2023年10月14日土曜日、奈良県吉野郡十津川村と和歌山県東牟婁郡北山村の境を流れる立合川の渓谷に残る立合川木馬道を探索してきました。
前回(1)で「大滝」の案内板まで来ました。
ここから先は廃道区間となります。「大滝」までは動画があり、木馬道の路面状況も事前に把握することができました。しかし、この先の情報は奥地まで踏破された方がアップしているわずかな写真のみになります。
まずは穏やかな様子で再スタート。
大量の石が流れ込んだガレ場を横断していきます。
「大滝」までの岩場を通過する崖道から打って変わり、比較的落ち着いた様子の道筋が続いていきます。
また岩場を通る崖道が始まるのかな。
路面が無くなってしまいました。桟道が架けられていた場所だったのかもしれません。
少し戻って、ピンクテープが付けられている所から、迂回路へと入っていきます。
細い踏み跡を歩き、沢へと下っていきます。
頭上に木馬道の石垣が見えています。
木馬道へと復帰しましたが、またすぐ前方に沢があるようです。
沢が深い溝を刻んでいます。対岸には木馬道が続いているので、何とか迂回を試みます。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
木馬道を外れて沢の直前まで来ました。ここからさらに左下に見えている小さな滝の前まで下りていきます。
滝の前まで来ました。ここから木馬道まで斜面を登り直していきます。
石垣の下まで登ってきましたが、このまま石垣を登るのは何気に厳しそうです。
石垣の切れ目まで横移動して、木馬道へと復帰します。
木馬道を少し戻り、沢で途切れていた部分を眺めます。黄色の線を引いてあるところが、先ほど立っていた木馬道です。
ふたたび穏やかな様子の道に戻りました。
ここは路面部分が少しかさ上げされていますね。
崖道になりましたが、前方に凹んで見える所があります。
ここも桟道が架かっていた場所でしょう。桟道がなくなった後に置かれたのだろう材木が残っていますが、さすがにこれを渡るのは危険です。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
ここも真下に迂回路となる踏み跡があるので、そちらへと迂回して進みます。
正面に石垣が見えてきました。あそこまで登って、木馬道へと復帰することにします。
木馬道へと登ってきました。正面の岩壁はきれいな壁面をみせています。多分、自然に滑らかになったものでしょう。
ここの石垣には橋桁を受ける段差が設けられています。沢水を逃がすための溝が設けられていたようです。
ここまで木馬道で見かけた石垣は、石を整形せずに積み上げた野面積みばかりです。ある程度古い道では、このような野面積みの石垣をよく見かけますが、これでも十分に強度や排水性を備えているので、建設時の手間があまりかからない、手頃な手法だったのでしょう。
良好に残った道筋が続いていきます。やはり、道の残存状態は山の地形や地質に大きく左右されますね。
倒木に道が塞がれています。倒木をくぐったり跨いだりするのは難しそうなので、根っこ側へと迂回して進みます。
また深い沢に遭遇しました。対岸には木馬道の石垣が見えています。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
対岸へ渡れる場所を探すため、木馬道を外れて沢まで下りていきます。
沢底まで下りてから、対岸の木馬道を見上げます。けっこうな高低差があります。
対岸へ渡るのならば、右側の凸凹になっている岩場を伝って進むしかありませんが、いまいち自信が持てません。この時点で雨が降り始めてきていて、苔が生えている岩場も濡れている状態だからです。
もともと天気が下り坂であることは承知で木馬道の探索に来ていたので、今回はこれ以上進むのを止めて、引き返すことにしました。続きは日を改めてアタックすることにします。
復路の道中で撮った写真。往路と同じ景色ですけどね。
立合川橋の真下まで戻ってきました。時間的にはまだ余裕があるので、北山川沿いを通る「筏師の道」を少し覗きに行ってみることにします。
立合川橋からさらに下流側へと、木馬道を進んでいきます。
木馬道の下側に「筏師の道」が見えてきました。
「筏師の道」とは、かつて北山川で筏流しをしていた頃、筏を操って新宮(和歌山県新宮市)まで下って行った筏師が、筏を操る道具を担いで自宅のある山へと帰るために歩いた道のことです。一部の道が整備されて、ハイキングコースとなっています。
分岐点から立合川に架かる吊り橋まで進むことにします。
立合川の吊り橋です。「全国Q地図」によると、橋名は「有蔵橋」(あんぞうはし)、橋長は13.2mだそうです。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
対岸へ渡ってから振り返った眺め。ポスト(妖怪ポストみたい…。)の中には、通行量調査のためのカウンター(数取器)が置かれています。
吊り橋の中央から立合川の流れを見下ろしています。今朝、立合川橋を出発してからここまで来て、ようやく立合川の流れを直接目の当たりにすることができました。
「筏師の道」を戻っていきます。
木々の隙間から見えた北山川。立合川はこの川へと合流しています。両岸を荒々しい岩に囲まれた川ですが、この流れの中を筏師は命がけで筏を操って新宮まで運んでいたわけです。
木馬道との分岐点を通り過ぎ、少し東側の方へも歩いてみました。この場所から立合川が北山川へと合流する場所へ下りられるようですが、「登り直すのが面倒くさいな。」と思って止めました。車へと戻るには、また立合川橋まで登らないといけませんから(笑)。
立合川橋のたもとへと登ってきました。
依然、小雨が降り続いています。山の上には雲がかかってきました。
深山幽谷の趣になっています。早ければ次の週末にでも出直しですね。
今回探索したルート図です。「筏師の道」を歩いた分まで含めて、距離4.2km、3時間30分と結果的には短めの探索となりました。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
次回は当然引き返し地点の先へと進むわけですが、どこまで進めるのか予想できませんね。そもそも、引き返し地点の先にある岩場の斜面を登れない、という可能性もあるわけですし、登った先であっけなく途絶していることもあり得ますから。
それでもまた片道4時間、車で走ってくるだけの期待感と面白味はありますね。