2013年03月17日
生物基礎
今年度からはじまった生物基礎。
新しい指導要領で理科の教科の構成が随分変わったが、生物はそれだけでなく内容がかなり大きく変わった。
一言で言えば「暗記生物」から「学問的生物」への変化だ。その象徴ともなるのがメンデル遺伝を中学に下ろし(戻し)、生物基礎では扱わなくなったことだ。
メンデルの遺伝の法則は生命現象の非常に単純な法則化なので、きちんと教えれば理解もしやすく、問題も作りやすいものであった。しかし、現実の生物の遺伝現象との乖離があり、3法則と言ってもいつでも起こるのは1つだけ、例外の方が遙かに多いという法則の態をなしていないものであったりする。メンデルの遺伝の法則を重視することはむしろ遺伝子の発現の理解の邪魔になる場面すらある。自分が高校生の時には法則と実際の遺伝子のはたらきのギャップを強く感じたものだ。
生物基礎では、中学の内容を発展させ、呼吸のしくみ、タンパク質のはたらきや遺伝子の発現のしくみ、免疫のしくみなど、あまり専門的に突っ込みすぎない程度に生命現象の内側を描き出す構成になっている。教科書の冒頭から、生物を見るミクロからマクロまで幾段階かの視点があることを示し、その視点から教科書全体が構成されている。
これまでの理科総合や生物Ⅰからはかなり専門的になっていて、逆にどこまで突っ込めばいいのか判断に困る場面もある。教科書のコラム部分をどこまで扱うかも全体の進行状況を見ながら判断せねばならない。
生徒に暗記を強要する旧態依然のやり方でしか教えられない教員では、対応は難しいだろう。また、受験生物まで教えられればいいと、学問の進歩についていこうとしてこなかった教員には、教科書の内容を自分が理解するところでまず苦労するだろう。かなり新しい知見(と言っても、専門の人間には常識レベル)が入っている。
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内容は濃くなっているのに週に授業はたった2時間で、まず教科書を1年では終えられないのではないかと言われていた。しかし、私はほとんど内容を省略することなく(内容によっては多少教科書を超えながら)、実験もわずかにはさみながら終えることができた。インフルエンザによる学校閉鎖で授業回数が減っていたにも関わらずであるので、我ながらよくやれたものだと思う。
来年度の担当者はどうなるやら。
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Posted at
2013/03/17 13:36:26
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