
写真は1989年、第28回モーターショーのスバルブースのパンフレットから。
SVXのプロトタイプです。
この段階ではすでにかなり煮詰められていて、オーバーフェンダーの張り出しやフロントグリル、バンパーの形状、スポイラーの形状、リア部分の塗り分けなど市販バージョンと異なる部分はありますが、基本的に既にほぼSVXです。
このモーターショーは、父親がチケットをもらってきていて、だから行ったというものでした。自分で行きたいと思っていたわけではなく、SVXと出会ったのはまさに偶然でした。このSVXは印象に残りましたが、あのレオーネのスバルが???という疑問もありました。
その翌年、大学2年の終わり頃にようやく免許を取り、兄、続いて母親も免許を取り、それに合わせて単身赴任をしていた関係もあってしばらく自家用車をもっていなかった父親が親戚から一台の車を引き取ってきました。それが日産ブルーバードSSS U11(59年式)です。
程度はひどく、外装はへこみがあり、エンジンはやたらにがさつき、パワーもない。かなり扱いが悪かったらしく、その親戚はプリメーラ(初代)を買う時にこれを下取りに出そうとしたら10万円の処分費用を請求されたとか何とか(ホントかな?10万円は下取り価格ではないかしら)。いずれにしろ、程度が悪くスクラップ行きのはずの個体を、なぜか父親はクルマを見もせず「どうせ販売店は直して高く売るんだから」と訳のわからないことを言って30万円も出して引き取ったそうです(ちなみに、父親は機械音痴。すんなりうけとる親戚の方も「?」ですが)。
当初、「オマエも保険の対象にすると保険料が高くなるから兄だけが対象になるようにする。なにかあったらオマエは自分で賠償しろ」とさらに訳のわからないことを言われ、なかなか乗ることができなかったこのクルマは、その後自分がクルマいじりをする格好の材料になりました。
あまり大きなことは出来ませんが、キャブレターを分解・清掃したり、オイル添加剤で激しく静粛になりパワーがよみがえる経験をしたり、CDIをつけたり、いろいろなメンテナンスをおぼえました。カムカバーを開けてタペット調整をしたり、タイミングベルトの交換をしたり、なめたボルトの処置などテクニックも身に付けました。板金塗装もやりました。
単純ですき間も多く、とてもいい教材でした。手を入れたおかげでかなり調子がよくなりました。
一方でバブルのさなかであったこともあり、友人達が次々に自分の車をもつ中、自分の車を所有したいと思ったのはいうまでもありません。しかし、「オマエに経済的に維持できるわけがない。そんなものを買ったら家においておかない」と親から断固たる根拠のわからない反対を受け、自分の車など夢のまた夢でした。ただ、この頃、日本車離れした美しさを持ちながら、格安で売られていたピアッツァが、いつか買いたいとターゲットになりました。
社会人になり、収入ができたので親も反対する根拠を失い折れました。そうして友人から手に入れたのが今も所有するピアッツァです。これもいい教材でした。足回りのリフレッシュとして、前後のスプリング、ダンパー交換。そしてフロントはすべてのブッシュを自分で入れ替える(ロアアームだけプレス器がないと不可能だったので、いすゞディーラーに持って行ってやってもらいました。アッパーアームのブッシュは、スペーサーを作り、万力を駆使して換えましたが、なんと万力が壊れました)など、メインテナンスをするための知識・技術を身につけていきました。走り屋でも改造系でもクルマ磨きヲタクでもファッション的クルマ所有でもなく、壊れたクルマを直すこと自体が、知的活動でありクリエイティブでとても楽しいことだったのですね。まあまあのメカ好きであったとも言えます。
しかし、考えてみれば、小学校1,2年生頃のスーパーカーブームから大学生後半までクルマには長いブランクがありました。
中学から高校時分には、父親が単身赴任しており、家ではクルマを所有していなかったので、自分にはクルマなど無関係な存在でした。クルマに乗りたいとも思わないし、ましてや欲しいなどと思ったこともありませんでした。それほどに縁遠い存在だったわけです。それがいまや、レア車を2台も所有し格好のおもちゃにしているのですから、わからないものです。
こんな自分も、1998年に今のマンションを買い、地域のいろいろな活動に精を出し始めてから2007年末にSVXを買うまで、クルマのことなどすっかり忘れていました。当時全力で取り組める、夢中になれることがあったわけです。しかし現在は、そちらの方はあまりやるべきことが見あたらなくなり、本業はまったく自分を生かすことができない(個人の能力、センスみたいなものはむしろ邪魔な仕事です。事務能力が高いか、能力がなくてもハッタリをかましている人間がもっとも得をするらしい)ので、有り余るエネルギーと能力の一部がクルマに向いているというのがここ1年ちょっとという感じです。
長く自分の意識は、社会に貢献できるようなことを向き実践してきました。自分のためという部分が大いに欠けていたので、自分のためだけのことである「クルマ」はその反動なのかも知れません。なにか自分を生かせ、本格的にエネルギーを向けられるものがまた見つかれば、クルマのことはまたさておいてしまう可能性があります。だいたい、自分は同時に手にかけていることが多すぎますし、どこかで見切りを付けないと、有限である時間の振り分けが困難になってしまいますから。
でも、以前のような調子で自分のためのことをさておいていては、人生の後半で「失敗した」と思うだろうとも思います。すでに後悔が結構ありますしね。取り返せるうちに取り返さねばなりません。
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ひとりごと | クルマ
Posted at
2009/04/27 14:56:09