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2018年06月30日

新オレンジプランと日精協

新オレンジプランと日精協
 先日、日本精神病院協会会長の、まさに驚くしかない「残業規制反対」の機関誌オピニオン記事「巻頭言」を紹介した。

 その後、Google のキャッシュを使って削除された様々な「巻頭言」に目を通してみた。

site:http://www.nisseikyo.or.jp/opinion/kantougen/kantougen.php

 ネトウヨ、極右そのもののような、そして問題が指摘される精神病院の現状肯定のための驚くべきオピニオンの数々に驚愕した。

 嫌中嫌韓、歴史修正(捏造)、反マスコミ、反民主、親安倍、「精神科医に拳銃を持たせろ」主張…

 拳銃云々は先日猛抗議を受けたことが報道されてご記憶の方も多いだろう。報道の一例として毎日新聞のものを引用する。

協会機関誌
「精神科医に拳銃持たせて」会長が引用

毎日新聞2018年6月21日 20時52分(最終更新 6月21日 22時26分)

 全国の精神科病院でつくる「日本精神科病院協会」の山崎学会長が、協会の機関誌に「(患者への対応のため)精神科医に拳銃を持たせてくれ」という部下の医師の発言を引用して載せていたことが21日、分かった。患者団体などでつくる「精神科医療の身体拘束を考える会」が問題視する集会を国会内で開催。「日本の精神科医療のトップが患者を危険な存在と差別し、許されない」と批判が出ている。
https://mainichi.jp/articles/20180622/k00/00m/040/095000c



 たしかに精神科医のみならず医療関係者は患者等からの暴力の可能性に晒されており、実際に暴力を受けたものも多いと聞く。しかしながら、欧米のような警備スタッフの採用や護身用のスタンガン所持ならいざ知らず、殺傷性の高い拳銃を持たせろと言う主張は、部下のレポートの引用とは言え、公の場で精神科病院協会の会長が開陳していいものであるはずがない。ただでさえ精神病院は拘束のみならず、ロボトミー手術による問題患者の廃人化というとんでもない歴史があり、暴力や懲罰目的のいわゆる電パチが横行したことなど、密室の中の異常性が指摘されてきたというのに。

 対米追従の戦後右翼とやや異なり、鬼畜米英のような反アングロサクソン色も強い。これが反欧米精神医学とも呼応しているようだ。TPP反対主張でも反アングロサクソン色がにじみ出ていた。

 TPPについては、薬価や医療費高騰など、医療に大きな影響を与える可能性が高いことから医療関係者から反対の声が上がっていたが、山崎氏も民主野田政権の時には、TPP参加を表明した政権を叩きながらTPPの問題点を散々述べていた(TPP参加反対論 「巻頭言」)
 しかし政権交代後、TPP反対を掲げて選挙に臨んだ自民党が手のひらを返してTPPを推進したが、それについては何もふれない。烈火の如く怒らねばならない場面であるのにだ。
 安倍様が前言を翻し何をしようが絶対追従のネトウヨのごときだ。

 のみならず、日本より進んでいる欧米の精神医療を侮蔑するような内容、精神病院への隔離から地域への流れに逆行し、批判の多い日本の精神病院経営、頭抜けて多い病床数と長期入院を擁護するものには、関係者から公式に抗議が行われてすらいた。

日精協誌2012年1月号巻頭言への抗議と質問
東京都地域精神医療業務研究会 代表 飯田文子
http://orifure-net.cocolog-nifty.com/net/2012/02/20121-8d01.html


日本精神科病院会長 山崎學氏文章 (協会誌巻頭言 会長 山崎 學Japan as No.1日精協雑誌 2012 1月号) に対する、「抗議・撤回および公式謝罪要求文」および「公開質問状」
http://www.jngmdp.org/accusation/1273

 もちろん自身も、精神科医である一方、日本の精神疾患患者の病院への隔離によって成り立ってきた民間病院の経営の立場であり、病床数確保は重大事だ。少子化で病床の空き懸念もあり、欧米で進む精神疾患患者の地域ケアはまさに死活問題でもある。

 それでアベ友であるのだろう。日精協は晋精会という安倍晋三後援会を持ち、山崎氏が会長を務めている。

 2015年の厚生省による認知症対策の新オレンジプランでは、それまでのオレンジプランと異なり認知症対策の司令塔として精神科医を入れることが謳われている。そのことで、地域中心を打ち出したオレンジプランから後退し、医療中心の状況に舞い戻ることが懸念されている。

みんなの介護ニュース
第54回 新オレンジプランとは一体何なのか?認知症対策に期待がかかる一方で、「精神科医療との提携」という内容に一抹の不安…
https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no54/

 認知症は広くかかりつけ医が見られるようにしようというもので、精神科は後方支援という位置づけであったのに、安倍政権下での新オレンジプランでは司令塔に格上げされてしまった。詰まるところ、少子高齢化の中で、思春期・青年期対象の医療ではなく高齢認知症患者を精神科のターゲットとするための根回しが行われた結果なのであろう。

 以下はダイヤモンドオンラインからの抜粋引用だ。

「精神科病院」の関与が大きくなった認知症施策
 1月27日に政府が発表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」のことだ。厚生労働省が2013年度から現在も進めている「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」に代え、この4月から着手する。

(略)

 ところが、柱の2番目「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」の中で、精神科病院に関わるところが劇的に大変わりしている。7日の当初案が、自民党関係者に説明している間に手が入り、27日の正式文書となった。

 日本の精神科病院は、かねてから諸外国と比べて、その「異常性」は指摘されてきた。ベッド数があまりにも多いことだ。OECD諸国は人口1000人あたり1床以下がほとんどだが、日本は2.8床もある。3倍近い。

 各国ともこの十数年の間に精神科病院のベッド数を減らしてきた。日本だけが突出して高止まりのままだ。全世界の精神科ベッドは約185万。そのうち20%近くが日本にある。


「精神科病院」の関与が大きくなった認知症施策
 家庭や地域に戻すシステムがないため、診療を終えたのに退院しない人が多いからだ。「社会的入院」と言われる。精神障害者の退院後のベッドに認知症高齢者を誘導する病院もあり、全国の精神科病院には、認知症の人が5万3000人もいる。認知症で入院している7万5000人のうち約7割は精神科病院で日々を過ごしている。このような状態に対して、世界保健機関(WHO)は家族や地域での介護態勢を拡充するよう勧告してきた。

 精神科の治療が必要な人と認知症高齢者は、同居家族を悩ます類似した症状が出て来ることがあるが、基本的には異なる対応が求められる。認知症高齢者の中には、一時的に薬剤投与を必要とされることはあるが、長期的に見れば本来の居場所ではない。これが欧米の定説である。

精神科病院で適切な認知症ケアは行えるのか?
 精神科病院では、法律(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)によって入院患者への行動制限が認められている。ベッド上で手足をベルトやひもで固定したり、車椅子に乗っている時に腰をベルトで抑えてしまう。抑制と呼ばれるが、実態は拘束である。

 一方、2000年に始まった介護保険制度では、虐待につながる拘束を禁止しており、原則として「抑制」は認められない。生命にかかわるなど緊急措置として、十分検討されたうえでなら、という例外規定はある。現場では原則論が行き渡り、様々な工夫をすることで拘束を回避する努力が成されている。

 この基本的な認識、取組みの違いは大きい。画一的な処置に走りがちが病院の中で、個別ケアを必要とされる認知症ケアが十分行われるかは疑問視される。

(略)

 欧米諸国では、「生活の場ではない精神科病院での長期入院は、認知症の人への適切な対応ではない」として、退院促進に力を入れてきた。2012年1月に東京で開催された「認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム」で、スウェーデンや英国、オランダなどの関係者がその成果を得々と語った。フランス代表は「今や精神科病院に入院中の認知症高齢者は1000人以下です」と胸を張った。各国とも、どれだけ減らしてきたかを、数字を挙げて説明した。

(略)

正式決定された「新オレンジプラン」は疑問だらけ
 正式決定された27日の新オレンジプランでは、精神科病院は「専門的医療サービスを集中的に提供する場」であり、「慢性の行動・心理症状(BPSD)等においては長期的に専門的な医療サービスが必要」と記す。

 1月7日の当初プランでは、同じ個所で「専門的医療サービスを短期的・集中的に提供する場」であり、「長期的・継続的な生活支援サービスを提供する介護サービス事業所や施設と、適切に役割分担が成されることが望まれる」とある。

 両者の違いは明白だ。7日版にあった「短期的」が27日版では削除。「長期的」なかかわり方も変更された。7日版では、介護サービス事業所や施設に「長期的」生活支援サービスを任せると「役割分担」を提唱していたのに、27日版では、精神科病院の業務として「長期的」を含めた。

 精神科病院は「短期的・集中的」に医療サービスを提供し、生活支援サービスを担う介護事業者が「長期的・継続的」に関わるべき、と7日版ではもっともな住み分けを主張。「医療モデル」を長期的に継続させる27日版。「医療サービス」を終えたら早々に「生活サービス」に切り替えるべきとする7日版。

(略)

 ところが、27日版では、逆に「短期も長期も」精神科病院の出番だと言わんばかり。認知症高齢者の長期入院を受け入れている現状をそのまま肯定した。

 精神科医療の役割を重要視し、より強調するため加筆もされた。7日版で「精神科や老年科等の専門科による、医療の専門性を活かした介護事業所等への後方支援が重要である。」と、「後方支援」を役割とした。

 それが27日版になると「…介護事業所等への後方支援と司令塔機能が重要」と、「司令塔機能」が加わった。後方支援と司令塔では大違いである。文字通り、後ろから支える立場だったのが、指揮命令権まで持つと変わった。医療が介護事業者より優位に立ちかねない表現だ。

 逆に、7日版からの削除もある。精神科病院のあり方に釘を刺すところだ。「精神科医療は、機能や体制が具体的に『見える化』され、地域からみて、一層身近で気軽に頼れるような存在になっていくことが求められる」と願望した。

(略)

なぜ、精神科病院の存在感が高まったのか
 そして決定的な変更もある。7日版で「…精神科病院等からの円滑な退院や在宅復帰を支援する」としていたが、27日版では「医療機関・介護施設等からの退院・退所や在宅復帰を支援する」と変わったことだ。

 精神科病院は退院すべき病院という印象が強かった7日版。欧米並みの基準に近づけようとした表現だ。これに対して、27日版では、介護施設も加えて、一般的な「脱病院・脱施設」へとイメージが拡散してしまった。

 これだけ、書き換えが重なると認知症ケアへの見方も変わらざるを得ない。認知症ケアにとって精神科病院が重要と「納得」させられてしまう。入院を勧められても、疑問を抱かなくなりそうだ。

「時代錯誤も甚だしい」「40年以上前の『恍惚の人(有吉佐和子作)』への逆行」という批判が介護関係者から上がるのも当然だろう。

 では、どうしてこのようなドラスチックな変更が起きたのだろうか。それも、時計の針を逆回転させるような方向に変わったのか。厚労省の担当部局が自らの意志だけで動いたとは思えない。

 ヒントはある。旧オレンジプランのスタート台になった厚労省の認知症リポート、2013年6月18日の「今後の認知症施策の方向性について」に日本精神科病院協会が反論した事件である(詳細は連載第10回)。「精神科病院の関与なくして認知症施策は成り立たない」とする同協会が何らかの「圧力」をかけたと想像するのは容易い。これだけ、精神科病院の存在を高める方向に向かったのだから。

 だが、日本独特の風習である「根回し」を考慮すれば、関連業界団体が7日版の発表前に知らされていないことは考え難い。国会議員からの相当な介入があった、とも言われる。本当だろうか。

 首相が国際会議の場で高らかに宣言した初の国家戦略である。国際公約である。政府首脳の意向が反映されないはずはない。いずれ真相が明らかにされるだろうが、舞台裏での「暗闘」は続きそうだ。
https://diamond.jp/articles/-/66183



 alt
(↑山崎學Facebookページから 安倍総理と肩を組む山崎氏の写真をヘッダー画像に使用している)

 独裁色が強いことが海外からも指摘される安倍政権にすり寄る精神科医が、患者相手に拳銃云々と記述する時点で警戒の目で見られるのは当然のことだ。

 日本精神科病院協会会長として、問題のある数々の「巻頭言」が協会機関誌とは言え巻頭に掲載され続けていた。精神科医療への不信感が高まることにもなりかねない。苦しむ患者に向き合う真っ当な精神科医にしてみればいい迷惑である。

 一体どのようなものが掲載されていたのかについては、ぜひ巻頭言のキャッシュをご覧頂くとよい。
なお、抗議を受けた「Japan as No.1」はここにはないため、こちらから読むとよい。


 


 
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Posted at 2018/06/30 09:02:07

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