩道の終点となっている明科駅側坑口とは反対側の、西条駅側坑口からトンネル内を探索してみました。
内容は(1)からの続きとなります。
奥へと流れるように煉瓦の天井が続いております。
5か所目の大型退避坑です。
奥の壁面にある1960年(昭和35年)7月の表示。この年に大掛かりな改修工事を実施したようですね。
ここの退避坑の照明は白熱灯。
退避坑横にも設置されています。
コンクリートブロック区間の退避坑。もちろんコンクリートブロック積み。
煉瓦を剥がしてコンクリートブロックで巻き立て直さないといけないほど、トンネル内に変状が起きたのでしょうか。壁面に描かれた矢印の上に「42」の数字。巻厚42cmですか。
「T100」のプレート。何を表示してるのかはわかりませんが、数字は減っていっています。
側壁部分が石積みに変わりました。あと、なぜかブルーシートが。
架線を吊り下げるためのパーツでしょうか?
ここだけ、なぜか枕木が元のまま残されています。
パイプをトンネルアーチに接着して、ブルーシートをカーテンにしていたようです。
ここに6か所目の大型退避坑があります。
色々な機材が置かれています。一体何をしていたんでしょうね。
天井の煉瓦の並びが歪んでいるような…。
側壁の面にも段差が見られます。
少し進んだ所にもブルーシートが掛けてあります。
ブルーシートの先は枕木が撤去されています。何とも不可解な区画です。
側壁が石積みなので退避坑も石積みになりました。
鳥居隧道や金山隧道の煤は真っ黒でしたが、このトンネルの煤は茶色ですね。使用していた石炭の違いなのでしょうか。
路盤の真ん中に穴が開いています。
排水溝の穴でした。
7か所目の大型退避坑です。
犬釘が落ちてました。
側壁が朱色に変色してます。何か燃やしたりしたのかな?
側壁を補修した跡のようです。少々乱雑な組み方ですね。
8か所目の大型退避坑です。
ここにも穴が。排水溝の穴は2か所だけでした。
石積みの側壁はここで終わり、また煉瓦積みの側壁に戻りました。
9か所目の大型退避坑です。
距離標ですが文字は全く読めません。
電話機がボックスごと転がっていました。
側壁部分の煉瓦が煤でモヤっとぼけた感じに見えます。
10か所目の大型退避坑です。さすがトンネル延長2km、たくさん設置されています。
壁面に「きのこ屑入れ」なる瓶がぶら下がっていました。調べてみたら、明科駅側坑口付近はキノコ栽培に使われていたそうです。
煉瓦側壁中で唯一コンクリートで補修された退避坑。
また「きノこ屑入れ」がありました。きのこの屑とは一体何?
いよいよ明科駅側坑口がはっきりしてきました。
最後はコンクリート覆工に。
最後の退避坑。
ようやく2kmを歩き通しました。写真を撮りながらなので、1時間25分かかりました。
扉が「キン肉マン」に出てくる「ウォーズマン」に見えるなぁ(笑)。
換気窓から外を見上げてみます。
「T1」のプレート。
坑口付近も1960年(昭和35年)の施工。ここは3月の竣工。
歩いてきた方向を振り返ります。
天井、けっこう傷んでいます。
坑口側は3月でトンネル内は7月の竣工。なんで時期に違いが?坑口側の改修後に内部側も損傷が目立ってきたのでしょうか。
さて、ここからはまた真っ暗なトンネル内を2km歩いて車へと戻ります。
ここから出られたとしても、国道の峠を登って帰るよりはトンネル内を引き返して帰ったほうが一直線ですし、登り坂でも緩やかだから楽なので(笑)。SLには厳しかった25‰勾配ですけどね。
帰りは40分ほどで西条駅側坑口まで戻ってきました。
最後に坑口の遠景。右手の斜面は崖崩れがあったのか、上部までしっかりとコンクリートで固められています。
記録によると、西条駅ー明科駅間は開通後からほぼ毎年、長雨や豪雨があるたびに沿線の地滑りに悩まされていたそうです。常に付きまとう危険と増大する保守費用を解消するために、この区間を3か所・計9kmに及ぶトンネルでバイパスするルート変更が行われた訳です。
さて今回で、ついに2kmの廃トンネルをクリアしました(往復したので4km(笑)。)。ここ最近で1.6kmの廃トンネルを2か所歩いた余勢を駆ったところもありますが、トンネル内の暗闇に対する恐怖感が段々と薄れてきたのかもしれません。
それでも、歩き始めの5~10分はドキドキしてますけどね(笑)。これからも何も出ないこと、出会わないことを祈るのみです。
このトンネル、検索時には内部を探索したという記事はほとんどヒットしませんでした(1件くらい。)。廃線後、キノコ栽培に利用され、現在も坑口に扉が設置されたままなので、探索できない物件と見なされていたのかもしれません(自分がそうでした。)。
おかげで予備知識なしでの探索でしたが、やたら補修されているとか不可解なものがあるとか、何気に特異なトンネルだったので、一人歩きでもなかなか楽しむことができました。