2023年11月18日(土)、奈良県吉野郡十津川村を流れる立合川の右岸に残る木馬道を探索してきました。
さて、ここ「立合川」の事柄についてネット検索すると、まず出てくるのが立合川の遡行記録です。時に奇景を伴う深い渓谷といくつもの滝の存在により、沢登りへとアタックする方々が多くいるようです。
次にわずかながらに出てくるのは、左岸側に残る木馬道の通行記録について。いくつかの通行記録を頼りに、左岸側の木馬道を2023年10月14日と10月21日に探索しています。
ちなみに、この左岸側の木馬道が開削された経緯などについては、ネット検索では全くと言っていいほどわかりませんでした。
それでも何か参考になりそうな事柄が見つかるのではないかと、遡行記録も含めて片っ端から閲覧していたわけですが、それらの記録の中に、登れない滝を迂回するために「右岸にある木馬道」を使ったという記述がいくつかありました。
ネット検索では「立合川の右岸側に木馬道がある。」という内容の記事はヒットしません。「これはあまり『手垢』の付いていない廃道を探索できるのではないか?」と思い立ち、探索に向かったわけです。
探索当日の朝8時55分、立合川へ向かう最寄りとなる駐車場所へとやって来ました。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
国道169号有蔵トンネルをくぐり、立合川橋のたもとから左岸側の立合川木馬道へと下っていきます。
立合川右岸の木馬道がどの場所から上流側へと分岐しているのか、情報は全くありません。そこで、ひとまずは右岸側の木馬道も左岸側の木馬道と同程度の高さを通過していると仮定して、右岸側へと向かいました。
左岸側の木馬道を下流側へと歩いて「筏師の道」へと合流。
立合川に架かる吊り橋、「有蔵橋」渡って右岸側へ。
適当な場所から「筏師の道」を外れて、立合川沿いの斜面を上流側へと向かって進み、木馬道を探します。
途中で見つけた炭焼き窯の跡。
「有蔵橋」から斜面を歩き、国道169号立合川橋の下まで来ました。ここまでの間では木馬道を見つけることができず、「左岸側の木馬道と同程度の高さを通過している。」との仮定は外れてしまいました…。
周囲を確認しつつ、一旦、国道まで上がることにします。
次は、ここ国道169号東野トンネルの坑口脇から分岐していく近畿自然歩道を歩き、木馬道が分岐している場所がないか探してみます。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
無理矢理造り付けたような急な連絡路を登っていくと、道標が立っていました。特にこの場所から分岐していく道筋は無いので、何となく不自然です。
気になって、道標の裏側を覗き込んでみると、シダに覆われた細長い平場が奥へと続いていました。どうやらこれが右岸側の木馬道のようです。
真下に立合川橋のたもとの駐車スペースが見えてきました。
東野トンネルの真上はシダの群落に覆われて、足元がはっきりしません。ネットで覆われた石の斜面につま先を立てながら、慎重に歩いていきます。
トンネルの真上を越えても木馬道は続いているようです。
また足元がシダで覆われている場所が現れました。右側は崖なので、路肩を踏み抜かないようにできる限り左側に身を寄せて進みます。
近畿自然歩道として整備されたことがある左岸側の木馬道と比べると、右岸側の木馬道はひどく荒れていますが、今のところは何とか道どおりに歩いていけています。
路面が崩落しているので、左側の岩によじ登って先へと進みます。
ようやく左岸側の木馬道のような、しっかりとした造りの石垣道が現れました。
と思ったら、またもや路面が寸断されてしまいました。ここは左側へとよじ登って、木の根を足場にして進んでいきます。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
登った先もすぐに踏み場が無くなり、トラロープが巻かれた細い杉の木の並びの右側は崖…。若木の根元を足場にして伝うように進みます。
路面が元に戻り、ちょっと安心します。
またも路面が崩落しています。木の根の上を綱渡りのように歩いていきます。
道を塞ぐように転がる倒木。下の隙間をくぐるには低かったので、左側へと迂回します。
ふたたびまともな道筋になってきました。
沢で大きな段差が付いてしまっているので、岩伝いに沢底まで下りて対岸へと進みます。
またも沢で道筋が無くなっているようです。木の下をくぐって沢へと出ます。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
瓦礫の上を通って対岸へと進みます。
沢の上部を見上げると滑滝がありました。そして、岩の上部に木馬道と思われる平場が見えています。
岩場の下に沿って進んでいくと石垣がありました。やはり、見上げていた平場が木馬道だったようです。
木馬道を逆方向へと戻り、先ほど見上げていた場所まで来ました。けっこうな高低差がありますが、桟道を架けていたのでしょうかね。
ふたたび上流側へと進んでいきます。
周囲が段々と険しい岩場になってきました。まだ進退窮まるような状況ではないですが、雰囲気はだいぶ怪しくなってきています。
倒木を避けつつ、足元がしっかりしている岩壁側に沿って進んでいきます。
路面が寸断された場所に出てきました。
木馬道はまだ先へと続いているのが見えていますが、足元のこの絶壁では進みたくても進めません…。
場所はこちら。

※地理院地図(電子国土Web)に加筆。
この場は一旦引き返して、迂回できる場所を探すことにします。
※その2へ続く。