2022年12月25日
安価なトルクレンチ
最近はトルクレンチが安価なので、手軽に使うために一つ買ってみた。
かつては東日とかカノンのトルクレンチぐらいしか選択肢がなく、一つ数万円していたように思う。今は5000円未満で買える。構造を考えればそれほど高いはずはないのでこれでも妥当だろう。
もっともトルクレンチは測定器なので、精度を保証するほどにコストがかかるから価格は高くなっても当然ではある。なお、東日やカノンのものは廉価品と比較してトルク値が合わせやすくなっている。
さて、購入したのはエマーソンの廉価品で、東日のものに比べてトルクをセットしにくいしセットする値を読み取りにくい。他の製品ではもう少し見やすく工夫されていたりするので、安くてもみなそうとは限らないようだ。
トルクの目盛は刻印なので黒い塗料を流しこんで少し見やすくしてみた。
この製品を開けて驚いたことがある。何と、最初から103Nmにセットされていて、トルクを変更する部分に黄色いシールが貼られていた。これが日本の普通車の標準であるから、最初にこれにセットしてあるのだ。
トルクレンチは測定器で、精度を保つためには内部のばねが伸びてしまわないように扱わないといけない。すなわち最低値にセットして保管しておく必要がある。
もちろん説明書には最低値に戻すことが書かれているのだが、おそらく普通の人は買ってきたままでセットされているのであれば、セットしたまま保管するだろう。
トルクレンチの精度は低いとかあちこちで見かけるけれど、そもそも扱い方を間違っていて狂ってしまった可能性が高いし、狂いが出たら較正に出せばよいのだ。
しかしながら較正には費用がかかり、5000〜10000円ぐらいかかるから、廉価トルクレンチより高い。結果として、狂ったトルクレンチが使われることになる。
自動車のホイールナットぐらいなら、多少狂っていても特段問題は無い。
エンジンを組む場面でも、値にこだわる必要性はあまりなく、同じトルクで締めることの方が重要なので、極めて高い精度を求める必要は無い。
そんな運用なので、厳密さは求められないし、それ故に雑に扱われて更に精度を損ないやすい。
安いので極端に狂えば買い替えることになる。
なんとも複雑な気分だ。
なお、【較正】(calibration)が正しい語だが、【較】が常用漢字でないため、印刷物の誤りを直す【校正】の語が使われていることが多いようだ。
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Posted at
2022/12/25 06:06:01
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