プリズムの塗装と反射層の剥離に挑戦している。
プリズムはCanonのフラッグシップ機 PELLIX前期型(非QL)と、中堅機FT後期型(QL)・普及機FXの後期型それぞれからとりだしたものだ。写真では左からPELLIX,PELLIX,FT,FXだ。
この三つのプリズムは互換性があるが仕様が違うらしい。
いろいろやって分かったが、FT/FXはアルミ蒸着。PELLIXは銀であるらしい。
と言うのも、PELLIXは塩素で黒くなるので塩化銀ができている(正確には、生成した塩化銀<白>が光で分解し、銀に戻ったときに黒く見えるらしい)と考えられる。アルミニウムなら塩化アルミニウムの白い生成物ができるはずだ。
塗装の下の反射層は表面が少し酸化していて茶っぽくなっていた。これもいかにも銀だ。FT/FX後期型では変色はなかったようだ。
PELLIXの非反射面は塗装しファインダーと光入力面はマスキングした上で全体に銀層を作ってある。銀層に結構厚みがあり、銀鏡反応かもしれない。塗装にはさまれた反射面では銀層に指紋が付いていた(笑)手作りだったわけだ。非反射面は塗装がかなり強力に付いていて、なかなかはがれないのでまだ剥がさずにおいてある。ラッカーシンナーに付けておけば剥がれるだろうが。
プリズムそのものの作りも違っていて、PELLIXは、面取りをしてあったり、ファインダーに当たる部分に溝を掘って窓をつくってある。FT/FXは面取りがなくファインダー部もマスキングしてあるだけ。
やはりフラッグシップはこんなところにもお金がかかっている。もっとも、設計の問題で腐蝕してしまっていては世話ないのだが。と言いながら、FTやFXも前期型はPELLIX前期型と同じなのかもしれないのだが。
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モルトによる腐蝕問題への対策がされているはずのFXのプリズムは、天頂から塗装が剥がれて、腐蝕していた。
その腐蝕面はガラスもやられていたので、水に浸かった経歴があるのだろう。アルカリの影響でも受ければガラスは腐蝕する。
このプリズムは再生しようと思ったら平面をある程度削ってやる必要がある。
FTも対策後だが腐蝕があった。プリズムの面取りされていない隅の塗装に亀裂が入り腐蝕したらしい。ただし、ガラス面への影響はあるがFXより軽微だ。
FT/FXのプリズムはガラスにも腐蝕があるので酸化セリウムで磨いてやる必要がある。
ガラスが健全なのはPELLIXだけだ。
後期型のFTやFXは対策済みなので、プリズムが健全なものが多いはずだが、保管場所が多湿など扱いが悪いとプリズムもやられてしまう。部品取りにするにもプリズムチェックは重要で、自分のようにヤフオクメルカリ調達だと賭けになってしまう。
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試しにスライドグラスにハイパークロームAgという銀を使った塗料を吹いてみたが、鏡にはなるもののかなり暗い。
これではダメだ。塗った面は明るいのに、ガラス面はこんな感じ。
ガラスに吹き付けた時に弾き気味であったことと、ナトリウムガラスの緑がかった色が影響しているが、これでは使えない。
やはり、真空蒸着、真空スパッタリング、銀鏡反応のいずれかか。
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Posted at
2025/07/02 11:52:32