2015年12月11日
医者と言うだけで盲目的に信用する人がいる
不思議だなあと思うのは、「医師」というだけで盲目的に信用する人がいること。
とある、いつもトンデモに簡単にだまされる超有名私立大卒の人が「この本に書いてあることは正しい。書いているのは医師だからだ」と主張するので、誰が言っているのかと確認したら、医師ではなく作家だったということがあった。これが分かって彼女はその本の内容をどう捉え直したのだろう。この人は自分の出身学部の先輩であると言うだけで広瀬隆という作家を盲目的に信頼していたし(広瀬隆のトンデモぶりについてはググって欲しい。私が以前書いた記事は数人のサイエンスライターにツイートされてものすごいアクセスを受けたことがある)。
大切なのは属性ではなく中身。しかし、それを判断するだけのリテラシーのない人は、属性に頼りがち。「友人だから言っていることを信用する」も同じ。判断を保留している。これはデマがはびこる構図そのもの。友人だろうが犯罪者だろうが、正しいことを言うこともあれば間違ったことを言うこともある。
属性にこだわる人は、物事を見抜く力がないと考えてそう間違っていないだろう。
東京学芸大出身だから、いい先生になるに違いないと学芸大出身者ばかり採用する私学もあるけれど、学芸大出身者もいろいろだ。自分のように、教員に向かない人間もいる。
自分は学閥がある組織を基本的に信用しない。
**
医師にもいろんな人がいる。たくさんのことを学んで国家試験に受かって医師になり、それからも多くの経験を積んでいるはず。
しかし、論理的におかしなことを主張する医師は時々いる。似非科学にはまってしまう人もいる。
自然科学の知識やリテラシーに問題がある人、不十分な人もいる。
ミスをすることもある。
もちろん、彼らだって知らないこともある。
交通事故の治療後、自賠責の後遺障害認定のための診断書を書いてもらっても、そのまま出して正当な内容を認められることは少ない。医師は、自賠責の認定機関側が何を重視し判断しているか知らないからだ。書き慣れないものだからミスもする。
だから、交通事故の治療後、自賠責のフォーマットで診断書を書いてもらって相手保険会社に任せたら、診断書の記入ミスがあることも知らされないまま、後遺障害が認められなかったり、本来より低い等級しか認められなかったりする。保険会社は意図的に必要なX線写真を提出しなかったり、自社に都合のいい(診断書の内容を過小評価したり否定する)内容の医師による意見書を提出して妨害する。記述が不十分だなんて教えてくれることはほとんどないそうだ。
自分は請求して認定機関が出した書類を全て手にしていて、どんな妨害をしたかまで把握している。それを元に、保険会社が設置しなくてはならず、監督官庁に報告義務のある窓口に苦情を訴えることで上司対応に切り変えさせ、事故に関する加害者の保険会社への報告内容と相手方が調査会社に依頼して作らせた調査資料の一部まで提出させることに成功した。これは後の戦いで大いに役に立った。(聞いてはいたけれど、保険会社の人間は録音を怖れて電話では聞き取れないほど小声で話すのだ。こっちは事故で難聴になったんだと、なんども声を大きくさせた)
自分の時は自分で診断書を精査したが、データの転記ミス、求められているデータと違うデータの記入、必要項目の記入なし、最も重要な所見の内容が不十分などかなりあった。すべて訂正を求めて直してもらった(医師には専門家のチェックを受けたかのように説明したが、全部自分のチェック)。この後、相手保険会社が様々な妨害工作をしたけれど診断書の記述が決め手になって、自分の後遺障害症状として認められ得る最高の12等級が認められた。
普通、相手保険会社に任せていたら外傷のない後遺障害はまず認められない。自賠責の保険金も小さくなる。任意保険が認める賠償額も、裁判で認める賠償額もとんでもなく小さくなる。
相手保険会社が提示した額は、最終的に勝ち取った額(裁判所が認める額)の数十分の一に過ぎない。
通常保険会社は保険金請求の一元化の仕組みを利用し、自賠責から被害者に支払われるべきお金を自社で握り、すべて自社で出しているかのように装う。自賠責保険金を質にとって、示談書類に判をつかせる。それまでは一文も渡さない。相手の根負けを狙っているし、普通の人は正当な賠償額を知らないのでいくらでも誤魔化しにかかる。ある程度のお金が出ると言うだけで喜んでサインする人は多いらしい。
普通、示談の内容は任意保険部分の支出がないよう、可能な限り自賠責の範囲に収めたものにする。本来自賠責の保険会社への直接請求制度があるが、そんなものを使われて保険金が支払われると示談を有利に運べなくなるのでそんなしくみの存在は明確には伝えない。
ところが私の場合、まさかの12等級をとられたうえに素人が知らないはずの自賠責の直接請求をされたことで切り札を失って焦った相手保険会社の何とかマリーンとその契約弁護士は、12等級だが後遺障害は認めないというめちゃくちゃな主張すらした。
そんな訳で(?) 医師だからといって何でも知っていて、能力的にも優秀で、万能だなんて思わない方がいい。
勤務校の校医はNASH(非アルコール性脂肪肝)を知らなかったし。
ブログ一覧 |
医学・医療 | 日記
Posted at
2015/12/11 21:57:04
今、あなたにおすすめ