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2016年03月23日

津田論文の評価


 平易で分かりやすいものがあったので、紹介。

Epidemiology誌の津田敏秀氏の甲状腺癌の論文について
■この件はこのブログで触れる予定ではなかったのですが,インターネット上のとある場所に書き込みがあり,思うところがあって記事を書きました.

■東日本大震災に伴う福島第一原発事故においてはインターネット上で様々な情報が飛び交っているのは御承知の通りで,その中にはデマが多数混じっていること,これらのデマに便乗して活動している学者がいることも事実です.その上で,とりわけ注目されている小児の甲状腺の問題はこの4年間で多数のデータ報告が出てきました.放射能の影響がどの程度あるのか,今後も見ていく必要がありますが,少なくともデータを客観的かつ公平にバイアスなく解析・考察する必要性がでてきます.

■そのような中,先日,岡山大学の津田敏秀先生の論文がEpidemiology誌にpublishされました.甲状腺癌の推移のモニタリングは今後も必要であり,データを解析しようとした津田先生の姿勢は,内容の妥当性は別にすれば評価されるべきではあると思います.疫学調査とその解析は誰かがやらねばなりません.
Tsuda T, Tokinobu A, Yamamoto E, et al. Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014. Epidemiology 2015 Oct 5 [Epub ahead of print]

■この論文を見ると,まずethicsに関する記載がありませんのでこの時点で論外で,「はたして倫理委員会をちゃんと通して論文を書いたのだろうか?」という疑問があります(Epideiology誌では記載が求められるはずですが査読でなぜひっかからなかったんでしょうね?).そこは置いといて,中身を見ると,年齢調整がなされていない,放射線量がより低い会津地方をベースにしていない,多重比較になってしまっている等いろいろな統計解析上の問題が見えます.どんな論文にもなんらかの瑕疵があるとはいえちょっとこの解析はさすがにないんじゃないでしょうか.

■external comparisonにおいては国立がんセンターのデータを震災前のデータとして比較を行っており,結果は「甲状腺癌が震災前データの30倍」というもので,この数字がネットで多数流れています.この程度ならスクリーニング検査バイアスの可能性が高いと思われます.しかしなぜか津田先生は「30倍という数字はスクリーニングバイアスや誤差では説明できない」と述べておられ,その一方でなぜそう言えるのかについて根拠を示していません.この津田先生の比較のやり方を用いれば,平成24年から行われた甲状腺結節性疾患追跡調査事業結果と比較すると,青森県・山梨県・長崎県でも甲状腺癌発症率は70倍近くになってしまいます(極端な比較ではありますが).また,昨年のthe New England Journal of Medicineで,甲状腺癌のスクリーニング検査を行うだけで30倍程度は簡単にいってしまうことが報告されています.これらから考えてもなぜあのような考察の表現になるのかおおいに疑問です.

■そもそも,この論文では甲状腺癌の潜伏期間を4年と仮定しており,この仮定を置いてしまうと論文が成り立たなくなります.本論文の最大のトリックだと思われますが,本研究の計算方法であれば,潜伏期間を短く設定すればするほど国立がんセンターの年間罹患率よりいくらでも大きな「〇〇倍」という数字が出せてしまいます.そして,潜伏期間を4年と仮定した根拠が「福島第一原発事故からと仮定した」であり,これでは福島第一原発事故以外が要因のケースもすべて4年としてしまうということになり,論法がここで崩壊します.ようするに,「Aが生じたことでBが生じたかどうか検討する」おいう因果関係に言及する研究において,「Aが原因でBが生じたという仮定の設定下での解析」を津田氏は行っていることになります.完全に循環論法というか,結論ありきの自分の主張バイアスがかかってしまっていて,これでは滅茶苦茶です.

■この論文データから結論を得ることはできません.統計解析手法の不備を無視したとしても,多いとも多くないとも言えないはずの結果です.しかし,この論文の考察や結論は甲状腺癌増加ありきのかなりバイアスがかかった表現になっています.まあここまでは,ニュース等で震災後の津田先生の発言や考えを知っていれば想定の範囲内とも言えますし,私も「ああまたか」程度に思っていましたが・・・.
http://drmagician.exblog.jp/23772300/


 論文自体はかなり問題を含んでいる。論文の出来としての支持は当然少ない。

 ただ、指摘されているように、疫学的調査と分析は誰かがやらなくてはいけない。

 初期被曝のデータがほとんどない中、被曝量から影響を想定できない。
 ほとんど唯一が疫学調査で、それで有意な結果を出せるかどうかは分からない。しかし、きちんとデータを積み上げ、正しく分析してものを言う必要があるのは間違いなく、ないデータで被曝の影響はないというのはもってのほかだ。

 **

 ちなみに自分は甲状腺ガンの増加は当然スクリーニング効果によるものだと思ってきた。
 しかし、あたかもすべてがスクリーニング効果だけで説明できるかのような姿勢を持ち、初期被曝の影響はなかったと印象を与える説明を行う者がいることに違和感を感じ始めたのだ。

 初期被曝の調査がそもそも妨害と言っていいような理由付けによって阻まれたことで、根本的なデータがほとんど取れていないからこそ、疫学的なデータを見ていかなければならないと考えるのは当然だろう。

 食品検査やWBCではわからない部分を補う仕事はを評価したいと思っている。

 誰かにきちんとやってもらいたい。


 **

 論文の評価を重視したSTAP細胞の件と態度が違うと思うかも知れない。

 STAP細胞は、存在の証拠としているものがことごとく捏造で、そもそも研究として話にならない。簡単に万能細胞が得られるはずが、誰も追試に成功せず、200個作ったという本人を持ってしても作ることができないのだから、一顧だにする価値がない。彼女の言うSTAP細胞やSTAP現象は存在した証拠がどこにもない。誰かが似た現象を証明しても、小保方氏と同じ方法あるいは極めて近い方法でない限り、STAP細胞の証明にはならない。

 津田氏の疫学的調査と分析は、確かにデータ処理に問題がある。しかし、初期被曝の影響があるのかほぼないのかは、ここからはまだ分からないのだ。論文自体はダメでも、事実がなかったとは言えない。
 甲状腺ガンは時間経過と共に現れてくることがチェルノブイリの経験で知られているので、時間経過の中で明らかになってくる。自然発生を上回る増加が続けば、初期被曝の影響の可能性が高まるし、そうでなければほとんどがスクリーニング効果の影響だったと言えるのであろう。

 津田氏の思いこみと稚拙さの伴う恣意的な分析であったかどうかはともかく(おそらくそうだが)、論文がどう出あろうが、事実として甲状腺ガンの増加がスクリーニング効果だけによるものかどうかは分からないのだ。
 津田論文は、科学の作法として問題点を指摘すべきだ。

 しかし、津田論文を否定することで初期被曝の影響はなかったかのような一定の印象を作ってしまうのではなく、精査することのほうを重視して欲しいと願っている。それがサイエンスの姿勢だろう。

 早野氏の姿勢は、もしかしたら、反原発系の人々がこぞって津田論文を取り上げていることに対する対抗のつもりでやっているのかも知れないが、それは例の社会調査の生データ垂れ流し本と同じ轍を踏んでいることになる。

 対抗勢力のデマを否定しようとして、結果として事実と異なることを印象づけているのは、目的が正しければ手段に多少問題があっても構わない、嘘を持って嘘を制する姿勢と大差ない。





 
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Posted at 2016/03/23 13:15:20

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