先日、「地震への慣れ」を口にしている人が多いことに触れた。
M6,M7クラスの大地震が連続して起きていることは明らかな異常時であるが、だんだんそれに反応せず、あくまで危機がないかのように振る舞おうとする。
このような心理を「正常性バイアス」と呼ぶ。
正常性バイアスとは
外界の強烈すぎる刺激に対して、理知的動物がそれを心理で抑制して、慌てないようにしてしまうこと。当然、日常性を保護するために必要な措置なのだが、度が過ぎると「本当の危険」に対しても、「煙はやがて収まるだろう」とか「今の地震が全てで予震などではなく、もっと大きな地震などやってこない」とか、暴風雨被害や津波、テロ等々あらゆる事態に対して、緩い判断をしてしまいかねない。現代は謎を駆逐した明るい社会である。が、そのために殆ど無感覚者と化し、まさにこれが原因で被害が甚大化している。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%B5%BE%EF%C0%AD%A5%D0%A5%A4%A5%A2%A5%B9
ここにあるように、この正常性バイアスによって、避難行動をとらなくなってしまうことが知られている。
これがよく現れた例が韓国地下鉄火災事件での乗車客の行動であった。煙が充満しつつある車内に乗客が座席で押し黙って座り、煙に巻かれて死亡した。
このとき、異常事態を異常事態ととらえず避難行動をしようとしなかったためにこのようなことになったと考えられている。このときには多数派と同じように行動しようとする多数派同調バイアスも加わっていたとも考えられている。
詳しくは次の記事を読んでほしい。
防災心理学、正常性バイアス、多数派同調バイアス
http://www.bo-sai.co.jp/bias.htm
避難遅らす「正常性バイアス」 広瀬弘忠・東京女子大教授
http://www.chunichi.co.jp/article/earthquake/sonae/201005/CK2010050102000172.html
危機を認識し、それに向き合い正しく行動を取れることの大切さを知って欲しい。
いざ危機に直面すると、「行動できなくなる」のが人間である。それを乗り越えるには訓練しかない。
日常生活でそのような突発的な事件事故にはなかなか出会わないが、株や為替などで予想と異なる突然の急騰や急落に出会った人なら分かるだろう。その時すぐに手仕舞えば傷は小さくすむ。しかしなんの行動も取れずただ損を広げていくのを眺めてしまうことが多いものだ。そのとき「すぐ戻る」などと考えてしまいがちだ。だがそうならないためにさらに損を広げることも多いものだ。
そのような経験をすれば、すぐに行動することの重要さがわかるかもしれないが、すぐ行動するのは実際にはなかなか難しい。
条件反射にするべく訓練するしかないようだ。
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震災関連 | 日記
Posted at
2011/04/13 19:55:54