2009年04月05日
デザイナーの視点はどこにあるのでしょう?
4月に入ったので、あんまりこんなことばかりしていられないのですが、連投です。
ピアッツァをみていてとても思うのは、見る角度を選ぶ、ということと、動いているところをみるととてもデザインが活きていると言うことです。
面白いことに、ピアッツァは、ある程度近い位置で、斜めの位置から、人の目の高さでみると、ラインが強烈に美しさを発揮します。自分の車を、スタンドや工場の人がくるりと回転させて動かす場面で、ハッとするような、とてもきれいな角度を発見したりします。傍で動いていて、はじめてそのラインがきれいに見えます。
半面、真ん前や真後ろは、あまり得意ではないように思います。クルマの撮影に多い斜め前の離れた位置からは、残念ながらピアッツアはあまり美しいラインを見せません。
SVXも、見る角度を選ぶ傾向があります。路上をまっすぐ走る姿は今一つでも、近傍の人の目の高さから、動き出す、回転する姿はハッとさせられるものがあります。
ピアッツァのオーバルシェイプについては、私は昔から「女性の腰から太もも、膝にかけてのライン」に似ていると思っています。女性の体の美しいラインです。
クルマに多いのは、女性の胸から腰、お尻のラインで、いわゆるコークボトルラインです。タイヤまわりがふくらんでいて、ドアのあたりがくびれているのがそういうヤツですね。エアロパーツは多くがこのラインをつくろうとしているように思います。アメ車はやたらマッチョなものがありますが、アメリカの女性もまた……。
まあ、いずれにしろ、人であるが故に脳が反応するラインです。曲線や曲面が美しいと思う背景には、そうした生物学的・進化学的な背景があるはずです。それを証明することは難しいでしょうけれど。
昔、オートメカニックという自動車整備雑誌の広告に、山並みに向かう道を走る車を描いたものがありました。でも、この山が薄ピンクっぽい色で、山の稜線は横たわった女性の胸から腰、お尻のラインそのもの。無意識に男性(多分女性も)が目をやってしまうことを狙った広告デザインだったのでしょう。
そんなことを意識してみると、デザインというのはもっと面白く感じてくるかも知れません。
さて、冒頭の、クルマの近くに立って映えるデザインの話ですが、これはおそらく1/1クレイでデザインした時に、クレイを削ったりつけたりする過程で熟成されるのだと思います。結局人の目の高さでみて一番美しいように面や線を整えていくわけですから。
これがコンピュータの画面の中でやっていると、もう少しちがった位置からラインを探っていくことになるような気がします。CADではどんな方向からでもみてデザインできますし、いくらでも変更ができますから、人の目の高さに限定されない形ができあがりやすいのではないかと想像します。
なので、クルマが一番美しく見える位置を探ってみると、もしかしたら、デザイナーがどんな方法、視点でデザインしたのかがわかるのかもしれません。
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デザイン | クルマ
Posted at
2009/04/05 21:52:45
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