父親が明け方に苦しむ傾向について、呼吸器科の医師は気管支拡張剤で対応する方向であるらしい。
調べてみると、明け方頃には、痰が気管支で停留しやすく、また気管支が狭くなりやすいらしく、発作には気管支拡張剤を用いることが多いらしい。
また、論理的に整合しないので血中高炭酸濃度による反応(苦しさを感じ呼吸を渇望する)の可能性は疑っていたのだが、肺気腫では血中高炭酸濃度に慣れて反応しなくなるCO2ナルコーシスが起こりやすいので、CO2が充分排気できないためにCO2中毒で苦しさをおぼえやすいと言うよりも、物理的な気管の狭窄による息苦しさが先にあるように思われる。陽圧で肺に空気を押し込むと楽になったという。
ある医薬品の説明書には次の記述がある。
気管支喘息、慢性気管支炎又は 肺気腫の急性の発作に対しては、短時間作動型吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用する
気管支拡張剤には2つのタイプがあり、上記のβ2刺激剤等の短時間で効果が現れる即効性のある発作時に使用するタイプと、炎症を抑えるステロイド剤や長時間効果が持続するβ2刺激薬のような連続的に使用するタイプだ。
ぜんそくの場合、後者でコントロールするが、発作が起きるときに前者を使用する。
肺胞が壊れていて呼吸効率が落ちる肺気腫では次のように使うらしい。
父親の場合、発作時の吸入で即効性の高い短時間作動薬を処方されていると考えられる。
ぜんそくを併発している場合はステロイドで炎症を抑える。現状は父親の場合は呼吸の障害のみだ。
いずれにしろ気管支のコントロールを行うものであり、長時間作用薬は効く時間が長いものであって、徐々に改善を図るというものでもない。1つの薬で効きが不十分なら別の薬を追加して対応する。
前の入院時から呼吸器科の医師の判断で気管支拡張剤を使い始めたのだが、本人曰わくあまり効いている気がしないと。それでも息苦しさは継続しておらず改善しているわけであるから効いてはいるのだろう。
退院時に看護師から、気管支拡張剤の吸入器の使い方を指導するとは聞いていたので、処方されているなら本人は指導を受けているはずで、本人が発作時に使うことが抜け落ちていたことになる。残念ながら家族は処方されている薬の詳細や発作時の対応までは知らされていないので、今回の発作への投薬による対応はできていない。本人を交えて話をしていたときに、飲み薬が追加になったとことしか医師からは聞いていない。
このあたりは確認する必要がある。
今回は発作への具体的な対応が知らされていなかったので、十分なSpO2が確認できたことから早い脈拍は心理的な影響が強いと思われ、深呼吸で落ち着かせる程度の対応しかできなかった。
発作への対応が吸入薬での家庭でもできると言うことであれば、在宅酸素療法でやっていけるだろう。
***
今朝の発作に焦った母親から電話がかかってきたときの、私の指示はパルスオキシメーターですぐ測れるSpO2,脈拍のこまめな測定と記録、その際の酸素流量値の記録である。状態が分からない事には始まらない。充分SpO2が高ければ酸素量を増やした状態を必要以上に続けることは呼吸の抑制方向でマイナスに働くのでCO2の排出が不十分であるなら望ましくない。十分な値であったのでもとに戻させた。酸素を処方下限の2L/min吸入していてSpO2が90台半ばあれば極端に換気能力が落ちているとは考えにくく、苦しんでいるとは言え即生命の危機とはなりにくい。
脈拍が110を超えていたが、私がついたころには脈拍も下がっており、血圧も確認したが、120台/80台の充分コントロールされた値であったので、把握できる範囲のバイタルに問題はない状態であった。
しかしながら、普通の家庭であれば、パルスオキシメーターなどない可能性も高く、あっても苦しさをうったえる患者に周囲がオロオロするばかりで(母のように)測るところまで頭が回らない。即病院へ相談し指示を仰ぐのが正しいだろう。そのことで周囲も少し落ち着ける。
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Posted at
2020/12/29 23:22:47