atmという記号がある。atmosphere pressureの略で、これは要するに気圧のことだ。
標準気体の体積とかでおなじみだろう。1molの気体が標準状態(0℃、1atm)で22.4Lというヤツだ。
この読み方なのだが、日本では長く『アトム』と教えていた(いる)ようだ。自分もそう教わったような記憶がある。
ただ、この『アトム』は英語圏では通じないらしい。atmを元の語の発音でatmosphereと読むそうだ。
自分は『気圧』あるいは『エーティーエム』と読むことにしている(前者は日本語への置き換え。後者はスペルそのもので、実際にそう読まれることがある)。『アトモスフィア』と読むことも伝えるが、『アトム』は海外でも通じそうに聞こえるのでさけている。生徒に伝える必要があるときは『アトムは海外では通じない』と一応断っている。
**
ある化学の教員、あるときまで『アトム』と読んでいたが、どこかでそれが正しくないと教わったらしくそれ以来『アトム』とは言わなくなった。それだけならよいが、自分は一度も『アトム』とは読んだことがないようなことをいい、『アトム』と読むことを無知そのものであるかのように馬鹿にして言うようになった。
こう言う人間はよくいる。こう言う変わり身は結構恥ずかしい。というか人間性の問題か。
実のところ日本では『アトム』という読み方が広く普及してしまっているし、略号の読み方は国によって結構異なるものだ。なので普及しているものを完全に否定するような言い方はどうかと思う。
なお、atmを『アトム』と読むと、atomと間違ってとらえられる可能性はなくもないが、化学に携わるもの同士で、英語を母国語としない話者がそう言ったからといって、話の前後から間違ってとられるとは考えにくい。
**
アトム(atom)が英語のスラングで「おなら」を意味するという話がある。
「手塚治虫が鉄腕アトムをアメリカに輸出するときに『アトムはおならを意味するのでアストロボーイに改名した』と言った」という話が広まっている。
wikipedia 鉄腕アトム
ただ、スラングを含んだ辞書、スラングを集めた辞書を見ても「atom=おなら」というものに出会ったことがない。
改名の理由も実際はアメリカに『The atom』『The Mighty Atom』などatomの語を含むアニメやアメコミがあったためという話もある。ここからも「atom=おなら」説はあやしい。
wikipedia 鉄腕アトム
本当にatomはおならを意味するのだろうか。
もしそうなら、年少者向けの化学の授業が成り立たないだろうに。
ブログ一覧 |
サイエンス | 日記
Posted at
2014/09/01 03:33:35