nniさんがまとめている線量マップはなかなか全体像がつかみやすい。
(未計測地域がまだ大変多いことには注意)
これを元に解釈してみる。
■北西部
3/16時点で文科省が西~北西部で集中的にモニタリングしていることから、おそらくSPEEDIのシミュレーションによって、「南東の風により放射性物質が拡散した」と考えていたのだろう。
アメダスでは飯舘村は地震のため欠測。
気象庁のGPVの風向/風速シミュレーションが公開されているので、これを代替にする。一般にこの精度は悪くないらしい。
SPEEDIもGPVを使ってシミュレーションしている。
12時頃から南東の風が吹き始め、福島から中通りを下りはじめる。福島で放射線量が増え始めた16:00がその影響が出始めた時間と見ることができそうだ。17;00で最大となるが、この時間の様子が下に示したものになる。
■中通り
北西部に流れた放射性物質は、中通りの谷風(北東の風)によって南西方向へ運搬され続けていたのではないかと思う。
各所の空間線量のモニタリングでは15日について、南から先に増え北上しているのだが、福島が突然郡山などより多くの線量となりピークに達する。しかし原発北西部のモニタリングがないので北西部の動きは全く分からない。
ただし、先に示したGPVのデータは福島回りの運搬を示しており、蓄積量もそれに応じている。線量上昇のタイミングと各所の放射性物質量とは必ずしも一致するものではない。
なお、アメダスの雨量データを見ると、福島は17:00ごろからまとまって降り続き、郡山は17:00、白河は18:00ごろにわずかに降っている。
白河や郡山で先に線量が上がっているのは降雨とは関係なく風に乗って関東から運ばれてきた放射性物質の影響だと考えて良さそうだ。その後の蓄積には福島周りの分が効いているのではないかと思う。
早野さんの主張の元になったアメダスデータでも中通りは北西の強い風が吹き続けている。
アメダスで郡山の
15日と
21日を見てみると、やはり北寄りの風である。福島も同様。
■関東
3/15,21とも南岸を低気圧が通過し、北東の風が吹いた。一旦海上に出ていた放射性物質が関東に運搬されたものと考えられる。これにより両日とも放射線量が増加している。
15日は風のみだったが、21日は雨を伴い、多くの放射性物質の降下があった。
両日とも低気圧の通過時は北東の風だったが、15日は通過後西高東低の気圧配置となり風向きが北西へ変わりつよい季節風が吹き付けた。この間に一度南東の風で関東上空に滞留したらしい(
早野シミュレーション)
GPVでも関東経由で北西へ向かう風が現れている。

21日は風向きがあまり変わらず、北西の風になったのは23日。この間に柏周辺のホットスポットも生じたようだ。
■那須と大田原のギャップ
中通りは那須まで高いが、大田原でギャップが生じて少し低くなる。
これは降雨の有無である可能性がある。
3/15を比較してみると、那須は降雨があるが大田原にはない。降雨があった那須までが高くなり、大田原以南は免れたのかも知れない。
那須
大田原
風向のデータでは、那須と大田原で時間帯により逆方向の風が吹き、ぶつかっていることが分かる。
この地域では関東平野からの風(午後によく見られる、平野全体で一体化した海風)が中通りを南下する風を阻んでいる可能性がある。
これもギャップが生じた理由かも知れない。
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放射性物質・放射線 | 日記
Posted at
2011/05/24 11:16:25