多分、普通の人と驚くポイントがずれているのだけれど。
コチニール色素という、食品に使う色素がある。清涼飲料やかき氷、ハム、ソーセージなどの赤い色で使われる『天然色素』だ。
これはコチニールカイガラムシ(エンジムシ)のメスの体から取り出した色素である。
それを「虫の汁を飲んで(食べて)いたのか!」と驚く人もいるかも知れないが、昆虫由来だからと言って安全性が充分あることが分かっているのだからどうと言うことはない。
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理科の実験で、染色体や核の染色によく用いるのが酢酸カーミン溶液。これはタンパク質を固定するための酢酸と、色素を一緒にした便利な染色液である。
これが昆虫由来の色素が使われていることは知っていたのだが、食品添加物のコチニール色素と同じだったとは知らなかった。
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「天然」「自然」を信奉する人たちが「天然は安全」と言ってはばかることがない(天然で毒性のある危険なものはいくらでもある)のに、昆虫由来の色素を忌み嫌うのが不思議でならない。
昆虫食はアジアやアフリカを中心に世界的にも少なくない。効率の高いタンパク源として研究も成されている。
だいたいエビやカニがOKで同じ節足動物である昆虫がNGというのも考えてみれば不思議だ。
まあ自分はどちらもあまり好きじゃないけど。
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考えてみれば、蜂蜜だって気持ち悪いと言えば気持ち悪い。昆虫がなめて体内にとり込んで集めてきた花の蜜だ。成分にはミツバチの唾液が含まれている。けれど、ほとんど気にされずに使われている。花の蜜の主な成分はスクロースだが、ハチの唾液に含まれる酵素によってグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に分解されている。
それと違う部分でだが、蜂蜜は乳児には禁忌だ。
蜂蜜にはボツリヌス菌が多少含まれるため、抵抗性の低い乳児では乳児ボツリヌス症を発症することがあるためだ。
蜂蜜は1歳からと言われている。
ボツリヌス菌に関する補足
ボツリヌス菌は土壌中にありふれた細菌だが、
ボツリヌス毒素は極めて毒性が高い。ヒトでは体重1kgあたりの致死量が1μgという(A型毒素の場合)。神経の情報伝達を阻害するタンパク質系の毒素である。
ただし、タンパク質系であるため加熱あるいはアルカリ処理で無害化できる。通常は加熱調理で問題はなくなる。
菌が食物と共に腸内に入っても、大腸菌などの腸内細菌が優勢であるためボツリヌス菌がとりつき増殖できない。
しかし、1歳未満の乳児では腸内細菌が少ないため腸内で増殖してしまう。このため乳児ボツリヌス症が発症する。
ボツリヌス菌は耐熱性のある芽胞であれば100℃でも耐える。このため120℃4分以上の殺菌を行う必要がある。
ちなみに、納豆を作るコソウ菌も芽胞を作る。大豆を煮て、熱湯消毒した藁で包むと納豆ができるのは、雑菌が殺菌されてもコソウ菌が生き残り大豆を発酵させるためである。
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Posted at
2014/06/28 07:52:17