「インターネットで読み解く!」2011/03/27 (毎日曜刊)を見て、驚いた。
http://blog.dandoweb.com/?eid=119884
何と、福島市で、年間の公衆被曝許容量を超えているというのだ。
私も慌てて引用されている
今中哲二氏(京都大学原子炉実験所)作成資料と
福島県災害対策本部のHPで
データを確認した。
今中哲二氏(京都大学原子炉実験所)作成グラフ
この中の福島市とある赤いプロットは飛び抜けて高い。
福島第1原発から北西約61kmにある福島市の県北保健福祉事務所事務局東側駐車場にて測定されたものだ(冒頭の地図参照)。
インターネットで読み解く!の団藤保晴氏と同じように、おおよそ平均が10μSv/hと見積もって、急激に上昇しはじめた15日16:00から今日(27日16:00)までの12日間ざっくりと積み上げてみると、
10[μSv/h]×24[h]×12[day]=2880[μSv]
となる。
公衆被曝許容量が1mSv=1000μSvである。要するに、
すでに3倍近く超えてしまっているのだ。
なお、今日(27日14:00)の発表値は、3.64μmである。下がってきてはいるが、累積の被曝は増すばかりである。
追記 3/28
勿論、屋外で浴び続ければ被曝量は増すが、屋内ならば放射性物質を遠ざけることができ、コンクリート製の建物ならば放射線を減らすことができる。
放射性ヨウ素などから出る
ベータ線自体は薄いプラスチックでも遮蔽できるが、制動放射によりベータ線を受けた側の物質からあらたにガンマ線が放出されるので、コンクリートの方がトータルの遮蔽効果が高い。※注1※注2
何にしろ、放射性物質を体に取り込まない、体に付けて屋内に持ち込まないことと合わせ、生活上注意が必要なことは変わらない。
そのようなことが早い時期からこれらの地域でも徹底/実践されてきたかどうかが問題だ。
追記終わり
追記 3/28
放射性ヨウ素I-131の半減期が約8日ということが広まりすぎて、それを過ぎれば問題が解決するという勘違いを誘っているような気がしている。
放射性セシウムやその他の放射性物質は原発周辺は勿論、100km以上離れた地点でも量は少ないが検出されている。それらは数十年土壌中に残り続け、生物の食物連鎖を通じて濃縮される。人体では比較的排出されやすいとされるセシウムもキノコや魚に濃縮されている。
追記終わり
追記
郡山市郡山合同庁舎のデータは、上のプロットでは低くなっているがこれは3階で計測されたもので、24日から1階に変更し、値は3倍弱になっている。
今日(27日14:00)の発表値は、3.21μSvである。
追記終わり
今中哲二氏(京都大学原子炉実験所)作成グラフ
飯舘村(いいたてむら 福島第一原発から北西 約40㎞)はもっとひどい。目算で福島市の倍だ。
文科省が発表した数値で土壌から放射性によってセシウム16万3000Bq/㎏が発表されているが、今中哲二氏によると、
・チェルノブイリの汚染と比べるためm2(平方メートル)に換算する簡易な方法として、
(チェルノブイリ事故では、土地の表面の汚染レベルを測定。今回の文科省の発表は㎏当たりのため)
・表面2㎝の土を1m2にまいたとして、体積は20㍑。比重を1とすると、
土壌20㎏に相当。
・1m2の土地のセシウム137による汚染 16.3万Bq×20=326万Bq/m2
・チェルノブイリ事故当時(旧ソ連)の強制移住(戻ってこれないという意味)レベル
40キュリー/km2=148万Bq/m2 (1キュリー/km2=3万7千Bq /m2)
・飯舘村の土壌汚染は、チェルノブイリ事故当時の強制移住の2倍以上の汚染
・その後のベラルーシ等の強制移住基準15キュリー/km2(55万5千Bq/m2)の約6倍にもなる。
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/iitate_imanaka_estimate20110325.htm
という。
追記 3/28
旧ソ連原発事故では、広い地域が1m2あたり50万ベクレル(5.0×105Bq)以上のセシウム-137で汚染された。そのような場所では、セシウム-137のみから1年間に1ミリシーベルト以上の外部被曝を受ける。事故直後は、短寿命放射能の存在と内部被曝の寄与で年間10ミリシーベルトをはるかに超える被曝を受けていた。ふつうの人は、そこに住むことはできない。
原子力資料情報室
追記終わり
避難させるべき地区を北西にかなり広げなくてはならないのではないか?
団藤保晴氏も書いているように、なぜ北西部の状況を
まったくと言っていいほどマスコミが取り上げないのか、マスコミが強く訴えないのか不思議でならない。
参考 SPEEDIによる積算シミュレーション
一部削除の上追記 3/28
値の単位を読み間違っていた(何と初歩的ミス!)ので、記述を削除した。
このシミュレーションは、1歳児が24時間屋外にいた場合の放射性ヨウ素I-131による内部被曝の積算を予測したものである。100mSvは安定ヨウ素剤の投与指示の対象下限である。避難指示のない30km圏外でも北西で100mSvを超えている。内部被曝なので空間線量に対して大きく評価されているらしい(同時に受ける外部被曝も考慮されているかどうか不明)。
あくまでI-131によるものだけであり、土壌に残り続けるセシウムCs-137などはこのシミュレーションに入っていない。
追記終わり
追記 3/29
原子力施設等の防災対策について
http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf
によると、外部被曝に対する小児の甲状腺等価線量は10倍程度としているようだ。
追記終わり
#このマップを見るたびに、毒蛾が翅を広げて原発にとまっているように見える。
※注1
プラスチック板で充分遮蔽できると書いているものがよくあるが、それはベータ線のみのことであって制動放射を無視している。
※注2
木造建築でも多少の低減は期待できるらしい。
文部科学省 防災ネットワーク問答集より
(2)屋内退避などの有効性に関する根拠
屋内退避の目的は、放射性プルームからの被ばく(外部全身被ばく)及び放射性物質の吸入による被ばく(内部被ばく)を低減することです。国際原子力機関(IAEA)の調査によれば、外部全身被ばくに対しては、木造家屋では約10%、大きなコンクリート建物では約80%以上低減できるとされています。また、内部被ばくについては、ヨウ素を例にとると、気密性の高い建物で1/20~1/70、通常の建物で1/4~1/10に甲状腺線量を低減することができると報告されています。
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地震関連 | 日記
Posted at
2011/03/27 17:01:04