2022年8月7日日曜日、愛知県新城市作手白鳥から作手保永にかけて残る旧見代発電所の取水堰堤跡、取水路跡及び沈砂池・水槽跡を探索しました。
前回(3)の最後の急傾斜地を通過し、さらに先へと取水路跡を進んでいきます。
枯れ沢を横断していきます。
枯れ沢を横断した先の路盤にはコンクリート製の枕木が並んでいます。取水堰堤跡からここまででは見かけなかった遺構ですが、木樋・鉄樋の土台となるものでしょう。他の箇所では土に埋もれてしまったのかもしれません。
背の高い擁壁が続いています。
ここにも枕木が顔を出しています。
ここまで来れば終点までもう間もなくです。
ようやく取水路の終点となる「沈砂池・水槽跡」に到着しました。序盤は大回りをしましたが(笑)、車から4.5km、3時間半の道程でした。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
「沈砂池・水槽」の規模は水深のある25mプールといったイメージ。この規模では、やはり発電用の水を「貯水」しておく場所ではなく、取水路を流れてくる土砂や障害物を取り除いて、発電所へと水を落とし込むだけの場所「沈砂池・水槽」なのでしょう。
こちらは余水吐。過剰に流れ込んできた水を流出させる場所です。
金網から内部がわずかに見えています。しゃがんでフラッシュを焚いて撮ってみましたが、うまく光が内部に届かず、真っ暗にしか写りませんでした。
「沈砂池・水槽跡」の内部へと下ります。
余水吐。上部は越流部になっています。下部にも穴が開いていますが、おそらくこちらは溜まった土砂を流し出すための排砂口でしょう。
排砂口の開閉に使用されたのであろうハンドルが残っています。
取水路跡を振り返っての眺め。
こちらは発電所へと水を送り出すための送水口。
取水路・余水吐・送水口はこんな配置になっています。
送水口部分の外観です。半円形の形状をしています。
発電所へとつながる水圧鉄管を支えていたコンクリート製の台座。この場所から発電所までは落差が110mあります。
余水吐の外観。
余水吐の外観も半円形の形状をしています。送水口の方は一部破壊されてしまっていますが、こちらは往時の形状をそのまま保っているようです。西洋の城砦を思わせるような雰囲気があり、最初に訪問した時から気に入っています(笑)。
さて、時刻はすでに16時15分。翌日は仕事がありますし、日暮れも間近に迫っています。余水路跡を辿って一気に麓へと下りて、県道435号・国道301号を歩いて車へと戻ることにします。
これで「沈砂池・水槽跡」とお別れです。次に訪れるのは何年後になるのでしょうか…。
余水路跡に残る台座や鉄管を横目に急斜面を一気に滑り落ちていきます。
麓へと下りてきましたが、どうやらこの先は民家の庭先となってしまったようです…。もうしばらく山の斜面を迂回して県道へと出ることにします。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
県道435号へと脱出しました。せっかくなので旧見代発電所の建屋を見に行きます。
旧見代発電所の建屋です。発電所廃止後もいろいろと使われていたようですが、現在は空き家のようです。建屋自体は現役当時のものがそのまま残されています。
発電機を通過した水を巴川へと流すための排水口の跡。
排水口の内部は煉瓦アーチですね。せっかくなら取水路とか沈砂池・水槽にも煉瓦を積極的に使用していただきたかった。取水路跡に煉瓦アーチ橋とか残ってたら最高だったのに(笑)。
ここからは疲れた体を押して、ただ黙々と車まで歩いて戻るのみです。
県道435号から国道301号へ出た地点、国道は大きなS字カーブを描いて作手白鳥地区へと登っていきますが、疲れているので無駄に大回りをしたくない…。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
そこで、現地に残る旧挙母街道をショートカットしました。最後に国道の法面を登るのが大変でしたが(笑)。
17時50分、無事に車へと戻ってきました。
今回歩いた行程図です。歩いた距離は8.8km、時間は6時間超でした。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
今回6回目の探索となりましたが、遺構の現状確認のつもりで出かけて、新たな発見が2つもあり(要は気付いていなかっただけですが…。)まずまず実りある探索となりました。
水路トンネル、もう少し詳しく見てみたい気はします。発電所の建設・保守の記録でも閲覧できれば設置年月や構造はわかるのでしょうが…。その(3)の中で書いたとおり堂々と掘削道具を持っていくわけにはいきませんが、もしこの先また訪問することがあるなら坑口を太い枝などを使って少し掘り起こしてみようかなぁ。

Posted at 2022/09/17 10:15:24 | |
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