2022年8月7日日曜日、愛知県新城市作手白鳥から作手保永にかけて残る旧見代発電所の取水堰堤跡、取水路跡及び沈砂池・水槽跡を探索しました。
前回(2)の最後では、橋脚の一部と思われる枝打ちしただけの材木が台座に立っているのを確認しました。
材木が立っていた沢を渡り、対岸に残る取水路跡を進んでいきます。
ふたたび石造開渠が現れましたが、短い距離でまた無くなってしまいました。何でこんなに取水路の形式が目まぐるしく変わるのだろか?意味がわかりません。石造開渠で漏水が酷くなると木樋や鉄樋に置き換えていたのでしょうか?
枯れ切った倒木をくぐって進んでいきます。
山側に背の高い擁壁。石積みですが、この取水路跡では珍しく目地をコンクリートで埋めてあります。土圧に負けてきているのか、岩壁から剥離しています。
急傾斜地に来ました。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
取水路を通すだけの幅が確保できないので、水路橋で急傾斜地を通過しています。その名残であるコンクリート製台座が斜面に連なっています。
振り返っての写真です。この場所は、台座の上部に付いている踏み跡を歩いて通過しました。
次に現れたのは、取水路が通る路盤が半分になっている場所。幅は狭くなっていますが、その箇所は練積みの石積み擁壁できちんと土留めされています。
なぜこんな形に施工してあるのか最初に訪れた時はピンと来ませんでした。
おそらくは、この箇所の路盤が崩落してしまい、崩落箇所を擁壁で土留めした後、水路橋で通過するように変更したのだと考えられます。
歩いて通過するだけの幅はありますが、あまりいい気分ではないですね。
振り返っての写真です。自分の推測の根拠である水路橋の橋脚用台座が擁壁の下に顔を見せています。
その先にある急傾斜地を横断していきます。
両側面を石垣で固められた築堤です。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
中央部分は陥没しています。斜面の上部から流れてくる水で、築堤の基礎部分が抉られてしまったのでしょう。
沢の流れに残る台座。
弧を描いて残る石積み擁壁。森林鉄道跡のようです。
また石造開渠が現れましたが、この場所でもあっけなく終わります。
そして、取水路跡の路盤が消えました。目印となる台座などの遺構を探しながら斜面を横断していきます。
反対側に残る石垣を目指して取水路跡へと登り直します。
また少しだけ石造開渠。
枯れ沢に台座が残っています。
枯れ沢の先にある急傾斜地。ここにも点々とコンクリート製台座が並びます。
台座の一つに橋脚の根元が残っています。
急傾斜地を渡り、緩やかな場所へと出てきました。ここで、今までの訪問時に全然気が付かなかったものに目が留まりました。矢印の場所です。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
これは水路トンネルのようです。今まで何で気付かなかったのだろうか…。
取水路跡は谷へと張り出している山の稜線を取り巻くように進んでいきますが、この区間をショートカットするために水路トンネルを設けたと思われます。
残念ながら、水路トンネルは吞口からすぐの場所で崩落しており、この水路トンネルが素掘りだったのかコンクリート巻き立てだったのか、確認はできませんでした。
張り出した稜線をぐるりと迂回して進みます。
水路トンネルの吐口と思われる場所へ来ました。
場所はこちら。
山の斜面へと向かって石積みと思われるものが二列並行して残っています。おそらくこの場所が水路トンネルの吐口だったのでしょう。
この場所をショベルで掘り返してみたい気もしますが、人様の土地でそんな勝手はできませんし、ここまでショベルの担いでくるのも大変ですからね(笑)。
それでは先へと進んでいきます。
石造開渠です。
側壁の石積みが谷側へと倒れ込んでいます。
この辺りはきれいな形で残っています。しかし、こうやってあらためて眺めると細い水路です。取水していた巴川は確かに小さな川ですが、設置した発電機の能力を踏まえて、この水路のサイズになったのでしょう。
カーブの部分でまた側壁が崩れています。
沢が流れる深い凹地です。こんな場所を歩いていて何ですが、沢とか谷とかをいちいち降りて登るのは体力へ地味にダメージが来るんですよね(笑)。
この場所にも台座が点々と残っています。
登った先の取水路跡の真ん中に杉が生えています。いやぁ本当にどこにでも植林しますよね。
巨岩が転がる沢。岩の隙間で足を踏み抜かないように注意して渡ります。
奥へと緩くカーブしていく取水路跡。
短く残る石造開渠。取水路跡を奥へ進むと石造開渠はこんなパターンばっかりですね。
そして、取水路跡の路盤が途切れます。
そして、台座が点々と残る。
対岸の石垣。橋台のように石垣上部に段差が設けられています。この場所は橋桁を渡して、その上に木樋・鉄樋を載せるような形式だったのか?
また急傾斜地を進んでいきます。
急傾斜地の途中にある石垣。水路橋の土台でしょう。
小さな台座が連なる場所に来ました。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
前に現れた小さい台座が連続する場所よりも険しい斜面です。小刻みに台座が連なっており、現役当時はどんな光景だったのか見てみたいものです。
振り返っての写真です。斜面の土質は硬く引き締まっていて、残っている踏み跡に長靴で新たな足場を付けようにも容易ではなく、渡って進むには少々緊張する場所です。
それでは渡った先の取水路跡を進んでいきます。ここまで来れば、取水路の終点である「沈砂池・水槽跡」まではもう一息となります。
※その(4)へ続く。