おなじみトンデモ学者の武田邦彦が、またやらかしたらしい。
彼は科学的な思考力や充分な科学的知識を持っていないのに、無理に自分で話をわかりやすくしようとするからむちゃくちゃなことを言い出す。根拠不明、ソース不明、データのねつ造……。学校の先生にはそういう人は多いが、原子力を専門とし内閣府原子力委員会専門委員を勤める学者がこうではどうにもならない。
今回は、テレビ番組で放射性セシウムのLD50(半数致死量)は青酸カリの2000倍と言ったとか。
Togetterにまとまっているが、おおよそのことを書いてみる。
まずは武田氏のウエブサイトから。
http://takedanet.com/2011/09/post_d44c.html
一関市長
あなたが、9月4日放送の「たかじんのそこまで言って委員会」に出演中、一関市の名前を出しながら、今生産するのが間違っているとか、畑に青酸カリが撒かれた、青酸カリをのけてから植えてくれ、東北の野菜とか牛肉を食べたら健康を壊す、などと発言したことに対して、地元自治体の首長として強く抗議します。
あなたは、発言を取り消すつもりはないとも語っていましたが、本当に取り消す考えはないんですか。それを確認の上、今後の対応を考えていきます。
武田氏
テレビで発言するにあたり、できるだけわかりやすく、しかも科学的に間違いの無いように配慮しました。放射性セシウム137の{成人、経口}での50%致死量は0.1ミリグラム程度です。これに対して青酸カリは{成人、経口}で50%致死量が200ミリグラム程度ですから、青酸カリの方が約2000倍ほど毒性が低いという関係にあります。
「放射性物質は目に見えない」と言われますが、科学的には「あまりに毒性が強いので、目に見えないほど微量でも死に至るもの」と言えます。従って、青酸カリは一般的に猛毒であることが知られており、かつ単離しうる化合物であることから青酸カリを例に出しました。
つまり、放射性セシウムの方が青酸カリより約2000倍の猛毒であり、それが一般的に知られていないので驚いた方もおられると思いますが、このようなことこそ政府などが国民に知らせ、除染しないまま作物を生産するのに慎重にならないいけないと思います。
-----------------引用ここまで---------------
これに対する@powerpc970さんの解説をもう少しかみ砕いて書いてみる。
0.1mgの放射性セシウムは、体に取り込まれると50年の間に4Svの放射線を放出することになる。
放射性物質は少しずつ崩壊して徐々にその量が減っていくため、最初の1ヶ月で1Sv、次の1ヶ月で0.8Svと徐々に減っていく。これらの
50年積み重ねたものが預託実効線量の4Svである。
一方の
武田氏は、たとえば原爆の投下などのように一度に4Svの放射線を浴びた場合の影響を言っている。半数致死放射線量ならば4Svであるが、時間をかけて放射線を浴びた場合とは異なる。
このあたりを武田氏は理解できておらず、単純に4Svという数字に飛びついたとしか思われない。
なお、畑や水田に放射性物質があっても、作物に取り込まれる量は少ない。まとめをそのまま引用すると
先日公表された汚染濃度が一番高かった福島県浪江町で、Csが土壌1kgあたり2万7千Bq。稲の移行係数として仮に用いられた数字0.1を使うと、玄米1kgに含まれる放射性セシウムが2,700Bq。2,700Bq/kgの米を食べて307MBqのセシウムを経口摂取しようとすると、約114t。 しかも4Svが50%致死なのは急性被ばくの場合だから一度に食べないといけない上に、たとえ114tいっぺんに食べたとしても内部被ばく線量は預託実効線量で、一度に4Svにならない。
ことになる。青酸カリと比較するのはかなり無理がある。
武田氏は相変わらず科学的なふりをした(よくわかっていない)お父さん談義レベルの話をして、恐怖をあおっている。
科学者はデータに基づき正確な話をした上で、対策を語らなければならない。
恐怖をあおり、誰かを攻撃をして、自分の信頼を得ようとするかのようなやり方をするのは絶対にあってはならないことだ。そうしたやり方をすることで自らの(トンデモ)著作物の売り上げが上がっているとしたら、許し難いことだ。
武田氏は、そういうことを考えているのかどうかは疑問があるが、とりあえず彼を鵜呑みにしている人がいたら、それは直ちにやめるべきだと言いたい。彼は科学者としては明らかにレベルに達していない。
詳しくは以下のまとめを。
セシウム137の致死量は0.1mgなのか?
http://togetter.com/li/185357
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トンデモ | 日記
Posted at
2011/09/10 14:57:08