2020年10月31日土曜日、長野県下伊那郡大鹿村桶谷に残る廃道「北条坂」を探索してきました。 9月20日に「北条坂」と「北条峠」の少し先まで探索しましたが、今回はさらにその先を探索しました。
戦前の地形図はこちら。赤色の枠の中が「北条坂」になります。

※5万分の1地形図「大河原」。明治43年(1910年)測図・昭和5年(1930年)修正測図。昭和7年(1932年)発行。
今回探索したおおよそのルートです。赤い線が9月20日に探索した部分、青い線が今回探索した部分です。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
出発地点は前回と同じ場所。前回車を停めた小渋川沿いの施設の広場は、工事車両や資材が置かれていたので、路肩に駐車します。
小渋川の対岸の山を眺めています。徐々に色づき始めています。
さっそく北条坂を登っていきます。
とは言え、今回は峠から先の道跡を探索するのがメインなので、少しでも斜面を直登してショートカットし、時間短縮を図ります。
ここから上へは直登は厳しいので、しばらく道跡を歩ていきます。
土石流で大きく抉れた沢に出ました。対岸にも道跡が続いています。
ここは沢沿いに直登して、真上を通る道跡まで移動します。
真上を通る道跡に出ました。右方向へと進みます。
絡み合った木が生えている所から左方向へ、ふたたび直登を始めます。
先ほどの土石流が流れた沢のさらに上部を沢に沿って直登していきます。
この斜面で一番上段を通る道跡まで登ってきました。本来は写真右側に下段を通る道跡とをつなぐヘアピンカーブがあったはずです。
ここからは、そのまま道跡を歩いていけば峠へと出られます。
この石積みは、おそらく炭焼き窯の跡でしょう。山中に残る廃道の路上や路肩でしばしば見かけます。平場を確保しやすいためなのでしょう(もう人も通らないし。)。
峠のある尾根が見えてきました。
峠への最後のヘアピンカーブです。
北条峠に到着です。駐車場所から約40分かかりましたが、前回は1時間余かかっているので、20分ほど短縮できました。
峠の石碑・石仏群も健在です(1か月しか経っていませんからね(笑)。)。
それでは峠から先の区間へと進みます。
前回引き返した小さい切通しを通過します。
まだ道跡はしっかり残っています。
道跡が抉れている場所に来ました。踏み跡(人が付けたものなのか、獣道なのかわかりませんが。)があるので、辿って渡ります。
ふたたび道幅がしっかりとある道跡が続きます。
これは難所ですね…。道跡はすっかり洗い流されて、尾根から続いているような岩盤が露出した沢(「スラブ」と言うんですかね。)になってしまっています。
ここにも沢を横断する踏み跡が付いていたので、それを頼りに進んでみることにします。まずは慎重に沢底まで降りて、対岸の道跡へと続いている踏み跡の状態を確認します。
この時、岩盤に積もっていた小さな土の塊の上に立っていましたが、そこそこの時間立ち止まっていて荷重が掛かったためか土が崩れ出して、下へと滑り落ちそうになりました(すぐ下、1~1.5mくらいの所に段差があったので、滑り落ちても心配はなかったかもしれませんが、もしそこで止まらないと数十mは落ちてしまうことに…。)。
ビックリして、四つん這いになって必死に道跡へ登り直しました。道跡に戻ってからも、しばらく体の震えが止まりませんでした。
数分経って震えが治まったところで、ふたたび沢底を眺めます。迂回路になりそうな場所は無いので、先へと進むためにはここで渡るしかありません。
頭の中で何度もシミュレーションして、行けそうだと思えたところで腹をくくり、沢底へと再び降りていきます。足場を確認しつつも、あまり一か所に留まらないように注意して横断。
何とか無事に沢を渡り終えました。こんな思いは随分と久しぶりです…。結局、渡るのに15分もかけてしまいました。
ちなみに、帰り道の時は沢底へと下る時に滑らないよう注意をしただけで、その後はスタスタと渡ってしまいました(笑)。状況がわかってしまえばそんなに心配することもありませんでしたが、やはり危険が予想される未知の場所へ踏み込むのは本当に不安になります。
沢を渡った先は幅のある道跡になり、ホッとします。
路上にワイヤーが絡めて置かれていました。どんな目的でここまで持ち込まれたのでしょうか。
また道跡が無くなった崩落地や沢を渡りますが、先ほどの沢よりは難度低めです。バランスを取りながら、踏み跡を外さないように進みます。
上部まで土石で埋まっている沢を渡ります。
沢を渡った先にははっきりした道跡が無く、急斜面に細い踏み跡だけが続いているのが見えています。
踏み跡の下の方にもう少し木々が生えていたら進んでいったかもしれませんが、この状態では滑落した時にどうしようもなくなってしまいます。
踏み跡よりも少し高い位置を木々につかまりながら進めないか試してみましたが、ここも斜面の土が崩れやすくて、靴で踏み均して足場を作ることも容易ではなく、危ないので止めました。
すでに何か所も危険な場所(自分レベルで。)を通過していて疲れたこともあり、これ以上無理して進む必要はないと判断して、今回の探索を終了することにしました。要はうんざりして心が折れたわけです(笑)。
道幅があって日の当たる場所まで戻り小休止。この道跡、眺めは良いのですが、微妙に木々が視界を塞いでいるので、写真に撮ると木々しか写らないのが残念です。
北条峠まで戻ってきました。これで一安心です。
帰り道は、直登した場所を滑りながら下っていったので、登りよりもさらに早く、峠から車まで約30分で戻ってこられました。
最後に北条坂の出入口に立つ「秋葉山大権現」・「金毘羅大権現」の石碑を。
北条坂は、峠から先の道が荒れているという情報は知っていたので、途中で引き返すことになるだろうことは予想していました。実際に歩いてみて、自分のレベルで踏破するのは手に余るようです。
ということで、北条坂はこれで一区切りですかね。気が向けば、反対側から行ける所まで攻めてみるのもありですが。自宅から遠方なので、いつになるかはわかりませんけどね。