2015年12月23日
嘘をつく病院
病院の経営は、苦しいことが多い。特に小児科、産科は赤字で閉鎖も増えている。日本医師会の資料によれば、病院の25.7%、診療所の33.8%が赤字という(2007年)。
赤字である最大要因は人件費の高さだが、現実問題小児科や産科は報酬を高くしてもなり手がない。
小児科は出す薬や検査が少なく、一方で子ども相手であるために看護師を増やす必要がある。少子化で科の維持が難しく、一方で小児科を開いているところに集中して負担が高くなりやすい。
小児科・産科共に医療過誤や事故、あるいは医療過誤に当たらないケースであっても他の科より訴訟リスクが高く、感情的な報道をされるリスクが高い。
そんなこんなでなり手が少なく、病院としても経営的判断で閉鎖が増えている。
そんな病院経営に関わる部分で、卑近な例で恐縮だが病院が平気で嘘をついて医療費を請求するという話を。
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自分が交通事故にあった時、とある病院へ行ったが、そこで現金での医療費精算を求められた。
「交通事故の場合、保健証は使えないんです」
そんな高額な料金を払える手持ちがない。現金での支払いをする念書をとられてしまった。
だが、これは嘘である。たとえば、事故の加害者の保険ではなく、自分がかけている人身傷害保険を優先して使う場合、健康保険を使って医療費の圧縮が求められる。
何故嘘をつくのかと言えば、自由診療なら健康保険の制限なく自由に診療単価を決められる。要するに儲かるのだ。
大概、検査を綿密にやり、薬を多く出す。患者本人の負担がないので検査の同意を得やすく、やり放題になりやすい。
私の場合は、「その方が安心できるでしょう?」といくつもの検査をされた。
利益になる交通事故患者は病院としては大歓迎なのである。多くの病院で自由診療で受け入れているらしい。
任意保険会社も、自分の懐が痛まない自賠責保険の保険料の範囲なら何も言わずに診療を受けさせる。タクシー代なども払う。それを超えそうになると病院等に圧力をかけて診療を中止させたり、被害者本人に症状固定を同意させにかかる。特に外傷のないむち打ちでは厳しく当たってくる。
(任意保険部分に食い込むと、特に訴訟のケースでは掌を返したように、受けた医療が過剰であるとかの主張をされる。整骨院など受診していると過剰として認められなくなるケースすらある。整骨院は昔から不正の温床になっているので厳しくみられやすい。受診はほどほどにした方がいい)
そうやって、自賠責保険の保険金を任意保険会社と共同して食いつぶし、被害者には医療費以外の慰謝料などがほとんど出ないまま(つまり、自賠責の枠を超える任意保険の部分を任意保険会社からは支払わずに)、示談の判をつかされるケースが大半なのである。本来あるべき慰謝料を得るためには知識と戦う意思が必要で、普通の人は弁護士の世話になるのが確実だ(弁護士の問題はまたいずれ)。
同様に、整骨院も交通事故患者歓迎だ。整骨院にはほぼ必ず交通事故患者を受け入れる旨のことが書いてある。一人いるだけでもかなりの利益になるらしい。
そんなことで、病院は経営を重視し、平気で嘘すらつく。
健康保険を使えないとする理由は、本来事故の加害者側が賠償する責任を負うからであるが、被害者負担の軽減のためもあって健康保険が建て替えてあとから加害者に請求するしくみがあるのだ。
病院としてはそれを使われると報酬が減るので、健康保険を使わせないのである。
一方、そんな患者は大得意様であるので、サービスがよくなる傾向もある。診断書の中身が実際より大盤振る舞いになりやすい。私の場合も実際にはない外傷まで書き込まれていた。
ただ、問題は自賠責基準との関係なので、大盤振る舞いされたからといってすんなり後遺障害が認められるわけではないのだが。任意保険会社がもっとも嫌がるのが、慰謝料支払いが莫大になりやすい後遺障害認定なのである。ここを乗り越えるためには医者との関係は大切になってくるし、よほど知識のある人でない限り適切なアドバイザーを介入させないと、認められるものも認められなくなりやすい。
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Posted at
2015/12/23 09:41:07
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