2020年01月25日
【修理費】ブラシレスモーター電動工具の場合
ヤフオクを見ていたら、マキタのインパクトレンチ TW281Dのジャンクが出ていた。
通電しないというもので、これだと非常に単純な故障から基板焼け、スイッチ故障などいろいろなことが考えられる。しかし、ブラシレスは基板焼けが起こりやすい。
マキタのブラシレスモーター機の場合、回転制御関係は基板とステータコイルが一体になった部品(ステータコンプリート)しか売られていない。
共通部品が多い後継機種TW285Dの場合で、
ステータコンプリート 31 ¥10,000
というお値段。割引駆使しても9000円を割る程度。
TW285Dの新品はホームセンターでも18000円弱で買える。
18000円-9000円=9000円
ジャンク品が3000円ぐらいだったとして、6000円しか残らない。
同時にローターに問題があれば部品代5000円弱。もうほとんど差がなくなる。
不動ブラシレスの場合は機種によるが最低でも10000~15000円の部品代を覚悟する必要があり、修理を依頼すると新品価格を超える。そうなると部品取りとして売ってしまって、新しい物を買った方がいい。
追記:
ちなみに、4モードインパクトドライバーTD141Dのステータコンプリートは15000円ちょっと。新品は18000円台+税。
追記ここまで。
ブラシ式なら細かな部品が出るし、価格もそう高くない。
ブラシ式電動工具は中古、ジャンクを買えてもブラシレスはそうはいかない。
いったん食指が動きかけても、この現実を考えると食指が止まるのである。
追記:
ジャンク購入のメリットは、何と言っても修理によって人件費・技術料を除けば格安に完調品を入手できることである。
直す価値を見いだしていくら払ってもいいと言う人がいてもいいが、ふつうはそういうことは絶版製品、骨董価値のあるものに限られる。
電子制御が製品におけるブラックボックス部分を作り始めてから、多くの製品では部品自体を修理できないためのアセンブリ交換が増え、修理費用が大きくなり、同時に使い捨てにならざるを得なくなった。
電動工具の分野はかなり最近まで分解図とパーツリストを公開し、修理部品供給を綿密に行うサービスを提供することで製品の付加価値としてきた。
しかし、電子制御・充電式工具が全盛になった頃から、消耗品での利益を重視し、補修部品のアセンブリ化が進み、使い捨てを推奨するかのように変化していった。
さらに、バッテリー依存型のシステムを組み、バッテリー規格を変化させることで買い換えを促し続けるビジネスモデルになってしまった。
マキタなどの工具メーカーは、よい製品を供給する一方、修理しながら長く使ってもらえるようサービスを提供することで信頼を勝ち得てきたが、そのビジネスモデルは放棄されつつあるようだ。
バッテリー依存システムはバッテリー利益と買い換え需要を喚起させ続けるが、バッテリーは互換品が増え、さらにそのバッテリーを使える他社電動工具も登場してきた。それがかなり安価で高性能と来ている。
互換バッテリーを排除する、システム的囲い込みをするようになるのかもしれないが、むしろ互換品バッテリーやバッテリー互換工具がデファクトスタンダードになって行く可能性がある。少なくとも中国・台湾メーカーがその方向で製品を発展させはじめている。
製品自体の信頼に基づく利益構造ではなく、高価なバッテリーを軸にした【チョロい利益構造】は、互換機メーカーの信頼向上がなれば簡単に崩壊するのではないかと私は思っている。
もっとも、家庭をターゲットにした製品であれば、ブランド力と高いシェアを誇るメーカーは、多少製品に難アリでもブランドイメージだけでケルヒャーのように人気を集め続ける。
業務用は信頼性こそが重要で、信頼度が落ちるのであれば価格だけで取って代わるのは難しい。
かつての日本製品が既存メーカー製を駆逐できたのは、製品の信頼性と低価格、かつ高サービス提供という、あらゆるコストを下げ満足度を上げる製品を供給できたからだ。それが使い捨て低価格競争を促し、製品がコモディティ化し、今度は日本メーカーが新興勢力にコテンパンにされてしまった。
電動工具に関しては、圧倒的な信頼性を提供し続けられるかどうかが鍵だが、そもそも脆弱な電子制御電動工具に高い修理費用を載せて定期的に買い替えさせ顧客に高コスト負担を求める戦略は、安価な中信頼性製品に取って代わられるもののような気がする。
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Posted at
2020/01/25 22:09:55
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