| 記事 MONEY VOICE2019年01月31日 14:52 やはり「2%の物価上昇」は無理だった。3つの障壁で日銀大規模緩和は有害無益に=斎藤満 なぜ実現不可能な目標を掲げた?日本が八方塞がりに陥ったワケ 連続下方修正で日銀の信任に傷 23日に終わった日銀の「金融政策決定会合」では、大方の予想通り「現状維持」を決めました。 むしろ注目されたのは、この日に発表された「展望リポート」で、今回も物価見通しの下方修正がなされました。それも、19年度については、消費税の影響を除いた実勢ベースの数字を、3か月前の1.4%予想から0.9%に、0.5%ポイントも引き下げたことです。 毎回、2%目標には達せずとも、2年先、3年先にはこれに近づく予想をしながら、結局これを1%以下の通常レベルに下方修正するパターンが何年も続いています。今回も決定会合後の総裁会見の場で、記者からこの点を問われ、メンバーの予想がそもそも楽観的ではないか、目標達成の時期がまた後ろ倒しになるのではと攻められました。 これら質問の行間からは、日銀の予想は当初高いのだけれど、途中でいつも下方修正される、との思いが広がり、予想の数字自体の信頼性が著しく低下しています。特に、3か月の間に0.5%も引き下げた今回の改定には、何が原因か、厳しく問われました。総裁の答えはまたもや原油価格下落のせいで、原油価格の予想はだれもできず、ほかの中銀も予想していないと開き直りました。 他国の中銀と同じ尺度にすると、さらに景気悪化が目立つ… しかし、他の中央銀行は、原油価格の予想は困難としたうえで、物価目標においても原油価格に左右されにくい「食料、エネルギーを除いたコア」を尺度にしています。日本では「コアコア」に相当します。原油価格に振り回されたくなければ、日銀も欧米と同じ尺度の「エネルギーも除いた」ベースで表示すればよいのですが、今日の日本の「コアコア」は0.3%前後の上昇率で、「コア」よりも一段と低くなっています。 つまり、欧米と同じ概念の「コア」にしてしまうと、エネルギーによる押し上げ分がなくなり、このところずっと0%台前半が続いていて、2%の物価目標とは距離が大きく、しかも「2%の物価目標に近づく」との期待も持ちにくい動きをしています。日銀は原油価格が上昇しているときは黙ってこれを利用し、原油が下がると、物価目標の遅れは原油価格下落のせいとしています。 2%の物価上昇は例外的 もともと日本では消費者物価が2%を超えて上昇することは極めてまれで、最近では89年から90年にかけてのバブルのピーク時に一時的に生じたことはありますが、それ以外では2%を達成したことはありません。つまり、歴史的に極めてまれな事態を目指していることになり、当然無理がかかります。 実際、日銀は90年代以降、しばらくは「プラス」のインフレ率を目標にし、これが実現したとしてゼロ金利を解除して利上げに出たこともありました。これが次に「1%」を目標とするようになり、安倍政権になって2%目標に引き上げられました。 では、なぜ政府日銀は2%という過大な目標を設定したのでしょうか。それには、2つの要因かあったようです。 1つは、為替要因です。日本では長年円高傾向があり、民主党政権時代にはドル円が70円台に定着して、家電業界など、製造業の経営を圧迫していました。財界から強い円高回避を求められていましたが、その点、欧米が2%の物価目標を目指す中で、日本だけが1%など、低めの目標にすると、「購買力平価」の面から円高を容認する形になってしまいます。 つまり、円高圧力を回避するには、その実現性はともかく、少なくとも欧米と同じ物価目標にする必要があったわけです。 もう1つが財政事情です。財政赤字が大きい状態が続き、国債発行額が増える中で、国債の利払いを低く抑えたいとの事情と、国債の安定的な買い手として日銀への期待が大きかったことです。 金融緩和を続けることで金利を長期的に低く抑え、しかも国債の増発に対して安定的な引き受け手が必要です。その場合、高い目標設定で「半永久的に金融緩和を続けさせる」との思いが財務省にはあったと言います。また国際金融資本も、日銀の金融緩和に便乗して利益を上げようとしていました。彼らも日銀の緩和を歓迎し、そのために高めの目標を設定させたい面がありました。 金融緩和の継続が困難に 日銀がいくら「マクロの需給ギャップが改善」と言っても、「コアコア」の上昇率はゼロ%台前半で動意が見られず、日銀も「長年のゼロインフレのために消費者のマインドがなかなか変わらない」点を認めています。 また、政府みずから携帯料金引き下げを提案するなど、賃上げが難しい分、コストを下げて実質賃金を押し上げることを考えるようになりました。これも物価上昇を抑制します。 今回も大幅な物価見通しの引き下げをしたことから、記者から追加緩和策が無いのでは、と問われ、総裁は「非伝統的な手段はいくらでもある」と強弁しました。 しかし、現実はそうではありません。さまざまな「制約」が出てきました。 金融緩和の継続を阻む「3つの壁」 1つは、米国から通商交渉において「為替条項」を入れるよう求められています。日本は近年、為替介入こそしていませんが、日銀の金融緩和が円安誘導のためと見られている面があり、結果として円安につながる金融緩和策は、米国から釘を刺される可能性が出てきました。 2つに、日銀の資産として国債を買い続けることは、日銀の財務上、リスクを大きくし、日銀内外から懸念の声が上がっています。日銀の本音はあまり国債の買い入れを増やしたくないはずです。 そして3つに、マイナス金利や長期金利のゼロ設定によって、金融機関の運用が厳しくなり、本業で赤字になる金融機関が増えています。まだ資本の貯えがあるからすぐに破綻しないと言いますが、時間とともにこの資本も食いつぶされ、長期化すれば金融機関の経営が危機に追い込まれます。金融仲介すべき機関が破綻すれば、日銀の政策は実現できません。 大規模緩和はもはや有害無益となりました。 八方塞がりの日本経済 市場も追加緩和は容易でないことは認識し始めました。そして副作用が大きくなっていることも理解し、欧米に続いて日銀も緩和策の修正を模索する時期が来ると見ています。 その前に、日銀は2%の物価目標を後退させ、もし安倍政権が終わるようなことになれば、目標自体、旗を降ろす可能性も出てきます。 しかし、米中貿易戦争や消費税引き上げで景気の不透明感が強まり、市場が不安定になれば、金融緩和の維持が求められ、緩和の修正は難しい環境となります。米国や中国の景気が悪化すればなおさらです。選挙で自民党が勝ち、安倍政権が存続すれば、さらに修正は困難になります。 それでも追加緩和も難しく、金融政策面からの円安期待は次第に後退し、米国の利上げ打ち止め感が強まると、日銀が動かなくとも為替には円高圧力がかかります。円高が定着するなら、外貨運用を抑え、むしろ外貨調達、国内運用が利益を生みやすくなります。 https://blogos.com/article/354816/  | 
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