2021年2月13日土曜日、国道473号四辻峠と岡崎市夏山町を結ぶ古道の探索をしてきました。
今回探索したのは、この戦前の地形図中の緑線のルートの一部になります。

※5万分の1地形図「御油」:明治23年(1890年)測図・大正7年(1918年)修正測図・昭和2年(1927年)鉄道補入・昭和4年(1929年)発行
国道473号四辻峠にやって来ました。先日、「千万町街道」を歩いた時に駐車した場所とまったく同じ場所になります。
「四辻峠」と呼んでいますが、実際には地図にも現地にも「四辻峠」の表示はなく、愛知県内の街道や峠を踏査した本に紹介されているのみです。
場所は地形図中の星印になります。ここから古道を探索しつつ、南方向にある夏山町の集落を目指していきます。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
戦前の地形図を見てみると、当時の道は現在の国道ルートではなく、駐車場所から国道を横断して、向かいにある林道の方向へ行っていたようなので、その通りに進んでいきます。
5分ほど歩くと広場がありますが、右側に続く道を進んでいきます。
先ほどの広場までは車が出入りしている感じがありますが、その先は廃道然となってきます。
水田跡のようです。
廃道らしくなってきましたが、古道よりは幅が広く、林道の廃道といった風情の道跡が続きます。
道が分岐しています。右側の道は高圧線鉄塔の巡視路になっているようです。
依然、馬車道・荷車道サイズの廃道が続いています。
この辺りになると、直下に国道が接近してきています。
やがて、廃道は国道に削られてしまいました。
折り返して、一旦、国道へと出ていきます。
現在地は、青線の下端になります。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
そのまま100~200mほど国道を歩き、次はこの交差点で写真中央の電柱が立っている場所へと入り込んでいきます。
ここに続きとなる古道が残っています。今まで歩いてきた廃道よりも狭い道跡です。
50mほどで他の道跡と交差し、古道の行方はわからなくなりました。ひとまずは正面を下っていく道跡を追ってみます。
この付近はいろいろな幅の道跡が残っていて、どの道跡が正しいのか皆目見当がつきません。林業用に造られた作業道なのでしょう。
植林地の中に違う種類の巨木(これはそれほどでもありませんが。)が残っていると、ここが古道で正解なのかなとも思えてもきます。
歩いてきた道跡も、また違う道跡と合流してしまいました。どうも「はずれ」のようです。
先へと進む方向へ歩いていったら、国道から分岐していた細い舗装路へと出てきました。
現在地は、青線の下端になります。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
さて、どうしたものか。しばらく周囲を眺めてみますが、古道の続きと思われる道跡を見い出すことができません。ここは迂回することにして、そのまま舗装路を下っていくことにします。
20分ほど歩いて、愛知県道333号へと出てきました。
現在地は、青線の下端になります。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
少し歩くと夏山町の集落が見えてきました。この県道333号、ドライブで数えきれないほど走っている道なので、まあ今さらではありますが(笑)。
集落を通り過ぎた所にある分岐点まで歩いてきました。方向としては北を向いています。左側の道が今回探索しようとしている古道になります。
現在地は、青線の下端になります。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
折り返して、夏山町の集落へと戻っていきます。
集落の中を流れる川にぶつかる地点です。本来はここに橋が架かっていたのでしょうが、今は道跡が残っているだけでした。
ここで左へと曲がり、川沿いを進んでいきます。
ふたたび舗装路へと出てきました。
ここでトラ猫と遭遇(笑)。やたらと人懐こく、わざわざ鳴きながら寄ってきて、しばらくまとわりついておりました。
さて、猫と遊ぶのはほどほどにして、舗装路を直進していきます。
やがて谷へと入り込んでいきます。「600m先通行止」とあるので、その辺りから古道が始まることを期待して坂を登っていきます。
周囲を観察しつつ、コンクリート舗装された急坂を登り続けます。
やがて、林道から右へと折り返して分岐していく道跡を見つけました。写真は振り返ってから撮っています。
現在地は、赤線の上端になります。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
作業道の廃道にも見えなくはないですが、ひとまず突っ込んでいきます。
古道らしくなってきました。坂、キツイですけどね(笑)。
先ほど別れた林道が戻ってきて、飲み込まれてしまいました…。
ほどなく切り通しが現れました。
切り通しを通り抜けて坂を下るも、自分が想定していた方向とは違う方向へと林道が向かっていたので、林道から外れることにします。
外れた場所は浅い堀割りになっていて、その先に道跡もあったのですが…。
すぐに間伐された幹や枝に埋め尽くされた植林地になって、道跡がわからなくなってしまいました…。
もう仕方がないので、ひたすら植林地や雑木林をトラバース。
最初の方で国道から分岐していた細い舗装路へと何とか転がり出ました。
ここからは舗装路を登っていきます。当然、周囲を観察しながらです。
左側の斜面に切り崩された古道を発見。よじ登ります。
行きに坂を下っていった道跡ではなく、こちらが本命の古道だったようです。
そして、また舗装路に削り取られてしまいました。
この後は国道へ合流。しかし、狭い国道を歩いて帰るのも危ないので(そこそこ車は通る。時にはダンプも。)、廃道に入り直して車まで戻っていきました。
今回歩いた行程はこちら。歩いた距離は6~7kmといったところでした。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
前半部では古道に相当すると思われる道跡を辿ることができましたが、後半、国道から分岐した後から夏山町の集落までを結ぶ古道が全くわかりませんでした。
正直言うと、新旧地形図を保存したタブレットを持たずに手ぶらで訪れていたので、当てずっぽうな探索になってしまいました(本当はこの日はドライブするだけのつもりだったので。)。
帰宅してから復習。古道の推定ルートは緑色の破線だったので、それがわかっていれば、帰り道の赤線ルートを歩いている時にもっとしつこく探したかもしれません(笑)。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
実際、推定ルートの谷筋を見上げてはいましたが、どうにも道跡が見いだせなかったので、リスクを取れませんでした(要らぬ登り降りをして、余計な疲労をしたくないということね。)。
ちょっとモヤモヤ感は残りましたが、ここはこれにてひとまず結了ですね。